2.次元の穴

 作中で登場した、現在も活動中の次元の穴は次の通りです。


  テスラ:フィラの丘の上,東の泉の中

  ウルスラ:裏庭の祠付近

  ジャスラ:ヤハトラの神殿



《テスラの次元の穴》


 フィラにある次元の穴は、ヒコヤがやってきた「元祖」次元の穴です。

 その頃はフィラはありませんので、誰もいない、深い森の中でした。

 そしてヒコヤは導かれるように海岸に降り立ち、女神テスラと出会ったという訳です。


 やがて時が流れ、女神が女王と袂を分かち、フィラに移ってしばらく経った頃……再び次元の穴が開きました。

 その頃には三人の子供ファリル、ピュリル、チェリル(三家の始祖)はもう成長しており、それぞれの子供たちもいました。

 ヒコヤは当然ミュービュリに戻ることを拒否しましたが、女神テスラは

「そうは言ってもヒコヤが帰れる唯一の手段なのだから、きちんと維持し管理しなければならない」

と考えました。


 そうして作られたのが、「次元の穴の管理者」という、三家とはまた別の特別な血筋です。チェリルの二番目の子にその使命が与えられ、三家とは別の血筋が作られました。


 ですので、こちらも「直系」「当代」の概念があります。現在の「当代」はメシャン、「傍系」である妹のハイトが補佐についています。

 姉妹がミュービュリについて知っていたのも、朝日と暁が三家の直系だと気づいたのも、三家を補佐する特別な役割を担った家の血筋だったからです。


 自ら次元の穴を開ける「掘削ホール」は、この次元の穴の管理者の血筋が三家の血筋と再び結びついた結果、生まれた能力です。

 非常にレアですし、ミュービュリと関わるのは禁忌だったのもあって、古文書で少し触れられている程度でした(よく見つけたな、朝日……)。


 トーマは水那の息子で、水那はフィラの血を引いているので使う資格はあったでしょうが、作中でも述べられているように発現する可能性は殆どありませんでした。

 それを開花させたのは、度重なるフェルティガの干渉(ネイア・シルヴァーナ・イファルナ)と三種の神器の契約、それと「シィナに会わなければ」という想いからでしょう。


 後で「フェルティガエの特徴」でも述べますが、どの能力が開花するかは本人の性格や想いにかなり影響されます。

 フィラは特に血がごちゃまぜなので、いろいろな能力が開花する可能性があります。


 泉の次元の穴はそのまま残っていますが、わざわざ泉に潜る人はそういないので、今のところ監視はしていません。

 ただ、現在は東の大地の開墾中ですので、「女神降臨に関わった神聖な場所なので勝手に入ってはならない」ぐらいの伝達はしてあると思います。



《ウルスラの次元の穴》


 作中でシャロットが開けた次元の穴です。現在はシルヴァーナ女王が結界を施してありますが、消えるまでにはかなりの年月を要すると思われます。

 神剣みつるぎが収められていた場所だからです(そう考えると相当エラいことをしでかしたよね、シャロット……)。


 なお、シャロットが開けたもう1つの次元の穴(シャロットの部屋の隣の書庫ですね)は、現在は塞がっています。

 こちらは神剣が力を失ってから放置されていた場所なので、あまり大きな干渉はなかったんですね。



《ジャスラの次元の穴》


 ヤハトラの神殿に開く穴です。今は勾玉はありませんが、何千年も勾玉が安置されていた場所ですので、ウルスラの次元の穴と同様、消えるまでには同じぐらいの年月が必要かもしれません。

 ですので、ヤハトラの巫女はこの神殿を管理する、という役目を担っていくことになるのでしょう。

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