小説書きの孤独
ここ八カ月ほど、誰にも小説を書いていることを言わずに桃源水滸伝を書いていた。
書いていると宣言してしまったら、絶対に完結させなきゃかっこ悪いぞ、というプレッシャーを感じるだろうことは予測できていたので、黙って書いていた。
そしたらまぁー、つらいのなんの。
でも、発表まで黙っていて、書き上げてから発表したら、
「斉藤さん、また小説書いてたんですね!」
ってみんな驚いてくれるかも知れないな。
そんでもって、
「斉藤さんの二年ぶりの新作だから読んでみたけど、やっぱり面白いです!」
みたいに褒めてくれるかも知れないな。
な事を考えて、自分を鼓舞しながら書いていた。
まぁ、結果、誰もビックリしてくれなかったし、期待ほど読まれているかと言ったらそうではないのだけど。
(最新話まで読んでくれている人は現時点で一人!
その一人は知り合い!
ありがとうございます!)
ウェブ小説書きにとって、量産力というのは一つの武器で、忘れられないうちに次の作品をどんどん出していかないと、過去の人になってしまう。
というのを今回実感した。
もちろん、カクヨムコン開始の熱気がちょっと冷めてきて、みんな新年で少し忙しくなってきた時期に発表する、という、やらかしも関係しているだろうけど。
ってか、過去の人、という書き方をすると、おめーは過去にそんなすげー人間だったのかよと言われそうなので、ごめんなさいしておこう。
ごめんなさい。
過去も全然すごくないですが、過去の人って概念が分かりやすかったので使いました。
斉藤は書きながら展開や設定を考えるタイプで、ある程度書き上げてからじゃないと、自分でもお話の全体像が見えてこないんですよね。
最初から伏線っぽい事を散りばめつつ書き進めていくんだけど、途中まで書いて
「やっぱあの伏線なし。今思いついている最新版の展開にそぐわなくなる」
みたいに書き換えたくなることがある。
なので、ある程度書いてからじゃないと発表できないんだよな。
後から、大事な伏線を消したり付け加えたりすることがあるから。
ウェブ小説書きの皆さんって、ちょっと書けたらどんどん発表していくタイプの人が多いじゃないですか。
さっきも言った、忘れられないうちに更新したほうがお得、という観点から見ても理にかなっていて、生存報告じゃないけど、この小説マシーンはまだ稼働してますよ、フォローしておいたら定期的に小説を吐き出しますよ、という姿を見せておくと、とりあえずは忘れられないで済む。
のは、分かるんだけど。
どうやってそれで長いお話を書けるんだろう。
絶対に後になって、前の展開やっぱり変えたい!
ってなると思うんだが。
それでも辻褄をうまいこと合わせていくのがプロになる人達なのかもなぁ。
俺にゃーできねぇーよぉー。
だから、一人でシコシコ書き溜めて、ある程度先の展開が固まったところで放流、みたいなやり方しかできない。
せめてその『一人でシコシコ書き溜めて』る段階で、誰かに意見を聞けたら、この圧倒的な孤独も多少は違うのかも知れないんですけどね。
極度に批評・アドバイスを恐れているのでそれも出来ない。
書いたらとにかく読んでくれて、
読んだらただただ面白い、次もはよ、とだけ言われたい。
そのような都合の良い知り合いがいない。
よって、一人淋しく書き続けるしかないのである。
人間なんて、しょせん孤独なものよ。
まだまだ愚痴りたい事はあるけど、今日は終わり。
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『桃源水滸伝』
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