王子様が魔王を討伐に来るそうです
「あ、そう」
目の前でチェス版とにらめっこしているのがこの地域・蒼の森の魔王様です
魔王とは「魔物の王」という事なんですが、別に地の底から魔力の塊が魔王になるというわけでなく、「地域の魔物を制圧したら魔王」という事で魔王になる人間もいます。
ここの魔王は500年ほど前に生きていた冒険者で魔術師、この大森林の魔物を支配していたドラゴンを激闘の末制圧、従魔にしたおかげで、魔物が彼女に従うようになり、それ以来、魔王やってます。
あ、申し遅れました、私たち、このダンジョンに遊びに来ている聖女と悪役令嬢です。
「ねー魔王様、迎撃しなくていいの?」
「50年前に来たときと装備や人数が変わってないから、私がいかなくても大丈夫、それよりも、これ、どうにかならんか」
「ふっふっふ、私に勝とうなんて500年早いですわ」
悪役令嬢様が不敵な笑いを
「うっさい!アナタ、人間だからあと50年程で死ぬやん!」
「ふっ、約束ですわよ、私が勝ったら聖勇者から奪った宝具の一式を返して貰いますわ」
魔王様は以前に王子様がダンジョンにきた時に、「ダンジョン入場料5万ゴールドね」と言ったら激怒して、ダンジョンに突入してきたので、撃退したわけです。
で、その時に、王子の剣や防具一式を奪って、下着姿でダンジョンの麓の村の前に放り出したのでした。
「へえ、王子を殺さなかった」
「王子を殺したらそれを大義名分に軍隊が来るから、軍隊は1万とか10万とか、とにかく数でくるでしょう、まあ10万来ても負ける事はないけどさ、でも、軍隊は弱い魔族を殺したり、家に火つけたり、森に火をつけたり、田畑を焼いたりするから、それが被害が大変、だから殺さなかった。で、負けたらお前の装備全部よこせって言ったの」
「はあ、だったら負けて装備取られたんならそれ、自業自得じゃん!」
「負けるたびにその装備が豪華になって来るのは面白かったわ、最後は教会から聖宝具借りてくるのなwww」
「・・・・魔王様、それ、先回、王子と一緒に来た教会の聖女の装備も衣装も引っぺがして下着姿で放り出したのが教会の激怒を買ってるのだと思いますわ。・・・・・・いいぞもっとやれ」
「なーにー?悪役令嬢ちゃん、あの王子に何か恨みでも有るの?」
「婚約時代に私の胸もんで尻に何をすりつけられてメッチャ気持ちの悪い事をされましたからね。
「ゲゲッ!なにそれ?ウケる!」
「だから私が王から特使として拝命されてここにきたのは、あの王子を助けてほしというのは表向きで、あの悪魔を殺してほしいと、密かにお願いしようと」
「でも、王子が軍隊ひきいて来るらしいじゃん」
「でもあれが王子の親衛隊の100人ほどですから、魔王様には配下の魔兵士の装備がちょっと上等になるくらいではないかと・・・」
「王国謹製の鎧や剣、盾が手にはいるのかあ、カモネギとはこのことやね」
チェスが勝負がついたので、魔王は壁の映し鏡に魔力を送る
魔鏡には、監視している魔鳥イービルアイからの映像が写されている。
王子たちは魔王の森の入り口にさしかかったところだ。
とそこでいきなり落とし穴にはまる王子たち
と落とし穴のそこから触手や草木の蔓が這い出て王子たちを取り込んでいく
王子を助けようと兵士が向かう
と、蔦や触手は兵士も飲み込んでいく
程なくしてぐったりとなってうごかなくなった王子と兵士たち
「はあい、おつかれ、まあ人間100人ほどならこんなもんよ」
みるとオークが沢山やってきて、蔦でぐるぐる巻になった王子達を運び出した。そして、戦場になった場所や罠を片付けていく。
「あの蔦や触手はエナジードレーンになってるから、今はもう殆ど体力は残ってないはずよ。」
魔王から、最近は冒険者や勇者をあんまり殺さないって話を聞く
「最近はね、冒険者や勇者がダンジョンに入って来ると、負けると装備引っぺがして下村の街道の端にうっちゃるの。生きてるけど、魔力体力ほぼゼロの状態なんだよね、まあ、通りすがりの誰かが助けるけどね。」
「へえ、殺してダンジョンの餌にするってばっかり」
「うんとね、ダンジョンのエネルギー源って、地中の魔力や、人間の生命力とかだから、人間を殺してその生命力魔力をエネルギー源にするんだけど、人間の魔力や、怒りや恥ずかしさとかいった黒い感情とかもエネルギーになるのね。でさ、人間って殺したらそれで終わりだけど、生きてたら何度でもくるでしょ、その度に魔力や、怒りや恐怖、恥辱といった黒い感情を吸い出しているという塩梅。」
「金のたまごを生む鶏を生かさず殺さずですね」
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