婚約破棄を宣言する!
「悪役令嬢、お前に婚約破棄を宣言する!」
年度末、卒業パーテイのダンスパーティの場で、私は王子から婚約破棄を言い渡された
あまりの事にオーケストラも止まり、皆さん、目を丸くしてこっちを見ていらっしゃるわ
「理由を・・・・聞かせてもらってよろしいかしら」
王子はダンスホールの大階段の中央に仁王立ちになり、私に指を突きつけた
「お前は、ヒロインちゃんに暴力をふるった」
「そんな、そんな事を私はしていません・・・」
「嘘をつくな、ヒロインちゃんだって・・・・・・・・」
「そんな事私はされてません!悪役令嬢様はいつも私にとっても親切でした!」
私の前に立って、ヒロインちゃんは王子にむかって叫ぶ。
ヒロインちゃんの全身からオーラが立っている。
まるで幻魔・・・・いやなんでもない、歳がばれちゃうわ・・・・・
「悪役令嬢様はどんなときだって私に親切で、わたしに優しくしてくださいました!でたらめな事言うと許しませんよ!」
王子でさえ、息を呑むその迫力
この子の体のどこにそんな力が隠されていたのだろうか
「ふっ、私もまだ若いな・・・・」
「当然です!だって、私と半年しか違わないじゃないですか!」
・・・・・ごめん、そういう問題じゃない
「何を言ってる!お前が教科書を破かれたという事を聞いているぞ!」
「違います、あれは私はカバンを落として、教科書をばらまいてしまったのです!」
「それは悪役令嬢にそういう風に言えと脅迫されてるのであろう!、ここに目撃者もいるそ!」
学生が次々に証言する
「悪役令嬢様はそんな事をしていません」
「汚れた教科書を拭いてあげてました」
「破れた教科書にセロテープを貼ってあげてました」
みんな口々に証言する
「悪役令嬢様はわたしにそんな事しませんでした!嘘をつくのをやめてください!」
「それは、直接ではなく、家来の学生を脅してやらせて居たのだ!そうだろう、みんな!正直に言え!」
全員が一斉に答える
「私達は悪役令嬢様に何の脅しも命令もうけていません!」
「・・・・・・トイレで水浸しにされたのを見てたぞ!」
「あれが私が蛇口の回す方向を間違えたんです。つか!人がトイレ入ってるの覗いてたんですか!スケベ!変質者!変態!!!」
「うわ」
「きも」
「変態」
「スケベ」
「変質者」
「引くわ」
「おまわりさんこっちです!!」
「・・・・・・プールの更衣室で服を引っ張られてるのを見たぞ」
「あれが髪飾りが服に絡まって・・・・つか!更衣室で人が着替えてるの覗いてたんですか!スケベ!変質者!変態!!!」
「うわ」
「きも」
「変態」
「スケベ」
「変質者」
「引くわ」
「おまわりさんこっちです!!」
「・・・・・・さっきも控室でドレスを脱がされていたじゃないか!」
「あれはドレスのリボンがほつけて・・・・つか!私が控室でドレス脱いでるの覗いてたんですか!スケベ!変質者!変態!!!」
「うわ」
「きも」
「変態」
「スケベ」
「変質者」
「引くわ」
「おまわりさんこっちです!!」
「・・・・そういえば・・・・王子、我が家の12歳の侍女さんに抱きついて一緒にお風呂入ろうとか言ってましたね、あれうちの配下の男爵家の令嬢が花嫁修業でやってましたのですのよ。ここで抗議しますわ」
「うわ」
「きも」
「変態」
「スケベ」
「変質者」
「引くわ」
「ろりこんかよ」
「おまわりさんこっちです!!」
「う・・・うるさいっ!だから、俺はお前に学園追放を宣告する!」
王子がワイングラスを私に向かって投げる。私からそれを避けたところ、ちょうどその会場に入ってきた校長のドタマにヒットした
「え?おじ上、校長」
校長は王の弟殿下だ
「さっきから聞いてたら勝手なことを、私は兄王からお前の教育を頼まれていたんだが、これは1年生からやり直す必要があるな」
「え?そんな・・・・」
「それに、王からの伝言だ『王子3人のうち、悪役令嬢と仲良くなって結婚するものを王太子とする』ということだ、お前が婚約破棄を言い渡した時点で、お前の王太子はなくなった。どうだ、悪役令嬢、他の二人も、お前の事が大好きだぞ」
「ありがとうございます。校長、家に帰って、父と相談したいと思います」
「悪役令嬢様、よかったね!」
「ヒロインちゃん!みんな!ありがとう!」
音楽が再開する
ヒロインちゃんが私の手を取る
「さあ、悪役令嬢様、おどりましょう!」
「ああ、そうね、ヒロインちゃん、さあ!レッツ・ダンス!今夜はカーニバルよ!」
「あはははははははははははははははは」
「あはははははははははははははははは」
くるくる
くるくる
ダンスは夜通し続いた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます