第1話 異能戦士《N》の誕生
目を開けるとそこは病院だった。
見覚えのない場所に困惑する波和のもとに看護師らしき女が駆け寄ってきた。
「え⁉204号室の二階堂さん、目を覚まされました!」
死ねなかったのか。
すると隣にいたスーツ姿の奇妙な男が言う。
「不思議だねえ。君は死後二時間ほどたっているはずなんだけどねえ」
は?いや、ちょっと待て、
生きている人間にする話じゃないだろそれ。
「え?どういうことですか?」
スーツは言う
「本当にどういうことだ?」
沈黙
「というか、あなた誰ですか?」
「ははは、君とは長い付き合いになりそうだからね、
そうだなあ、『F』とでも呼んでくれ」
「なんだ、あんた」
「わるいね、ちょっと名乗れるような仕事してないもんで」
なんだこいつは。
「じゃあなんで俺の病室にいるんだ」
「君に頼みたいことが二つあるからさ」
「なんだ」
「さっきも言ったが君は一度死んでいる」
は?生き返ったとでもいうのか。
「ああそうだ、君は生き返った。」
「…⁉」
こいつ…俺は今しゃべっていないのに…
「ふ…驚いたようだね…
でもおびえてはいない
やはり君に頼むのが正解のようだ」
「何の話をしている」
波和もいい気分はしていない。
「今のように僕には不思議な力がいくつかあるんだ」
は?何の話だこれ
「君にそのうちの一つを預ける
君は普通に過ごすだけ、それだけでいい」
波和は面倒なことが嫌いだ。
「預かる?いつかお前がとりにくるのか?」
「それはわからない、君次第さ」
ほう、面白そうだ。
「興味を持ってくれたみたいだね
それじゃあいくよ」
Fが波和の額に手を当てる。
「はい、これで君も今日から僕の分命使の一人だ」
「ほかにも…いるのか…?」
「もちろんさ、そして僕が死んだとき、君たちに宿ることで延命ができる
そのためには適正する器が必要なんだ」
ふん、結局は俺らを利用して死なないようにするってことだろ。
「それで、俺にはどんな能力が?」
「〝波紋〟君が発動させたいと念じながら物体に触れるとその物体の中で
衝撃波が起こる。人間でも5秒もあれば死ぬさ」
なんだそれ、強すぎるだろ。
「それに加えて身体能力の大幅な上昇、知能の発達もあるからね。
今の君ならSASUKEは1分とかからないし、ハーバード大だって簡単に入れる。
しかし、その力は悪い人を呼ぶからね。
なぜかってそれは、〝力の譲渡〟を目的とした分命使や、悪者がいるんだ。
君も気を付けてね、分命使には額に黒い点があるから」
「譲渡?どうやったらそんなことができる…?」
「譲渡させたいものの額を触って念じるんだ、受け継げ!ってね
ああっそれと、能力者を殺すことでも力の譲渡は行われるよ。」
がしっ
Fの腕をつかみ心のなかで波紋と叫ぶ。
1、2、3、
「おかしなことは考えないほうがいいよ波和くん
君なんて僕のデコピンで頭蓋ごと吹っ飛ぶからね」
いつの間にかFに掴まれた俺の頭は、声も上げず
首のない俺の胴体を見ていた。
つ……強すぎる…‼
「…戻れ」
波和の体が治る。
「はあ…はあ…」
「まあ、せいぜい頑張ってくれ」
そういうと一瞬のうちにFは消えた。
こうして二階堂波和、通称『N』の不思議な生活が始まった。
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