第33話 死の手帳
自室に戻った俺は、
「
「さっきの呪い師から聞いたんだ。ドナルドを殺したのはソレだろうって。」
「あの怖い人ですね・・・。私は苦手です。」
「たしかに胡散臭いし信用に足るとは言えないが、それでも、この閉空間では貴重な情報だ。とりあえず『
「私も
「それでも構わないよ。」
それまでベッドの隅にいたマキナは、椅子に座っている俺の前まで移動して来て姿勢を正す。そして、神妙な面持ちで語り出した。
「
「呪いの類か?それともただの魔具なのか?」
「この世界には魔具以外の異能は
「それが
「低いと思います。この世界に異世界人は支配者とあなたしかいませんので。仮に支配者の
「だったら、魔具の可能性が高いか。触れるとすぐに死ぬのか、それとも何か条件があるのか・・・。そもそも
「またそういうこと言って。シンの悪いところですよ。」
マキナは俺を睨みつける。しかし、実際問題その魔具がどのような効果があるのかわからなければ、
「それ以上の情報は無いのか?」
「そうですね・・・。あとは、ドミナント教がやたらとその手帳にこだわっているということしか・・・。ただ、それが何故かもわかりませんし都市伝説レベルの話です。」
「ドミナント教?だったら、あのメイドに聞けばいいんじゃないか?」
「その通りだと思いますが、宗教ってかなりデリケートな内容ですよ?それに今のあなたの信用度は低いわけですし・・・。彼女の元に行くのは火に油を注ぐだけの行為な気がします。」
「だからって黙ってても何も始まらないだろ?まぁ、殺されない程度に話を聞いてくるよ。マキナはアホ王子の方を見張っててもらえるか?あいつが殺されれば、それこそドナルドも報われないだろ。」
「それは構いませんが・・・。もし本当に彼女の元に行くと言うなら、一応この言葉を覚えておいてください。困った時の最終手段です。」
「何て言葉だ?」
「それは・・・」
マキナとの会話を終えて、俺は一階のフランカの部屋へと向かう。彼女から聞き出さなければいけないことは「
「フランカ。雇われのシンだ。少し話がしたいんだが、いいか?」
返事は無い。俺を犯人と思っているのだから、当然かもしれない。その後も何度か呼びかけたが返事は帰ってこなかった。仕方ない。あの言葉を試してみるか。
「・・・
またしても返答は無い。やはりダメだったかと、諦めて部屋に戻ろうとしたそのとき、ベッドが軋む音が聞こえた。続いていくつかの小さな足音の後にドアがゆっくりと開かれる音がする。
「・・・あなたも、ドミナント教に?」
「その通りだ。昨日の殿下の話を聞いて興味を持った。俺も剣士の端くれだからな。いざという時に祈る相手がいないと安心して戦えないと思ってさ。」
「・・・こちらへどうぞ。」
俺は何とか話し合いの場を得ることに成功した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます