第2話
約千年前。
突如と現れた迷宮(ダンジョン)。
広大な地下空間に凶暴な異形の怪物(グリッド)。
見たこともない食物や材料、財宝など。
数多のものを見たくて知りたくて学びたくて世界から冒険者や探索者たちがこぞって集まってきた。
そのダンジョンは今でも地下深く続いている。どこまで伸び、どこにつながっているのか。それは千年経った今でも解明されていなかった。
「カナタ。仕事だぞ」
赤色のロングヘアの女性が呼びかけた。
「それはどういう仕事なのかい?」
黒髪の男性が尋ねた。
「人探しだ。地下階層101で失踪。グリッドの目撃者もあった。最悪な結果になる前に助けに行かなくてはならない。報酬は今の仕事よりも三倍の金額だ。」
嬉しそうに燃え上がっている。
今までの仕事が暇すぎたからだ。久しぶりの探索にストレス発散したくてウズウズしていた。
「俺はいかない」
「はぁあ? ”いかない”って!?」
「俺は今の仕事の方があっているし。それに、今日は気分じゃない」
「気分じゃないって…」
カナタの仕事選びは今に始まったことじゃない。
「そんな箒をもって掃除するよりも絶対もうかるって! 私はずっと暴れたくて仕方がないんだ!! なあ、私を思って一緒にやらないか!?」
カナタと一緒にやればどんな仕事でもいち早く片付く。討伐であれ捜索であれ、カナタは周りの人と違って才能がある。
カナタはその才能を隠しているが、私にはわかる。カナタを連れて行けば、確実に儲かる。
「…俺はいかない。行きたきゃ、ひとりで行けばいい」
「おいっ…ちょっと…てめぇ……チッ! お前の”戦いたくない”性分はうんざりだ。もう勝手にしろ! 私はお前と違って”戦いたい”性分なんだよ!!」
ナユタは怒って出て行ってしまった。
彼女の後を追いかけようとする気持ちはこれっぽちも感じなかった。
「また一人、出て行ってしまったな」
カナタは寂しそうにしながらも再び箒を持ち掃除をするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます