第36話 訓練  4 予兆2

 「食堂にも話は通している。

  旨いモノが食えて、酒が飲める」


 ゲストハウスに戻ってしばらくすると、その中尉の言葉通りにワゴンにごちそうが乗せられて部屋に運ばれてくる。


ちょっとしたパーティのごちそうだった。

僕の部屋のまんなかに丸いテーブルが置かれて、その上にこぎれいなテーブルクロス。食堂のシェフが直々にテーブルの段取りをしてくれている。

大麦酒エールの瓶が冷やされて運ばれてくる。

伍長二人がソワソワしてそれを眺めていた。


中尉が部屋に入ってくると料理の数を数えていく。

中尉の顔はニヤニヤしたものだった。


「おーし、準備万端だな。

 注文通りに数はそろっているな。

 あとは少佐が来るのを待つだけか。

 もうすぐ来るだろう。

 たぶん、30分もかからないで来ると思うぞ」


でも30分たっても少佐は来なかった。

少佐が部屋に来たのは、きっかりと1時間たっての事だった。

それも一人ではなく、軍服に白衣を着ている軍人さんも一緒に来た。

その人がサッと敬礼していく。

伍長さんらが返礼するから、僕もなんとなく見様見真似で敬礼。


よく見たら医官の札が付いている。だから軍医さんだよな。

階級章は少尉だと思う。

憲兵隊の少尉で軍医さんが一緒に来ている。


なんで?

軍医さんなんて予定外の登場だった。

ふと、中尉の顔を見ると、中尉の顔が強張っている。

どうやら、何かマズイみたいだ。


少佐が僕を見て、中尉、伍長と順に視線を移していく。

なんかイヤな雰囲気 ・・・・・


そんな雰囲気の中、少佐が口を開いていく。

「 遅れてすまない。

 残念な事だが、我々を取り巻く状況が少々悪化している。

  本日、銀行が襲われている。

 銀行強盗が帝国内三か所で発生し、それも同時に発生だ。

 それだけで組織犯罪と判る。

 残念な事に人質一人が犯人に殺されて警官1名が殉職してしまっている。

 犯人は全員射殺された。

  犯人たちはの素性は既に解っている。

 犯人たちの中核となる者たちは要監視対象者マル赤手配だった。

 狡猾な事に奴らは治安当局の監視網をくぐり抜け、1週間ほど前からその行方が

 判らない状況になっていた。

 関係当局が行方を追っている最中に事件は起こっている。

 要監視対象マル赤手配者行方不明により、注意喚起が行われて、

 拠点治安維持組織である憲兵隊と各州警察本部で警戒態勢を取る状況にあった。

 もちろん、大規模金融機関には警戒通告と、他の金融機関には注意喚起が

 通告されている。

 それ故に銀行側の強盗進入通報は極めて早かった。

 事件発生直ちに行われている。

 それに応じて、各事件現場には憲兵隊の突入部隊が直ちに派遣されて

 事件解決に至っている。

 結果的に犯人たちは射殺された。

 基本的にそれで事件は解決しているが、明らかに広域組織犯罪だ。

 それに対する大規模な捜査が、各地で現在進行中という状況になっている。

 事件が事件だけに、警察と憲兵隊合同による帝国全域において捜査になっている。

 それを行っている最中であるから、それに伴い全面的な報道管制が敷かれている。

 だから世間一般・公共機関も含めて、この事件は公けにされていない。

 一般人が事件の事を知るのはまだ先にの事になる。

 それ故に、この件は要保秘・口外無用となる。


   まだある。


 連邦南方域に派遣されている南方派遣軍で軍事衝突小競り合いが発生している。

 現在、連合王国敵・連合側と砲撃戦になっている模様だ。

 簡単には収まらないと思われる。

 これも報道管制が引かれている。

 言えるのは単純な小競り合いではない。

 単純なモノならばある程度、私の所にも概要が降りてくる。

 速報は来たが、それ以降の情報、それが来ない。

 軍中枢で速報以降の軍状の取り扱いに対して神経を使っている証拠だ。

 機密順位は高い。

 だから、私も詳しい事は解からない。


 ただ言える事は、これら一連の動きは情報部において予測されていた。

 やつらの行動は、予測されたそのまんまだ。

 

 これらの予測された一連の動きが、そのまま『現実』のものになっている。

 結果的に情報分析の確度が極めて高い事が証明された。


  次なる敵の活動も予測されている。

 それは我が帝国内に潜んでいる敵性分子の情報収集がより活性化すると。

 この情報も機密順位が高い。

 いいか、これは要保秘ではない、重要度は二つ上の重機密になる。

 我々の仕事で、君たちは機密保持の意味で最前線になる。

 よって、敢えて君たちに口頭だけだが伝達する。

 わかるな、我々の仕事の重要性を。

 

 ぜったいにしやべるな。


  結論として ・・・・

 我々もすぐに行動を起こす。

 我々と君の安全を期す。

 君の秘匿だ。

 

 残念だが、今回の祝いの場はお流れとなる。

 明日からの休暇も取消とする。

 

 そして、ただちに圃場へ移動する。

 今からその移動の為の処置を行う 」



なんてこった。

ごちそうがすぐそこにあるのに。

食いたい、テーブルのごちそう。

休暇をくれるって言っていたよな。

でも ・・・・

状況が ・・・・

仕方ないと諦めよか。

でも でも ・・・・

なんだか釈然しない。

とんでもなく重要な事を聞かされている。

それは理解できる。

でも ・・・ 全体像が見えないから ・・・・・

やっぱり釈然しない。

この辺は軍人ならば仕方ないか。

まあ、一般の会社員になっても、新入社員が会社の上層部がもっている情報を

判るはずもないし、知らせてもらえる訳もない。

とにかくしゃべるなと言われたことは、しゃべらない。

うん。心に刻んだ。


少佐の視線が軍医さんへと移っていく。

軍医さんが少佐の視線を受けて、僕をじっと見る。


「憲兵隊医官のミュラー少尉です。

 圃場移動にあたり、皆さんに不活化処置を行います。

 君だね、主人公は?」


主人公はと問われて、何と返事していいかよくわからない。

ただ、僕は頷く事しかできなかった。

んで、不活化処置?

なに、それ。


ミュラー少尉はテーブルのごちそうに視線を走らせて、また、僕を見た。


「君は大麦酒エールをどのくらい飲んだ?」

「いいえ、何も飲んでいませんし、何も食ってもいません」


僕の返答に軍医の視線は中尉へと向かう。

中尉はその視線を受けて、その軍医に言葉を返していく。

「彼の言葉は本当だ。

 警護隊の俺たちも何も食っていないし、何も飲んでいない。

 少尉、点滴ではなくガスになるな」

「間違いないですね」

「間違いない。

 間違いなく、我々は飲んでいないし、食っていない」

「では、仰る通りにガスになります」


何を言っているのか、解からない。

どういう事?


「では、皆さん。診察を行います。

 ハダカになってください。

 そして、紙おむつを履いてください」


えっ、ますます訳が分からない。

軍医さんはそう言うと、部屋の扉を開いて声を掛けている。

どうやら、廊下に部下と思われる人たちが待機していたみたい。

その兵士さんらが入ってくる。

黒の制服、中尉さんらと同じ憲兵だった。

腕に「看護」の文字が入っている腕章をしているから、普通に看護兵だと思う。

5人の看護兵と軍医。

今から裸になって診察?

看護兵の人から袋と紙おむつを渡される。

中尉が制服を脱いで、渡された袋に入れていく。

下着を脱いで全裸になっていく中尉。

 現れたのは筋肉質の身体。

男の僕が見ても頼もしく思えるぐらい鍛えられていた。

憲兵っていうか、軍人は体力勝負だから鍛えて当たり前なんだろうけど、それでも中尉の身体は『ほれ、これが憲兵の身体だ』と言うぐらい自慢げに引き締まっている身体になっていた。

伍長さんらは中尉が制服を脱いでいくから、合わせて脱いでいく。

 すんげー。

二人の伍長さんは制服を脱ぐと、内側に拳銃嚢ホルスターを隠し持っていて、右腕の手首と肘の中間の所で、巻き止める感じで警棒を装備していた。あのひったくり犯をボコボコにした警棒だよな。


チラッとあの小さな拳銃の銃把が見える。

おもむろに拳銃嚢ホルスターから拳銃を取り出して、弾倉だよな、それをカシャンと外してしまう。

 外した拳銃と弾倉を丁寧に別口の紅い袋に入れていく。

やっぱり危険物扱いか。

たぶん万が一の暴発防止だよな。いくら安全装置を入れたとしても、間違いや勘違いはあるよな。弾が入っていなければ暴発したくても出来ないもんな。

伍長さんらが、そのままズボンを脱いていく。

左足に何か装備していた。

その装備のベルトを外す。

 ナイフだ。

伍長さんらは足にナイフを隠し装備していたんだ。

ナイフと警棒はまとめて制服と一緒に袋に入れていく。


常日ごろから伍長さんらは、ちゃんとというか、けっこう武装していたんだ。

ただ、警察官みたいに『オレは拳銃を装備しているぞ』と武器を見える事で威圧感を出していない事、憲兵特有の黒の制服だけで独特の風格と言うか、雰囲気というか、それだけで周りに対して憲兵さんたちが持っている独特の威圧感になっている。

そんな憲兵特有の「揉め事にたじろぎなんかしないぞ」という雰囲気を持っている伍長さんらも、なんとなく『何で裸体になるんだよ』と言う雰囲気だった。

事情を知っているのは少佐・中尉と軍医だけみたいだ。

伍長さんらがスッポンポンになって、紙おむつを身に付けていく。

あんまり見たくない。

「おい、早くぬげ」

中尉から僕に声が掛かる。

慌てて僕はハダカになった。


この年で紙おむつ ・・・・

複雑な気分、それは伍長さんらも同じみたい。


「不安か?」

中尉がしたり顔で僕に聞いてくる。

「はい」

そうとしか言えない状況だよな。

点滴とか、ガスとか、わけもわからずハダカになれ、紙おむつしろ。

そして診察だなんて。

一体何が始まるのって、誰でもそう思う。

「ミュラー少尉。

 彼の不安を解消してやってくれ。

 見ろ、この泣きそうな不安な顔を。

 泣かれたらな、困る。

 俺たちがご機嫌を取らなきゃいかん。

 それって面倒だ。

 例の不活化、これから何をするのか説明してやってくれ」


「ひでぇ」


中尉がニヤニヤ笑いで僕をネタにしている。

その中尉の冗談に伍長さんらはもちろん、看護兵さんらもニヤニヤしていく。

つまり、その場の緊張感がゆるゆる融けていき、緊張感のトゲトゲが平坦になるのが判る。

中尉は冗談だけで、僕たちの緊張を解いてしまった。

やっぱりすごいな。

軍医さんにみんなの視線が集まっていく。

それらの視線を受け止めて、軍医さんの表情が柔らかいモノになって説明が始まっていく。


「まず、圃場に移動するに当たり、そこは機密の場所っていうのは知っているよね。

 昔はね、目隠しをして移動したんだ。

 でもね、移動する車なんかでどの位走り、右へ曲がる、左へ曲がる、坂を上る、

 坂を下る、停車した時に時報のサイレンが聞こえた。

 眼以外からの感覚からおおよそどこにいるかは解かってしまう。

 身体に感じる加速度からだいたいの速度、坂の上り下り、乗っている時間など、

 それで、おおよそどの辺りまで来たとね、

 推測したあとに、停車した時の時報のサイレンなんかあればほぼ特定できる。

 目隠しの意味なんてない訳なんだ

 そんなわけで君の五感全てを不活化する。

 活性を無くすわけだ。

 つまり、寝てもらう、強制的にね。

 圃場に着くまで寝てもらう。

  ありていに言うとね、全身麻酔を掛ける。

 全身麻酔には血管から点滴で投与と麻酔ガス吸入と二通りある。

  さっきね、飲食の確認を取ったのはね、

 何か食べてすぐに麻酔ガスを吸入するのは禁忌になる。

 特に酒を飲んだ時は危険だ。

 人によっては嘔吐したりする。

 吐しゃ物が気管に入り、窒息して死に至る。

 その危険性を回避する為に確認を取った。

 それさえなければ麻酔ガスは安全性が高い。

 点滴は移動時には不向きだ。振動を与えたくない。

 麻酔ガスで意識レベルを下げる方が安全になる。

 そうやってね、君の身体の活性を無くした状態でね、移動する。

 その為に医官である私が診察してね、麻酔を掛けるのにある種の異常が無いか、

 診察する。

 例えば気胸とかね、そんな異常がないか、それを調べるのに私がいるわけだ。

 

 そしてね。

 おむつはの意味はね。

 通常、麻酔をかける時は導尿処置をする。

 おしっこを排尿袋へ導く処置だ。

 男なら陰茎に管をつなぐ。尿道口にずぶりとね。

 そうして排尿袋へと尿を流し込む。

 なぜ、それをするかと言うと、尿の排出によって腎臓が正常機能しているか、

 確認できる。

 全身麻酔を掛けるような手術時にはね、ごくごく普通の医療処置だ。

 ただ導尿処置は痛みを伴う。

 たとえそれが柔らかいモノと言えども、陰茎の先に管を突っ込むからな。

 痛いのはイヤだろ。

 普通は麻酔をかけてから処置を行う。

 でもね、心配はいらない。

 今回は手術でないから、導尿処置は取らない。

 紙おむつで導尿処置の代わりとする。

 おむつの中で放尿でも脱糞でも、思うがままにすればいい。

 圃場に着いたらシャワーがある。

 だから裸になっておむつを付けたまえ。


 麻酔中の経過観察はしっかりと私がする。

 だから、安心したまえ 」

柔らかい表情のまま、軍医さんはえげつない言葉を綴っていく。

うひゃ、麻酔か。

しかもおしっこ垂れ流し ・・・・・ 


断りたいけど、それをできる立場じゃない。

伍長さんらもびっくりとした顔をしている。


「おまえら、心配か。

 だいじょうぶだ。

 どうって事ない。

 サータン戦の夜間巡視の方が恐いぞ。

 俺が最初に診察と麻酔を受ける。

 心配ない、あとに続け。

 ミュラー少尉、俺からやってくれ 」


その言葉にテキパキと診察が始まっていく。

イスにすわった中尉に、軍医さんが目に光を当てて瞳孔反射を見ている。

そして中尉の胸に聴診器を当てて、注意深く心音(だと思う)を聞いている軍医さん。

次は背中、四か所程度、注意深く聴音が行われて、それで診察は終わりだった。

「ガスの用意を」

その声ですぐに機材が部屋へと運ばれてくる。

救急車なんかで使われる移動寝台と、小型ガスボンベや何やら装置を複数乗せた台車だった。

中尉には病院に入院する時に着る前開きの半袖シャツとズボンが渡されて、それを身に付けるていく。

「では、横になってください」

寝台に横になる中尉、足首手首、それに胸にも電極が付けられていく。続いて台車に乗せられていた装置が中尉の頭の方に設置されて、電極からの電線がそれに繋がれていく。装置に電源が入る。

どうやら心電の波形だと思う、それが装置の表示管に現れた。こんな心電図の装置なんか僕の田舎ではない。へぇーと普通に感心してしまう。

「では、血圧を確認します」

中尉の腕に血圧計の腕帯が巻き付けられていく。

シュコシュコと腕帯に空気が送られて、軍医さんが中尉の脈を診ている。

血圧計の水銀柱が上がる。

「はい、だいじょうぶですね」

軍医さんが続いて小型ガスボンベを指さしていく、看護兵の方がそれを移動寝台の下部に取り付けていく。

 その小型ガスボンベには古臭い字体で、

「医療用第二種麻酔瓦斯 亜酸化窒素60 3番麻酔添加瓦斯10 酸素30」と

書かれている。数字は構成比率なんだろうな。

続いて別の小型ガスボンベが取り付けられる。

それには医療用酸素瓦斯と表示があった。テキパキとホースが接続されていく。

ボンベの活栓が回されてガスが出る。同じく調圧器が回されて付属の圧力計の針が上がる。シューというガスが出ているのが確認されていく。

「設置よし、接続よし、調圧よし、麻酔準備よし」

「設置よし、接続よし、調圧よし、麻酔準備よし」

看護兵の二人の方がそれぞれの部位を指を差して確認していく。複数での確認か、安全確保だよね。

「少尉、確認をお願いします」

最後の確認は軍医さんがやっぱり指差しで確認していく。

「ボンベはよし、ホース接続もよし、調圧圧力計もよしだね」

「では中尉、早速に処置をします」

中尉の口を覆う形でのマスクを掛けられてゴムバンドで固定されていく。

シユーと言う音と供にガスが出されていく。

「はい、数を数えて大きく息を吸ってください」

「  1  2  3  4  5  6  7  ・・・・  」

そこまでだった。

中尉の意識が保れていたのは。

目を開けたままに中尉は意識を失っていた。

素早く軍医さんが中尉の眼に光を当てて瞳孔反射を見ていた。

次に中尉の手を取り、上に上げてから放す。

ストンと手が下に落ちて、中尉の意識が無いのが判る。

「よし、心電図も異状ない。

 処理完了だね。移動を 」

そのまま中尉の乗った移動寝台は部屋から出ていく。

おもわず僕は声を掛けてしまった。

「ど どこへ行くのですか」

軍医さんはニコッと笑って声を掛けてくれた。

「もちろん、『 圃場 』だよ。

 うん?、心配かい。

  まずは昇降機エレベーターを使って地下の駐車場だよ。

 昇降機エレベーターに移動寝台は一台しか乗らないからね。

 順番にね。

 地下には君たちを乗せる偽装救急車が用意されている。

 だいじょうぶだよ。

 なにもしんぱいはいらない 」


まるでこどもに諭すように、そして、不安を解消するように答えてくれる。

途端に恥ずかしくてたまらなかった。

中尉と入れ替わりに新しい移動寝台が入ってくる。


「さあ、診察をしよう。

 君の訓練だからね 」

柔和な顔で軍医さんに促されてイスにすわる。

眩しい ・・・・

瞳孔反射の確認。

なんで瞳孔反射を見るのか、疑問だけどちょっと聞けない雰囲気。

「ゆっくりと息をはいて ・・・・

 よし、次はゆっくりと息を吸って ・・・・

 よし、背中だ。

 息をはいて ・・・・

 息を吸って ・・・・ 

 よし、異状なし 」


そのまま寝台へ乗るように指図される。電極が取り付けられて心電図の測定が始まる。

やっぱり不安だ。

僕には中尉みたいな大胆さはないや。

血圧を測られていく。

さっきと同じようにボンベが取り付けられて確認作業が始まる。

「取り付けよし、接続よし、調圧よし。

 それじゃね、いくよ。

 さっきみたいに数を数えて大きく息を吸ってごらん」


にんまりと笑顔で軍医さんは指図していく。


 少し怖い。


 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12


「 ほう、10を超えたね。

  10を越えられるのは100人に一人だよ 」


軍医さんが笑っている。

そこまでだった。

僕は意識を手放した。

 


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