第14話
プロローグ14
** 北東管制 北東管制 こちら海軍6023 **
** こちら北東管制 海軍6023どうぞ **
** こちら海軍6023
**
** こちら北東管制 進入を許可 **
** 直ちに高度880-移行し 待機航路-S03へ **
**
** 海軍6023 海軍6023 こちら
**
** 雲低高度200
**
** 雲低高度200
視界不良ですね
まあ、大丈夫だね、計器の指示通りだ
ただ、風も強い、横風の注意だ 雲低高度200だね
腕の見せ所だけど、無理は厳禁だよ
はい、その時は迷わず復航します
高度880
高度880
計器誘導高度計
よし
計器誘導方位計
よし
計器誘導進入角度計
よし
進入偏差計
よし
進入誘導波全波確認
進入誘導波全波確認
**
** 海軍6023 海軍6023 こちら
** 滑走路3 計器着陸を許可 滑走路3 計器着陸を許可 **
**
**
**
** 滑走路3 計器進入を開始する **
高度 850
高度 850
高揚翼展張
展張よし
高度 800
高度 800
方位よし
偏差よし
進入角よし
高度 700
降着装置出せ
降着装置よし
高度 600
高度 500
高度 400
偏差2修正
偏差2修正
高度300
偏差1修正
偏差1修正
高度200
偏差2修正
偏差2修正
滑走路目視確認した
目視確認そのまま
高度100
・
・
・
・
ゴゴゴゴゴコと揺れる。
着陸はものすごく順調だった。
着陸してからの走行の振動が荷車レベルなのがちょっと閉口してしまう。
着いた。
でも、ここはどこか判らない。
窓から見えるのはでっかい空港だつた。
煌々と照らされていて、ものすごく立派な建物とたぶん飛行機を格納する為の
格納庫。
それが目に入る。
まあ、いいや。
何とかなるだろう。
飛行機はその走行を止めてエンジンも止まったようだ。
「降りたまえ」
そう言われて僕は座席を立った。
あの後ろのスロープの出入り口へと。
ゆっくりゆっくりと扉が下へ開いていく。
あの声を掛けてくれた軍人さん目で降りろと合図していた。
降りようとしたら、開いた扉から冷気が入ってくる。
寒い、べらぼうに寒かった。
外を見たら、ちらちらと白いモノ、雪だ。
四月というのにほんの少しだが、雪がちらついていた。
何て寒いんだ。
大佐が防寒用のマントを出してくれた意味が分かった。
たぶん、大佐は飛行機から降りた時ものすごく寒くなると知っていた、
だから、わざわざ防寒マント用意してくれていたのか。
ありがたい。
僕はすぐにマントを着こんだ。
一台の高級車がするすると近づいてきて、ドアが開いた。
三人の軍人さんが降りてくる。
陸軍でもない、海軍でもない、黒の制服だった。
その黒の制服が独特の「圧」を出していた。
ん?と見ていると腕に紅い腕章をしている。
なんだ?
よく見るとその腕章 ・・・・・ 憲兵と書かれていた。
その降りてきた憲兵さんがサッと敬礼すると、操縦をしていた軍人さんも
同じく敬礼を返していた。
「機長は?」
「わたしです」
「ご苦労。これに確認のサインを」
書類を受け取り、その場でサインをして差し出した人に返して敬礼をしている。
書類を差し出したその紅い腕章の人は僕を見て「彼だね」と一言。
みんなの視線が、いっせいに僕に集まる。
「迎えに来た。乗りたまえ」
その口調はやさしいモノだけど、その人の表情は硬く、
僕の言う事に耳を貸さないぞという顔になっていた。
あっ、これは言われた通りにした方がいい、そんな雰囲気。
車のドアと後ろの荷室のドアが開かれて、「荷物を預かろう」と声が掛かる。
持っていた雑嚢を手渡して、僕は車に乗り込んだ。
高級車だった。
後席に憲兵さんに挟まれる形で僕は乗車させられた。
後ろの席に3人乗ったけど、狭苦しくない、足元も広かった。
座り心地はふんわりとした座席。
僕の田舎や大学なんかでは見たことない黒塗りの高級車。
その高級車は走り出して、飛行場?空港?の出口へ向かって走り出していく。
僕の左にはあの「機長は」と声を掛けた憲兵さんが座っている。
指揮を取っているから、たぶん、迎えの憲兵さんの中で一番えらい人なんだろう。
ふと見たら、肩章に小さく帝都警邏隊の文字があった。
帝都?
ここって帝都?
うそだろ。
ほんとかよ。
東海岸?
だったら、僕は
その帝都警邏隊の文字を食い入るように見たら、不審そうな顔で「何を見ている」と。
「ここは帝都なんですか」
僕の質問に、ますます怪訝な顔で見られる。
おまえは何を言っているという顔になっていた。
「君は何も聞かされずここへ来たのか」
「はい、陸軍の適性検査が終わって即、飛行機に乗せられました。
着替えもなしです。
ですので陸軍の作業服のままです。
操縦をしていた軍人さんに聞いても、
当機の運用運行の情報は民間人に一切言えないと、
その ・・・・ 肩に帝都警邏隊って ・・・・」
僕の答えを聞いて、その憲兵さんの表情が変わった。
ああ、なるほどと。
そして、あの顔、大佐が見せたあの顔。
ニタアとわらうあの顔になる。
こえーよ。
「 心配するな。 大丈夫だ。
明日、 ・・・・ おっと、今日だな。
一眠りした後に、ちゃんと詳しい説明がある。
質問はその時にしてくれ 」
その人は、身体全体からこれ以上の質問はするなという雰囲気を出しまくりしていく。
結局、誰も僕の質問に答えてくれなかった。
これって、どーよ。
だんだんと腹が立ってきた。
車はそのまま15分ほど街中を走りぬけていく。
腕時計をしていなかったから、今何時かわからない。かなり夜も更けていると思う。
だからか、人通りは全くなかった。雰囲気は大都会。
大都会の帝都ってこんな感じ?
そんな誰もいない通りを車は、とある敷地に入っていく。
車の出入り口が跳ね上げ式のゲートになっていた。
ちょうど403駐屯地の門衛に跳ね上げ式のゲートを設置みたいな感じ。
その門衛入口ではノーチェックだった。
ゲートが上がると、いわゆる顔パスでそのまま入っていく。
看板を見ようと思いもしたけど、腹が立っていたから、妙にどうでもなれという気分が勝っていた。だから、ここはどんな場所は何かなんてどうでもいいや。
次は降りろって言われるだろうけど、もうめんどくさくなっていた。
だから、僕は視線を前に固定して降りろと言われるまで心に鎧を着る事にした。
いや、降りろうんぬんかんぬんではなく、当面そうする事に決めた。
くそくらえだ。
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