高慢な花

もうどこが痛いのすらわからない…くそ…こんなこと…


街の路地裏の壁にもたれ掛かり、動いていた前よりも息が荒くなった。うっすらと消えかかりそうな目を開けている。


もうダメなのかもしれない…


今の時間はわからないけど、隙間から見える表の街はほとんど人通りがなかった。

ここで少し休もう。

どのくらい走って歩いたかわからない…



-フッと目を閉じてしまった。





気づけば朝になっていた。こんな路地でも太陽の光はすこしでも届くのか…


それと同時に昨日怪我をした左眼に違和感がある。

恐る恐る手で探った。


目を見開いて道に落ちていた割れたガラスを思い切り手掴みした。


花だ

何が

どうして…


カチャンとガラスを落とした上に涙が映った。


「…どうして…なんで…私、ばっかり…うぅっ…ぐすっ…」


砕けたのはガラスではなく私が砕けたのだ。


泣き喚く私のもとに、慎重な足取りで来る音が聴こえた。


透き通った声で私に言う。


「可哀想ね…でも大丈夫よ。私のもとに来ればね…」


貴方カルマさんはお優しい。あぁ…






浸ってしまいそう…

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〜無情の紫陽花〜 しゃけ @Shakenoko

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