第29話 キョートヤマト
「パチンコ業界は、青息吐息で巨大な資本、キョートヤマトが攻めて来たからなあ。俺もパチンコするなら、キョートヤマトしか行かないもんな」
弘宗がそう言った。
「そう言えば、キョートヤマトは老舗のクラブのギャラクシーを経営しているな」
弘宗が、腕組をしながらそう呟いた。
「他にもキョートヤマトは、京都が風致地区条例から外れた郊外に巨大な資本を投下して、ボーリング、カラオケ、エステ、スポーツジム、クラブなどの運営を手広くやっていますね」
馬面コンサルタントが、そう言って顎をしゃくった。アブでも羽を休めに顔に止まりにかけたのかと思った。
「クラブの方では、後から営業しだしたフルタヌキの方が有名だけど。カネハラ興産が、キョートヤマトに勝てる物といえば、今ではフルタヌキぐらいしかないからな。これを手放したら業界から撤収するのと同じだから尚更吹っかけてくるんだろうな」
馬面コンサルタントの世良が弘宗に急ながら言った。
「し、しかし、45億はかかりすぎます」
「ならば、新規でクラブを開業するか」
「木屋町の雑居ビルの1つを買い取り壊してクラブを作るんですか?ノウハウが全く無いのに?」
馬面コンサルタントがそう訊ねる。
「ああ。でも45億はしないだろう?」
「ええ。でも1からといっても10億から15億くらいはかかるでしょうね。そしてオープンしてから工事費の返済が始まりますから、その間に客か全入って来なかったら大変ですよ。そのリスクも考えて行わないと」
「フルタヌキを買い取るにしても、新しいクラブを作るにしても、いずれにしても難しいって事でしょう?」
そう藤澤が言うと、西崎が頷いて答えた。
「ヒロ君、藤澤さんたちの言う通りよ。15億の投資をして回収不能となると、ハンナリマッタリーの業績が傾いてしまうわ」
西崎が、ため息をつきながら言った。
「明日大阪で、端田ビルのオーナーに会う方が、私にとってそれが今はとても大切な事なの」
スマホが鳴った。電話に出ると安からだった。
「やはり、どうもここ最近、この会社には誰もいないようだ。SONETエレクトリックカンパニーの近所に住む人に、この会社に集金に訪れたんだが、車が一台も停まっていないどうなっているんだろうと偽って訊ねたら、ここ1か月ほどは誰も会社に来てないとの事だった。みんな同情してくれて、本当それは大変だろうと教えてくれたよ」
「アカデミー賞助演男優賞くらいの熱演か?」
「魂を込めて演じさせてもらった。後で法務局で確認を取っておかないとな」
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