スクランブルーーーっ!

 日本某所の空港から女神を搭載せしジェットが離陸して一時間・・・なぁんてカッコつけてみたけどはっきり言って怖いでやすよぉ・・・


「機長。レーダーは?」

「そうねぇ。今んところ反応ないわねぇ」

「油断するなよ。データ集積では戦闘機2機ともステルス機能常時更新の機種らしいからな」

「大丈夫よぉ。こっちにはビッチちゃんがいるんだからぁ」

「機長」

「なあにぃ?副機長ぉ?」

「下弦カメラに目視でゴマ粒が」


 あ・・・ららら?


「総員!聞けい!」


 ヘッド、声でかいでやすよ。


「敵機来襲!現時点よりスクランブル態勢!常時!機長!」

「うーん。ちょおっと速度が足りないわねぇ」

「副機長!」

「はい。燃料ノズル、アディショナル・ファンクションで3倍に拡張済み」

「よおおし。ビッチ!」

「へ、はいぃ!」

らせぇい!」


 は?

 そらす?

 ミサイルを? 


 ・・・・どうやって?


「うわおうっ!♡」


 ゴヒューン・・・・・・


 え?え?

 窓の外、すっ飛んでったのって、ミサイル!?


「今のはちょっとあぶなかったわねぇ」

「機長、見事な操舵でした」

「ビッチ!」

「へ、はいぃ!」

「今のは機長のファイン・プレイだ!だが、そう何度も避けきれん!」

「へ、はいぃ!」

「次、来るぞ!」


 ああ。

 わかりやすよ、み、わたくしにも。

 なんか、すっごくはえぇのが尾翼あたりに近づいてくる音が・・・


 ズゴヒュゥゥゥゥーーーン・・・


「わあああーーい!♡」

「機長、またまたお見事です」

「ビッチ!」

「あ、あのっ!」

「なんだ!」

「お、音楽鳴らしちゃダメでやすかあ!?」

「音楽だと!?」


 そうだよ。

 なあんか調子出ないと思ったら曲が脳内に流せないでやすよ。

 いつもクラスじゅうからメス犬扱いされてるとき、脳みそン中に爆音でこの曲、鳴らしてるでやすよ。


「ビッチ殿。ブルートゥースで機内スピーカーに流せますが」

「ふ、副機長!お願いしやす!この曲でやす!」


 わたくしは副機長に丁重にスマホを渡したのさ。

 曲も歌詞も女神さまとは真逆の嗜好かもしれないけど、この曲でないとわたくしは全然力が出ないのさ。


「副機長ぉ。ビッチちゃんのために最大出力にしてあげてぇ」

「はい。では」


 ♫

 ジャカジャジャジャジャジャジャジャジャッジャー

 チュイーン、

 ジャジャジャジャジャジャッジャージャジャジャジャジャン、


 ジャカジャジャジャジャジャジャジャジャッジャー

 チュイーン、

 ジャジャジャジャジャジャッジャージャジャジャジャジャン  🎶



「なんだこの破廉恥な曲はあっ!?」

「ヘッド!ローリング・ストーンズの『ビッチ』でやすよ!」

「外国かぶれがあ・・・」

「くぅー・・・これでやすよ!これっ!」

「おわお。すっごいわぁ。キース、すっごいわぁ」

「このホーンセクションが」


 ビッチ!


「来たぞ!」


 うーん。

 こうでやすかね。


「えいっ」

「おおっ!」


 どヒューーンンン・・・


「おい!弾道が1°逸れたぞ!ミサイルが、曲がったぞ!」

「ビッチちゃん、すっごぉい!」

「お見事です」


 うわおう・・・なぁんでやすかねえ・・・なんかぁ、死ぬかもしれんのに嬉しいでやすねえ・・・


「踊った方が調子いいみたいでやす。ていぃ!」


 シュオォォォォォオオオオンン・・・・


「完全に曲がったわねぇ」

「両機態勢を立て直すようです」

「うむ・・・撃ったぞ!」

「あらやだぁ。2機同時でぇ?しかも二発ずつよぉ」

「四発来るぞ!」


 うーん。

 あ、そうでやす!


「すいませぇん。ヘッド」

「なんだビッチ」

「ヘッドも踊ってほしいでやす」

「な、なにおう!?」

「踊ってほしいでやす」

「く・・・この俺に、踊れと?」

「ほらぁ。ビッチちゃんのリクエストよぉ。はやくぅ」

「く、くっ・・・」


 おお!

 ヘッドのダンシン!


「ヘッドぉ。そのステップはないわぁ」

「ヘッド。ダサいです」

「やかましい!これが俺のダンスなんだよ!」

「来たでやす!」

「総員、奮励!」


 ああ、たしかに・・・

 ヘッドの踊りはまさしく奮励でやすね・・・

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