トランスポーテーショぉぉぉン

「ビッチ。オマエのその特殊能力な」

「み、わたくしの特殊能力って結局・・・」

「『触らぬ神に祟りなし!』オマエが物心ついてから誰からも・・・親からさえもまともに触って貰えなかったことがその特殊能力を育んだのだ。我々がオマエに期するのはなあ・・・」

「へ、はい」

「攻撃回避だっ!」

「こ、攻撃回避?」

「そうよぉ、ビッチちゃん。アナタは凄いのよぉ」

「き、機長。どういう風に凄いんでやすか?」

「もうね、誰かがすり寄ってきてもね、アナタのそのオーラでもって、するりと避けていくのよぉ。相手の方から」

「ははは・・・なんかあまり嬉しくないでやすねえ・・・」

「何を言うか。そのお陰でこの機体はミサイルをも避けることができるのだっ!」

「ミ、ミサイルぅ!?」

「そうだ!これを観ろ!」


 スクリーンに今度は。

 えっ?


「せ、戦闘機?」

「そうだ。一時間前に更新された最新状況では当機のフライトに合わせて第三国の洋上フロートから戦闘機2機が離陸したと確認された」

「え?え?でも、女神像を運ぶだけなんでやすよね?」

「甘ちゃんか!」

「ヘッドぉ。怒らないでちゃあんとビッチちゃんに教えてあげないとぉ。この女神さまはねえ、悪魔祓いに行くのよぉ」

「悪魔祓い、でやすか?」

「そうだ。欧州で300年に一度悪魔信仰のカルト教団各派が全世界の善神に対する共闘のための集会を開くのだ」

「へ、ヘッドって中二病でやすか?」

「ビッチ!そこに直れぇええ!」

「え!?え!?え!?」

「現実と妄想の区別もつかんのかオマエはあ!?」

「ヘッド殿、いきなり軍刀を抜いてはビッチ殿が緊張してしまわれます」

「副機長の言う通りよぉ。信じろって言う方が無理があるわよぉ」

「くっ・・・そが。ビッチ。これは事実なのだ。その集会での議事を無力にするために我が国の至宝である女神像がノーブル美術館にお出ましになってヨーロッパ全土に睨みをきかせて欲しいとEUから要請があったのだ」

「ビッチ殿。この女神像は美術品としての価値は無限。のみならず本当に荒ぶる神々を押さえる統治神なのです。それがしはそれを事実と把握しております」

「さぁすが副機長。冷静よねぇ」

「は、はい。じゃあその戦闘機を放ったのは、カルト側の協力者ってことでやすね?」

「そうだ」

「でも、それならこっちも護衛の戦闘機とかつけた方が・・・」

「能無しかあ。そんなことが国際力学上公然とできるわけがなかろうが!」

「へ、はいぃ・・・そうでやすね。わかりやしたあ」

「ふん。分かればよい」

「あの、後ひとつ疑問がありやす」

「なんだ、ビッチ」

「どうして全員女なんですか」

「ビッチ。この女神さまはな。男子禁制なのだ」

「だ、男子禁制でやすか?」

「そうだ。梱包作業を行ったのも全員女子だ」

「ヘッドぉ。もうひとつ肝心なこと教えてあげないとぉ」

「く・・・はあ。それでな。ビッチ」

「へ、はい」

「全員処女に限るのだ」

「しょ、処女?ということは・・・」

「ふ、ふん!俺は処女だ!」

「アタシも処女よぉ。なんてったって女の子にしか興味ないからぁ」

「じゃ、じゃあ副機長もでやすか?」

「そうだ。全員、処女だ」

それがし、キスはしたことあります」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「なんだとぉおおお!?」

「キス、したことあります」

「裏切り者ぉおおおお!!」

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