パイロッティぃぃぃ

「あらぁ。その子ぉ?」

「そうだ」

「かわいいわねー。犬みたいぃ」

「ビッチだ」

「あら。ごめんなさぁい」


 今度は、お姉さん?・・・か?


「ビッチ。彼女はこのジェットのパイロットだ。機長と呼べ」

「へ、はい。機長、よろしくお願いしやす」

「あらぁ。自分からご挨拶できるなんてかわいいわぁ。よろしくね、ビッチちゃん。チュッ♡」

「ひ、ひえっ!」

「ビッチ。言い忘れたが機長は百合だ」


 キ、キスされた〜。

 唇にだぞお〜?


「あの・・・」

「うむ。それではこれからフライトにあたって最終ミーティングを行う。全員ラウンジに集合」


 なんだろねなんだろね。

 こーんなでっかいジャンボジェットなのに人が4人しかいないよ。

 それも全員女で。


「じゃあ改めて自己紹介からだ。まず、わたしがヘッドだ。よろしく」

「ふふ〜ん。機長よぉ。よろしくねぇ♡」

それがしは副機長です。よろしく」

「えぇと。ビッチでやす。以後お見知り置きを」


 なんか、昔映画で観た大統領の専用機みたいなやつだね。

 飛行機の真ん中にあるラウンジも豪華な応接テーブルでさあ。


「では最終確認!本機の最終目的地はフランスのシャルル・ドゴール空港。フライトの目的は『女神』の輸送だ。以上!」

「え、あの・・・ヘッド?」

「なんだ、ビッチ」

「女神ってなんですか?」

「おお。そうだな。俺としたことが」

「(え?俺?)あ、あのう。そもそもどうしてみ・・・わたくしがここにし招集されたのでやすか?」

「これを見ろ」


 あ。テーブルの正面からスクリーンが降りてきて・・・なんか人の形みたいのが映った?


「これは航空輸送用に専門業者の特注で梱包した『女神像』の格納ケースの内部映像だ。搬送の間も常にこの内部暗視カメラで女神像の状態が確認できる」

「女神像?」

「そうだ。北のある県の神社の宝物殿に普段は安置されている。欅の一刀彫りの木製神像でな。横幅120cm、縦150cmの顔から胴体の部分のみが現存している。本来はほぞで接合されていた手足があったようだが今は無くなってしまっている。そしてな、この女神像は荒ぶる神々を押さえる統治神なのだ」

「そうよぉ。こわいのよぉ」

「機長、話の腰を折るな。今般フランスのノーブル美術館から特別展示したいと要請があった。我々はその搬送を任された特別チームだ・・・というのは表向きの話だ」

「お・も・て・む・きぃ?」

「ふざけるなあっ!」

「す、すみませんすみませんすみません!」

「バカかあ・・・俺の部下なら銃殺刑だぞ!」

「すっすみませえん!」

「まったくこの甲斐性なしが・・・が、しかしこの作戦の肝はオマエなのだ、ビッチ」

「へ、はいぃ?」

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