第三話 トロール迎撃戦

 とりあえず戦闘が終わったのでスキルオフにしてみると元のおっさんに戻った。ずっと女性のままかと思ったがちゃんと元に戻れて良かったよ!


 服も元の紳士物スーツに戻っていて良かった!裸だったりしたら洒落にならないしな。


 人前でスキルを発動しないように、という忠告はこのためだったか……。眼の前で男性が突然女性になったり男性に戻ったりしたら驚かれるよな。


 スキルオフにしてもスキルの機能は待機しているようで最低限の電探など索敵系が常にアクティブになっていて周囲を警戒しているそうだ。警戒網に引っかかると違和感として教えてくれるようになっている。普段は察知スキル程度の能力しか無いということだね。ただし詳しい索敵結果を聞いたり装備を呼び出したり戦闘するにはスキルオンにしないと使えないようなのでやっぱり女性にならないといけない。若干面倒でもあり複雑な心境でもある。


 ワイバーンを撃墜したことでレベル五まで上がった。この程度では全能力開放はまだ出来ないようである。


 とにかく撃墜したワイバーンを見に行くことにした。この世界にはハンター組合が二つあって魔物を狩って生計を立てるハンターと賞金首を狩るハンターの二種類あって管轄が違うそうだ。狩猟の方は農林水産省の管轄で賞金首の方は司法省の管轄であるらしい。

 撃墜したワイバーンを狩猟ハンター組合に持っていけば売り払うことが出来るようになっているらしい。


 幾つかの丘陵を越えてワイバーンに辿り着く。ワイバーンさんはちょっとグロい状態になっている。このワイバンーンを持っていくにはもう一度スキルを発動しないと駄目なようなので諦めて「スキルオン」する。例のごとく光りに包まれて軍服を着た美女に変身する。するとワイバーンはズブズブと地面に沈んでいく。亜空間内のシップヤードに格納されたようだ。

 ちなみに現在のスペックシートは次のようになっている。意識すると心の中に見えてくる感じだ。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

駆逐艦 USSフレッチャー(DD-445)

満載排水量 2850トン

全長 114.7メートル

全幅 12.1メートル

ボイラー B&W製ボイラー×4

主機 GE製蒸気タービン×2

出力 6万馬力

速力 36.5ノット


兵装

Mk.12 5インチ単装砲×5基

40ミリ機関砲×2基

20ミリ単装機関砲×6基

21インチ5連装魚雷発射管×2基

爆雷投下軌条×2基

爆雷投射機×6基

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 これって米国海軍U.S. NAVYだよね。それも第二次世界大戦当時の駆逐艦じゃないかな?軍艦には詳しくないけれど軍艦で戦うゲームで遊んだことはあるので多少分かる程度なんだけれど、本当に駆逐艦だ。日本だと『The Last Ship』て題名なのに『最後の艦』とかではなくて『最後の戦艦』て翻訳されてしまうあの駆逐艦だ。

 駆逐艦は英語ではDestroyerなのでスキルの名称の元になっているのか……。

 ちなみに戦艦はBattleshipで別物である。どうやら日本では戦艦大和のイメージが強いらしくて軍艦イコール戦艦とイメージで捉えている人が多いが別物である。古来から「いくさぶね」と言っていたこともあって同義に扱われることが多いが戦艦というのは空母や巡洋艦や駆逐艦と言った艦種の一つであって軍艦(Warship)はそれらの全ての船の総称である。


 駆逐艦にもレベルがあるのか。今はレベル五なんだな。レベルが上がると近代改修とかあるのだろうか?

(近代改修はあります)

 やはりあるんだ……。と物思いにふけっていると、またもや警報が鳴響く。


(対水上レーダーに感あり。方位角二七〇、距離八キロ、数は三〇)


 双眼鏡で確認をするとデカイ巨人がやってくる丘陵地帯なので稜線に隠れて発見が遅れたのかもしれない。


(未確認物体はトロールと確定、トロール・キング一、トロール・ダーク三、トロール・ソルジャー二六)


「砲撃戦用意!」

(砲撃戦用意!)


 発令と共にMk一二 五インチ砲が地面から浮かび上がる。全部で五基が浮上した。先程のレベルアップで大型兵装も複数呼び出せるようになったのだ。その砲身が射撃指揮装置と連動して左舷ひだりげん方向にいるトロールに指向する。


「攻撃始め!」

(撃ち方始め!)


 口径五インチ(一二七ミリ)、砲身長三八口径長の砲身が火を噴く。轟音とともに砲弾が各砲塔から次々と打ち出されていく。

 初弾は夾叉。着弾修正して次弾がすぐに撃ち込まれていく。


 うむ圧倒的だな我軍は。


 ものの数分で戦闘が終わってしまった。今ので大量にポイントを得てスキルレベル二一、シップレベル二一まで上がった。


 さてと撃破したトロールを回収しに行くか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る