第3話    花屋さん(店員の苦悩)

 「いらっしゃいませ」

 ー林 進(花屋の店員 35歳)ー

 若めの男女が店に入って来たと思ったら、互いに相手に送るプレゼントを選び始めた。

 最近の若い人達は花屋でデートするものなのか?

 女性の方は、いろいろな花を見ているが男性の方は、その場にとどまり何か考えているようだった。

 「お客様、何かお悩みですか?」

 「え?いえ、大丈夫です!!」

 林の問いに男性は笑顔で答え薔薇の方に向かっていた。

 『確かに、薔薇は送りものにいいかも、、、!?』

薔薇自体に何も問題はない。、、、ただ人にしかも、それが異性になると花言葉というものが関わってくるものだ。

 しかも、薔薇には色や本数、部位にも意味があるのだ。

 『赤の薔薇は「愛情」や「熱烈な恋」だからいいとして、問題は薔薇の状態だ!満開の薔薇の意味は「私は人妻だぞ!?」あいつもしかしてホモなのか!?』

声をかけるか迷ったが、何か考えがあるのだろうと見守ることにした。

 それから、ピンク色の薔薇(かわいい人)、白色の薔薇(相思相愛)満開のピンクの薔薇(赤ちゃんができました)

 系4本を手に取り満足気にレジまで来た。

 「お願いしてもいいですか?」

 「え?あの、、、え?」

 「?」

林の動揺に首を傾げる男性。

 『嘘だろ?選んだ薔薇の花言葉考える限り最悪だぞ、、、だって直訳すると「私は人妻です(ホモ)夫はかわいい人で私達は相思相愛です。そした赤ちゃんが出来ました!!」出来ました!!じゃねぇよ!というか、できるの!?できたの!?』

 林の動揺など、つゆ知らず男性はとてもやりきった顔をしている。

 『後、4本の薔薇の意味は死ぬまで私の愛は変わりません。うん、やかましいわ』

 花言葉の意味を教えてあげようと思ったが、もう考えるのをやめた林。

 薔薇を包み手渡す。

 それと同時に女性も花を持ってきた。

 女性の持ってきた花は、ジャーマンアイリス(恋のメッセージ)ノアザミ(素直になれない恋)ブルースター(幸福な愛)トケイソウ(聖なる愛)赤薔薇2本(私を射止めて、あなたを愛しています)

直訳『これは、恋のメッセージです。私は素直になれないの、それでもこれは幸福な愛で聖なる愛なのです。私を射止めてくださいね?あなたを愛しています。この世界に2人だけの愛を』(林の勝手な解釈)

「あまーーーーーーーい!!」

「どうしました!?」

『おっといけない、ついつい言葉に出してしまった。』

林は咳でごまかし、花を女性に渡す。女性の為にも男性にもう一度花を選ばせようとしたが、2人とももう、交換しようとしてる所だった、、、、

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数ページにも満たない振られ方 大貴 @3533

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