第10話 わたしだけしか見てはいけない

 わたしは欲張りな人間である。

 わたしは才能も欲しいし、最上級のカワイイが欲しいし、男子の注目を一身に集めたい。

 わたしはわたし以外に興味を向ける男子は絶対に許さない。

 わたしと話をしている時に、わたしが歌っている時にもも絶対に許せない行為だ。

 とくに話の腰を折ってスマホに熱中するヤツには我慢がならない。そんなにスマホが気になるなら対面してトークをする必要はないじゃないか。あの男はわたしと会話しているんじゃない。スマホの中にいる見えない相手と話しているのだ。そんなにスマホが大事なら墓場まで持っていくと良い。そして、あの男は、わたしのスマホの中で写真となって永遠に生き続けるだろう。人間の存在など全てスマホに収まり、完結する程度のものだ。

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