表裏一体

フッとその目の奥に気がついて

足を踏み入れてそのままゆくと

強い風に吸い込まれてしまって

脳髄の宇宙に静かに出る

その先にあるのは

唯一という数字が並んで束になった

存在の核で

あなたのそれはやわらかくて

うれしくなる

奇遇の情緒

わたしはそれにほだされて

またほろほろと涙をこぼす

いろいろな映画が

二人のシーンが

ドラムの打音のように飛びかかる

確実なものではない

綱渡りのような危うさで

どうにか成り立つ個体に

辿り縋る因果に

努力と普遍を感じる

絶望を目近にしても

いまなお宇宙は輝いている

木の言葉が沈む砂の地面

しっかり足を突く

指も開かれるくらい、白い砂が盛る

大声で叫んでも外のあなたには届かない

わたしは糸を

抱きしめる

糸とその絡まりを

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界詩箱2 戸 琴子 @kinoko4kirai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る