あなたという季節
憧れのあなたという季節のなかの
そのあたたかいうぬぼれの川のなかに
このつめたい手をひたしてみて
やわらかい水を汲んでは流して
息をついては汲んで流して
まるで流転のなかに
ひとつの古びた歯車のように
かちりとひややかに填め込まれて
ときには明るく
日光にあたり乍ら
ときには暗く
湿気に喘ぎ乍ら
かたかた かたら かたら
まわるこの世界のなかに
成功してみるみたいだ
あるいは碁石を
無理につみあげて
うとうとねむたくなるような
浮かんだ時間に消えそうになってしまう
ゆるやかに
その季節のなかに指をいれて
小さく木の実をひきよせて
摘んで引っ張って
それからはゆっくり歩いて
冷静な風を身にまとい
眠りにつくための美しい湖のほうへ
進んでゆく
あなたという焦がれた季節
遠のいた景色
すへてが心地よかった瞬間と
上手くゆくべき予想
放るものとて無い
彩りのある一分一秒
赤から青へと
また黄色と桃色
水色または白へ茜へ若草へ
日に日に見違へり
月に惹かれて影をつくる
季節のあなたは雪のように白くて
塩水のように美しかった
ふたたび巡ってくる折に
そのような糸の結ばれる音に
わたしは目を醒まして
息を吐く
桃色匂の息と
微風響の目叩き
膨らんだくうきをいちどきに
たくさん吸い込んであなたに会う
行き交う季節と感じ乍ら
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