固まる前の脳

皮膚一枚のその下は、

その内側は宇宙であり、

それに満ちる、たたえる中心に心臓と名付ける太陽が輝いて、

馬車馬ばしゃうまのように活動していたり。


公園に白猫と黒猫が対になって、

狛犬こまいぬかシーサーのように、僕を迎え入れ、

さらには異世界まで案内してくれて、

そこにはエビフライが好きなお姫様がいたり。


無数の旗が風に激しくなびく街の中で、

昔の片恋相手にばったり出会い、

塔の上からノイズだらけのロックミュージックがなるかと思うと、

その降り注ぐ騒音の中で、

昔行った水族館での話をしたり。


マフラーにちょくせつ息を流し込むと、

小便をらしたまたぐらのように熱がにじみ、

そしてそれが鼻の先をかすめて、

すぐと消えてしまったり。


文章として成立しない言葉を並べて、

その文節と香りにより

破茶滅茶はちゃめちゃな文法で滅茶苦茶めちゃくちゃな構成をして、

空中の火花に弾けてしまうような、

新しい小説をってみたり。


自分と景色を同一視して、

地面も机も、針も糸も、水も空気も自分だと思い、

その一続きの世界の中に

可愛いあの子もいると感じてほっとしたり。


実にこの短い一生に、

様々な経験や妄想をするものである。

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