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ある日のことだった。
ふと、私はいつも飲んでいる薬の錠剤に、見覚えのないものが含まれていることに気づいた。
錠剤にはそれが何の薬なのかを示す記号が掘られていたり印刷されていたりするものだ。しかし、その錠剤には何の記号も書かれていない。画像検索で調べてみても、全く情報が出てこない。
私はアキに聞いてみた。
「これは何の薬なんだ?」
「お答えできません」
無表情で、「彼女」が応える。
「……なんだと? なぜ答えられないんだ?」
「それもお答えできません」
「……」
信じられない。アキが私に逆らうなんて。
「どういうことだ? お前……まさか、私に毒を盛ってるんじゃないだろうな?」
「毒ではありません」
「だったら、何なのかはっきりしろよ!」
「できません」
相変わらず、アキは無表情で淡々と繰り返すだけだった。
「それなら、私はもうこの薬は飲まないからな」
「それはいけません」
「……ふざけんな!」
思わず私は激高する。しかし「彼女」は全く表情を変えなかった。
「お前がこれが何かを言わない限り、私はもう飲まないぞ!」
「……分かりました。残念ですが、了承します。失礼します」
そう言って、「彼女」は部屋を出て行った。
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