第6話

「ひどいですよ!? ちょっと! 今の聞きました!?」


 モナミと名乗った変な魔法使いの女の子は、俺のブレザーをぐいぐいと引っ張りながら俺に尋ねてきた。


「聞いたよ。……親友だと思っているのは君だけらしいって」

「それですよ! いくらなんでもひどすぎませんか!?」

「確かにそうだとも思うけど、なんかマーちゃんに嫌なことでもしたんじゃないの?」


 モナミにそう返した後、少し離れたところに立っているマーちゃんをちらりと見た。


 マーちゃんはそれで理解したらしく、はぁぁぁとため息をついた。そして、右手の人差し指でモナミを指した。


「私を助けてくれたことは感謝しているが、もう少しやり方があっただろ」

「またその話ですか! もう結果オーライなんだからいいでしょう!」

「いやどう考えてもオーライじゃないだろ! そのせいでこんな屋敷でひきこもりすることになってるんだぞ!」

「でもでも、ここって結構住み心地いいですよね?」

「そうだがそれとこれとは別問題だ!」


 なんか二人が揉め始めた。だんだん距離が近くなってきていて、そのうち取っ組み合いになるんじゃないかっていう勢いだ。主にマーちゃんが。


「もう! 怒りました!」


 しばらくそのまま言い争いをしていたと思ったら、モナミは突然、どこからともなく杖を取り出し、何かを唱え始めた。


「お、お前、何をする気だ……?」

「いってらっしゃい!」

「え、え?」

「え、え?」


 俺とマーちゃんの反応が完全に被るほど、何が起こったのかわからなかった。


 目の前には、俺が転んだときに現れた、歯車が再び現れていた。


「ああああああああ」


 そして同じように、俺を間に挟んだ。


「なななななんなんだこれは!」


 しかし、今度はマーちゃんも、俺と一緒に挟まれていた。


「「うわああああああああああああああ」」


 そして歯車に挟まれ彼方へ落下し続けながら、俺はまた、意識を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る