第1話 辺境での出会い
恩返しをしたいと口にしながら、自分の出来ることしかやってこなかった。けど、傭兵団に所属した以上は、がむしゃらに戦うべきだったのだ。
だから、リーフねぇが俺を見限ったのも無理はない。
後悔はつきないけれど、見限られた以上はもう会うこともない。自分の気持ちに整理をつけて、俺はあらたな生活を送ろうと旅に出た。
決まった目的地はない。
ただ、どこか住みやすそうな田舎に移り住んで、そこで癒やし系のお姉さんをお嫁さんにして、穏やかで幸せな生活を手に入れたい。
いままで寝る間も惜しんで働いていたから、スローライフに憧れていたのだ。
そうして旅を続けるある日。
街道を歩いていると、後ろから馬車が追いついてきた。
高級そうな馬車を、二人の騎兵が護っている。どこかのお金持ちかなにかの馬車だろう。街道の端に寄りつつ眺めていると、覗き窓から顔を出す少女と視線が合った。
「こんにちは」
「――こ、こんにちは」
声を掛けられるなんて思ってなくて驚いた。更に言うと、窓から顔を出したのが、まるでお姫様のような銀髪の女の子でもう一度驚いた。
「お嬢様、窓を開けてはいけません。相手はどこの誰か分からないんですよ」
咎めるような声が聞こえてくる。
見れば、少女の向かいに、メイド服を着た女性が座っていた。こちらも負けず劣らすの美人で、癒やし系のお姉さんのオーラを放っている。
「大丈夫よ。悪い人じゃなさそうだもの」
「お嬢様の直感を疑う訳ではありませんが、自重してください」
「……分かりました。旅の人、気を悪くしたらごめんなさいね」
銀髪のお嬢様は少し残念そうに微笑んで、覗き窓を閉めてしまった。
それが合図であったかのように馬車は足を速めて、徐々に先行していく。
あぜ道の先にあるのは、ローゼンベルク公爵領にある辺境。あるのは田舎町くらいで、お嬢様が立ち寄るような地ではないはずなんだけど……療養とかかな?
なんにしても、俺は少し休憩しよう。
得体の知らない旅人が後ろからついてきてるなんて状況が続くと、馬車の護衛が神経をすり減らしちゃうからな。
そんな風に考えて足を止め、少し時間を潰そうと鑑定スキルを発動した。
俺の所持する鑑定スキルは詳しいことまでは分からない代わりに汎用性は高い。スキルを使った俺の視界には、様々な薬草を始めとした野草の名前が表示される。
……おっと、あっちに煎じたら疲労回復の薬になる薬草があるな。貴重ってほどじゃないけど、一応は採取しておこうかな――と、街道を外れて林の中に足を踏み入れる。
ちなみにポーションの製作には特殊な技能が必要で、俺には作ることが出来ない。
けど、いま採取している薬草は煎じるだけで作れるので問題はないし、薬草が自生してるような場所は魔獣に襲われる危険があるので、誰にでも採取できる訳じゃない、
薬草の類いはそのまま売ってもそこそこのお金になるのだ。
そんな訳で、根こそぎにならないように、間引くように薬草を採取していく。
けど、こんな街道の側に薬草が自生してるとは、さすがは辺境。大きな町の近くだと、街道の側に生えてるのなんて雑草だけだもんな。
そんなことを考えながら採取していると、茂みがガサリと揺れた。
なんだろうと視線を向けた瞬間、四足歩行の黒い魔獣が飛び出してくる。
魔獣の中でもポピュラーなガルムという獣。なかでも黒い毛並みのガルムは、ブラックガルムと呼ばれる少し強い個体で、ランクDに分類されている。
ちなみに、ランクDは駆け出しの冒険者が最初に立ち塞がる壁。これを一人で倒せるようになれば、冒険者の仲間入りレベルだと言われてる。
そのブラックガルムは俺を獲物と定めたのか、一気に襲い掛かってきたが――
「……相手が悪かったな」
ステップを踏んで回避――すると同時、剣を抜き放って、ブラックガルムを両断した。
傭兵団は、魔獣退治を専門とする集団だ。だから戦闘系のスキルを得られず落ちこぼれた俺でも、このクラスの魔獣であれば手こずることはない。
ということで、ブラックガルムの死亡を確認した俺は、他に魔獣がいないことを確認。ブラックガルムが体内に持つ魔石を取り出す。
魔導具の動力源となる代物で、これまた換金することが出来る。
……よし。魔石も手に入れたし、薬草も摘み終わった。馬車も見えなくなったし、そろそろ旅を再開しよう。
そう思って街道に戻ろうとしたそのとき、自分が来た道から怪しげな恰好をした男が三人、馬に乗って近付いてきていることに気がついた。
なんとなく嫌な予感を覚えて、俺は大きな木の陰に身を隠す。
「そろそろ追いつくはずだ。目的は分かっているな?」
「はっ。必ず対象を殺して見せます」
「いや、手柄は自分が頂きますよ」
真ん中で馬を歩かせる男が問いかけ、両サイドの二人が答えた。
野党のような恰好をしているけど……高価な馬を所持していて、あまつさえ上手く乗りこなす。そんな連中がただの野党とは思えない。
「上等だ。ならば、行くぞ――っ」
「「――はっ!」」
リーダー格らしき男が号令を掛け、三騎は早足で駈けていった。その後ろ姿を見送りながら、彼らの目的を考える。
……いや、考えるまでもないな。ほぼ間違いなく、さきほどのお嬢様がターゲットだ。
そして、目的は彼ら自身が言っていたようにターゲットを殺すこと。
このままじゃ、さっきのお嬢様の命が危ない。
いまから走れば……追いつけるか?
ここに止まっていた時間は数分程度だ。遮蔽物が多くて見渡しが悪いから、馬車の姿は見えないけれど……そこまで先行はしてないはずだ。
危険に首を突っ込みたくないという思いはあるけど、気さくに声を掛けてくれた女の子を見捨てるのは寝覚めが悪い。
冒険者として落ちこぼれた自分が助けになるかは分からないけど、なにか出来ることがあるかもしれないと、俺は駆け足で馬車を追いかけることにした。
街道をしばらく進むと、街道の脇で横倒しになっている馬車を見つけた。剣の柄に手を掛けて、周囲を警戒しながら馬車に近付いていく。
幸か不幸か野党風の男達の姿はなく、辺りは静まりかえっている。それどころか、馬車に繋がれていたはずの馬もおらず、護衛としていたはずの騎兵達も姿が見えない。
全滅したあと……か?
いや、それなら護衛やお嬢様の遺体がないのはおかしい。
どこかに逃げたか、それともどこかで戦っているのか……もしくは、この馬車はさっきのとは別の馬車で、お嬢様の馬車は無事に旅を続けている途中という可能性もあるな。
現実逃避の使用可能なポイントが増加しました。
「…………は?」
視界の隅に表示されたメッセージに戸惑った。
現実逃避というのは、傭兵団を追い出されたときに習得したスキルの名前。
あまりにもあれな名前のスキルで、詳細の確認すらせずに放置していたんだけど……使用可能なポイント? 一体どんなスキルなんだ?
現実逃避 ランク1
自分の世界に逃げ込むことが出来る。
……そのまんまかよ。
せめて、もう少し他に書くことがあるだろうと呆れたのだが――
「お嬢様、しっかりしてくださいお嬢様!」
馬車の向こう側から、女性の悲痛な叫びが聞こえてきた。
「誰かいるのか!」
回り込んで、馬車の反対側へと顔を出す。
そこにいたのは甲冑を着た騎士のような男と、草むらに座り込む赤毛のメイドらしき女性。そして、メイドの膝元に横たわるプラチナブロンドのお嬢様だった。
「――何者だ!?」
騎士のような男が剣を向けてくる。それに遅れて、メイドの女性も足下に落ちていた剣を拾い、こちらへ切っ先を向けた。
騎士は当然としても、メイドの方も構えが様になっている。
戦えるメイドさんなんだろうか?
分からないけど、刺激はしない方が良さそうだな――と、両手を挙げて見せた。
「落ち着いてくれ。あんたらに危害を加える意志はない」
「貴方は……さっきの旅人ですね。なんの用ですか? お嬢様に危害を加えるつもりなら容赦はしませんよ?」
「繰り返しになるけど、危害を加える意志はない。怪しい連中があんたらの後を追っていたみたいだったから、心配になって追い掛けてきたんだ」
両手を挙げたまま答えると、二人は顔を見合わせた。そしてなにやらアイコンタクトを交わすと、メイドが再び俺に視線を向ける。
「貴方の言葉を信じたいところですが、申し訳ありません。いまは緊急時につき、武装を解除していただけないでしょうか?」
「分かった。それじゃ、いまから剣を渡す」
二人を刺激しないように、ゆっくりと腰の剣を外して騎士に渡した。
それで少しだけ警戒レベルを引き下げたのだろう。騎士は油断なく剣を構えたままだけれど、メイドは剣を脇に置いた。
「ご協力感謝します」
「いや、良いよ。それより、襲撃されたのか?」
「ええ。なんとか撃退しましたが、お嬢様が斬られてしまって、容態が思わしくないんです」
「……斬られた? ――っ」
お嬢様に視線を向けた俺は息を呑んだ。
気絶していただけだと思っていたのだけど、それは間違いだった。肩口から胸の辺りが、真っ赤に染まっている。
応急処置はしてあるみたいだけど、恐らくはかなりの重傷だろう。
「……回復魔法は使えないのか?」
「残念ながら、私達は魔法を使えません。そういう貴方はどうなのですか?」
「いや、悪い。使えるのはサポート系ばっかりだ」
回復魔法の効果を高めることは出来るけど、回復魔法自体は使えない。俺は自分一人じゃなにも出来ない。そういうタイプのスキルしか持っていないのだ。
こんなとき、リーフねぇがいてくれれば、簡単に傷を治してくれるんだけど……ダメだな、無い物ねだりをしても始まらない。
「魔法がダメなら、ポーションはないのか?」
「手持ちのポーションは飲ませましたが、傷を塞ぐには至らなかったんです。仲間が町まで応援を呼びに行ってくれていますが、町にポーションがあるかどうかは……」
この先にあるのは田舎町。高価なポーションがあるとは考えにくい。
それに、たとえポーションが在ったとしても、届くまでお嬢様の体力が保つかどうかは怪しい。それほど、お嬢様の顔色は青ざめている。
「あの、貴方はポーションをお持ちではないですか?」
メイドが縋るような視線を向けてくる。
「いや、残念だけど……」
台詞を途中で飲み込んだ。傭兵団を出て行くように言われたとき、リーフねぇからの餞別として、革袋を手渡されたことを思い出したからだ。
鞄にしまったまま忘れていたけれど、もしかしたら下位のポーションくらいは入っているかもしれない。そんな風に思い、鞄の奥から革袋を取りだした。
「――っ」
中身を見て息を呑んだ。
革袋に数枚の金貨が入っている。それは、一年は遊んで暮らせるほどの金額。
俺を見限ったくせに、どうしてこんな大金を……
「ポーションがあるのですか?」
「――あぁいや、ちょっと待ってくれ」
今はそれどころじゃないと革袋の中をあさり、丁寧に布で包まれた小瓶が入っているのを見つけた。俺はその中身に気付いてまたもや息を呑む。
……なんで、なんで、こんな貴重品を餞別だなんて……どういうことだよ。
「その深紅のポーションは……もしや、ハイポーションですか!? お願いします! そのポーションを譲ってください!」
「いや、これは……」
ハイポーションなんてちゃちな代物じゃない。
製作のために、毎晩ずっとサポートスキルを使わされたから良く覚えている。
これは、通常の回復魔法じゃ治せない古傷や欠損すら癒やし、ありとあらゆる病や毒を打ち消してしまう、リーフねぇが三ヶ月近く掛けて作った最高級の秘薬。
またの名を――エリクサー。
リーフねぇが切り札として製作したはずなのに、どうして俺の餞別に……
「必ずお礼をします。どんなことでもします。だから、どうかお願いします! そのポーションを私に譲ってください!」
懇願する声で我に返る。
メイドが赤毛を振り乱し、必死の形相で俺に縋っていた。
「……どうして、そこまで必死なんだ? あんたはただの使用人じゃないのか?」
「お嬢様は、私にとっての恩人なんです。だから、どうかお願いします。そのポーションを譲ってください。譲っていただけるのなら、どんなお礼でも致しますから!」
エリクサーは非常に貴重で、お金を積めば買えるという訳じゃない。
――だけど、恩人のためだなんて聞かされたら断れない。恩人に恩を返したいって想いは、他でもない俺が一番知ってるからな。
それに、お嬢様もすれ違った旅人に手を振るくらい気さくな女の子で、悪者じゃないと思うから――と、懇願するメイドの手のひらにエリクサーを乗せた。
「……良いの、ですか?」
目を見開いて俺を見上げる。
「ああ、早く飲ませてやれ」
「ありがとう、ありがとうございます。このご恩は必ずお返しします!」
涙を流しながら瓶の蓋を開け、お嬢様の口元へと飲み口を押し当てた。
「お嬢様、ハイポーションです。飲んでください」
必死に訴えかけるが、意識のないお嬢様はそれに答えない。と言うか、意識のない人間にそのまま飲ませるのは無理がある。
「そのままじゃこぼれるぞ。口うつしで飲ませた方が良い」
「そ、そんな恐れ多いこと、出来ません。さっきも大丈夫だったので、そうっと流し込めば、なんとか飲ませられます」
「――そんなことを言ってる場合か。もう良いから俺に貸せ!」
人命を救うためなら、貴重な秘薬を手放すのも惜しくはないけど、こぼして助けられませんでした。なんて言われた日には悔やんでも悔やみきれない。
メイドからエリクサーを奪い返し、思い切って口に含む。
メイドがなにか言っているが無視。
俺はお嬢様の上半身を抱き上げ、口移しでエリクサーを流し込んだ。
「……凄い。お嬢様の顔色が、みるみる良くなって……」
メイドの声を聞きながら、エリクサーをこぼさないように飲ませていく。
ほどなく、お嬢様がパチリと目を開き、その深く青い瞳が俺の顔を捕らえた。
その瞳が大きく見開かれ――
「なななっなにをするんですか――っ!」
思いっきり突き飛ばされたが、ある程度予想していたので、その反動で上半身を起こす。対して、お嬢様は俺を突き飛ばした勢いのまま、ずさささと後ずさった。
「――ああっあ貴方は、さっきの旅人! お、女の子の寝込みを襲って、キキキ、キスするなんて最低です! 良い人だって思ったのにっ! 最低、最低です!」
「お、お待ちくださいお嬢様! その方はお嬢様を救ってくださったんです!」
物凄い勢いで飛んでくる非難を受け止めていると、メイドが横から助け船を出してくれた。
「メリッサ、貴方も貴方よ! 側にいたのならどうして阻止してくれないの!」
「いえ、誤解です。と言うか、そんなことよりも身体は大丈夫なんですか?」
「そっ、そんなことってなんですか! キ、キスですよ? わたくしの初めてのキス。キスなんてしちゃったら……その」
「――お嬢様、私を見てください!」
メリッサと呼ばれたメイドが一喝して、お嬢様の顔を固定する。それによって、お嬢様はまじまじとメリッサを見ることになった。
――つまり、拡散していた意識が一点に集まった。メリッサが知っていたのかは分からないけど、パニックになった者への正しい対処法だったりする。
「……取り乱しました。貴方が阻止しなかったのには、なにか理由があるんですね?」
「はい。と言いますか……まずは、身体でおかしいところはありませんか?」
「身体ですか? おかしなところは……ありませんけど?」
俺はその言葉にホッと息をついた。
エリクサーであることは確信していたけど、実際にエリクサーを使うのは初めてだから、少し不安だったのだ。
「安心しました。それで……賊に襲撃されたことを覚えていますか?」
「えっと……はい。襲撃を受けて――みんなは無事ですか!?」
事件を思い出して真っ先に心配するのがみんなの安否。
どうやら、見た目通りに心優しいお嬢様みたいだ。助けてよかった――と、そんな感想を抱いて見守っているあいだに、メリッサがお嬢様にことの成り行きを説明した。
「――知らぬこととはいえ、申し訳ありませんでした!」
事情を理解したお嬢様が深々と頭を下げる。
「気にしなくて良いさ。知らなかったんだから無理もない」
乙女の唇を勝手に奪ったのだ。事情を知らなかったお嬢様が、不埒な相手を突き飛ばすのは無理もない。むしろ、頬を叩かれなかっただけマシだと思う。
「うぅ……本当に申し訳ありません」
「お嬢様、お詫びももちろんですが、お礼がまだですよ」
「そ、そうでした。助けてくださって、本当にありがとうございます」
「いや、それも成り行きだから気にしなくて良いよ」
「いいえ。貴方は命の恩人なんですから、気にしない訳にはいきません。ちゃんとしたお礼をしたいので、わたくしのお屋敷に来てくださいませんか?」
「いや、俺は旅の途中だから……気持ちだけ受け取っておくよ」
お礼を目当てに助けた訳じゃないからと、聖人君子のようなことを言うつもりはない。
けど、お嬢様は命を狙われているはずだ。今回は乗り切ったみたいだけど、事情が分からない以上、またいつ襲われるともしれない。
あまり深入りしたくないので、丁重にお断りする。
「そう、ですか。……では、これを受け取ってください」
お嬢様は首に掛けていたネックレスを外して、俺の手に乗っけてきた。
金細工に宝石をちりばめた美しいネックレス。どれくらいの値段かは分からないけど、ハイポーションに対する対価だとすれば過分なくらいだ。
ただ、あっさりと手放そうとするくらいだから、お嬢様にとってはたいしたものではないのだろう。そう思って受け取ろうとしたのだけれど……
「お嬢様、それはお母様の形見ではありませんか!」
メリッサの言葉に、俺は思わず手を引っ込めた。
「おいおい、そんな大事な物を人に渡そうとするなよ」
「大事な物だから、です。貴方の恩に報いる他の方法が、いまのわたくしには思いつかないんです。だから、どうかそのネックレスをもらってください」
お嬢様の真剣な眼差しに射貫かれて息を呑む。
戦闘が不得意で、サポートをすることしか出来なかった。それでも、なんとか恩返しをしようと必死だった。そんな以前の自分と重ねてしまったからだ。
ネックレスを受け取るのは論外だけど、恩返しが迷惑なんて言えるはずがない。
「気が変わった。どこまでついて行けば良いんだ?」
「……え?」
「お礼をしてもらおうと思ってな。そのお屋敷とやらまでついていってやる」
「……あ。ありがとうございます! この街道をまっすぐ行った先の町に、私の暮らすことになるお屋敷があるんです。歩きだと、少し大変ですけど……」
歩くことより、再襲撃の方が恐いんだけどな。
いや、襲撃者は撃退したって言ってたな。そうじゃなくても、お嬢様はあきらかに致命傷を負っていたし、相手は殺したと思っている可能性は高い。
そう考えたら、すぐに再襲撃がある可能性は低いかな?
……低いと思いたい。低いことにしよう。
現実逃避が2にランクアップ。
現実逃避の機能が解放されました。
……またか。
と言うか、現実逃避の機能ってなんだよ。より凄い現実逃避が出来るようになるのか? なんだか知らないけど、謎のメッセージで現実に引き戻すのは止めて欲しい。
「――ご安心ください。仲間が町に応援を呼びに行っています。じきに迎えが来るでしょう」
お嬢様の心配に答えたのか、はたまた俺の心配に答えたのか。メリッサの言葉の通り、少し待っているとお嬢様の迎えがやって来た。
どうやら、襲撃の心配はしなくても良さそうだ。
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