第3話 進め!玩具隊 玩具対戦編(下)

乗り遅れてしまった俺、光は、全く知らない駅に着いていた。

「ここ、どこだー!」

辺りは、田んぼしか無いど田舎だった。

しかし、俺の所持金は十円。 

後戻りすることは出来ない。

「しょうがない、頑張って歩くか」

そう言い、俺は歩き始めた。

「あ~。なんか、美少女でも降ってこないかな~」

「うわーーー」

何故か俺の上に美少女の悲鳴が!

俺は、咄嗟に判断して、俺より十センチくらい大きい人を受け止めた。

「うわ、重!」

流石にこの重さはきつい。早く降ろさなければ。

できるだけ俺はそっと降ろした。

「ふー。ありがとう助かった。死ぬかと思ったよ」

謎の女はほっとしたように言った。

死ぬかと思ったってあの速さはもはや、隕石級だ!俺じゃ無かったら確実に道連れにされてたぞ。

「とにかくありがとう、名前は?」

彼方 光かなた こうと言います」

俺は照れながら応える。

正直女子と話したことなんてあまりないからだ。

「あのー、あなたは・・・」

「私は、癒喩ゆゆよろしくね」

ピコン!

「すいません、ちょっとだけ待っててください」


俺は、スマホを取り出し連絡を見る。


「光ごめん、被害者が出たすぐその方の救助に回ってくれ」


被害者?もしかして!


「癒喩さん、ちょっと見てください」

「分かったー」

俺は癒喩さんに、玩具隊のメッセージを見せた。

「あー、これ私だね。さっきでっかいぬいぐるみにぶっ飛ばされてここまできたんだよ」

「そうだったのですか、それは災難でしたね」

とりあえず俺は癒喩さんは無事だと返事を送った。

「とりあえず、またあのぬいぐるみのところに行きましょう。きっとみんな待っているはずです」

「はい、分かりました」

そう、癒喩さんが言った瞬間俺は癒喩さんをお姫様抱っこした。

「ちょっ、何してるんですか?止めてください光さん。恥ずかしいですよ」

俺はそんな癒喩さんの言葉を気にもとめず、ひたすら後ろへと下がり続けた。

そして、勢いをつけて前へ走り出した。

恐らく電車よりは速い速さで。

「光さん、なんでそんなに速いんですか!

あなた人間何ですか!」

光は落ち着いた声で

「僕は人間じゃないんです。今のところは。

今は、玩具の力を借りて走ってるため人間と玩具の真ん中の存在です」

「言っている意味が分かりません」

「とにかく僕がこんな速さで走れるのは玩具のおかげってことです」 

「ちなみにあなたは何の玩具を使っているのですか?」

俺はフッとカッコつけて

「僕の使っている玩具はミニカーです。後ろに引いたら前へと進むあのミニカー」

「じゃあいつか止まってしまうのでは」

「その心配はない。とにかく早くいきましょう」

「あっはい!」



そのころ、玩具隊達は、

「何かよく分からないが癒喩さんは助かっているようだ、よし、俺らはひとまずこの玩具を倒すぞ!全員戦闘体制に!」

隊長が僕たちに指示をする。

冷静な判断だ。

『はい!』

僕たちは返事をする。

僕は、玩具の準備をする。

「すまん、玩具、今回は力を貸してもらう」

僕の玩具にそう言い、僕、世界ロマンは玩具の力を使うことができるようになった。

玩具の名前はこま。

そう、みんなが正月で遊ぶこまだ。

僕はこまの力で高速に回転した、やがてそれは竜巻になり、玩具を攻撃した。

流石にこんな大きな玩具でも竜巻に巻き込まれ、今は僕と一緒にくるくる回っている。

それと同時にぬいぐるみの中に付着していたダニさん達も宙に舞う

それが見事に僕の口の中、鼻の中、耳の中、至るところに入っていった。

僕は見事にダニアレルギーだったので、ダニさん達の力により、僕は、意識を失ってしまった。

「これは、無理だろ...」

やがて、竜巻は消えていた。


ウオー!!

玩具はまだピンピンだ。

「よし、ここは俺が!」

京が玩具の力で覚醒した。

ちなみに京の玩具はブロックだ。

「出でよブロック!」

そう京が言った瞬間、足からブロックが出てきて、やがてそれは大きな塔となった。

そして、京は玩具と同じくらいの高さになった。

「よし、こっからが俺のショータイムが始まるぜ!」 

そう言った瞬間に京の手からブロックが生成された。

「俺の必殺技、食らえブロックランチャー」

両方の手から生成されたブロックが次々に玩具へと飛んでいく。

しかし、玩具はぬいぐるみ。中身が綿しか入ってないため、残念ながら物理攻撃はあんまり効かない。

結局京は、ブロックの生成の限界が来て倒れてしまった。

「もう、ダメだ・・・」

それを見た隊長が、

「物理攻撃は効かないということか、ならもうあいつしかいないな」

「隊長、あいつとは?」


俺たち玩具隊は、さっき戦った京と同じようほとんどが物理攻撃だ。世界の場合はもうどうしようもないが・・・。

ちなみに、志乃の玩具はメダル。使い方は京と同じ感じだ。

そして、俺の玩具はモノマネロボットだ。

使い方としては相手の攻撃をそのままコピーするのだが、今回は玩具の攻撃が物理攻撃だから効かない。

残るは光、玩具はドローンだ。あいつはドローンという玩具を気に入ってないからきっと癒喩さんにはミニカーとか言って嘘をついているだろうが、正直あいつは物理も範囲攻撃も魔法も使えるある意味無敵なやつだ。

だが、今はここに光はいない。

つまり俺たちは、絶対絶命ということだ。

「たく、あいつはなにをしてんだ」

俺、隊長が荒れ果てた東京を見ながら言った。



へっへっへっへっ・・・。

ここがどこか分からないが、とりあえず乗っていた電車の線路を辿っていたらいけるはずだ。

そう思い、走ってたのだが、ここで分かれ道が出てきてしまった。

どうする光、もうバラすしかないのか?この玩具の本当の力を、だがしかし、言ったらどんな反応をするだろうかやや心配だ。癒喩さんが怖くなってしまったらどうしよう。


僕の玩具の力は、軍事用ドローンだ。


「癒喩さん、今から僕の話すこと、しっかり聞いてください!」

「うん、分かったー」

癒喩さんは、僕の走りがあまりにも速かったため、ぐったりしていた。

「僕の、本当の玩具は軍事用ドローンなんです!」

これで怖がられたらどうしよう、怖い怖い。

「うん、それで?」

え?

癒喩さんの返事は意外だった。

もしかして、癒喩さん。軍事用ドローン知らないのでは・・・?

「あの、軍事用ドローンて知ってる?」

試しに聞いてみた。

「なにそれ、知らない」

やっぱりか・・・。

「軍事用ドローンというのは戦争とかで使われる兵器で、僕の場合は最終的に自爆するというものなんだ」 

「まーじか」

「だから僕が自爆すると言ったらすぐに離れて、分かった、じゃないと死ぬよ?」

「わ、わかりました」 

「とりあえず、今は分かれ道だから一旦飛ぶよ」

「分かった」

僕は足から風を出し、癒喩さんを後ろで背負いながら空を飛んだ。

ぎり、スカイツリーが見えた、みた感じまだ遠いようだ。



一方そのころ、玩具隊はなんとか粘っていた。


早く来てくれ、光!

俺はそう願い続けた。

京と世界はまだ倒れたままだ。

志乃は今ひたすらメダルを打っている。

「隊長、もう駄目です。そろそろ限界です」

やがて志乃も力尽きた。


もうだめだ、隊長はそう思った。

何故か知らないが俺に玩具は攻撃して来ない、つまり能力をコピー出来ない。

つまり俺はもう何も出来ない一般人だ。

どんどん家やビルが倒れていく。

光早く、早く来てくれー。


その瞬間光が舞い降りた。

光だけに。


「隊長、お待たせしました、今から爆発するので気をつけて下さいね、後癒喩さん飛び降りますんで受け止めて下さい」

「おー、分かった」


「玩具ー!俺の必殺技を食らえー!名前はないけどー!」

ズドーーーン!

ものすごい爆発が起きた。


一方癒喩さんは、

「助けて下さい、死にます死にます~」

俺は、癒喩さんをキャッチする。

「ありがとうございます。助かりました」

癒喩さんは、ほっとしたように言った。


ものすごい爆発が起きて、玩具はもうあそこまで大きくなく、もとのサイズに戻っていた。


癒喩さんは、落ちていた玩具、ぬいぐるみを抱きしめ、ごめんね、ごめんね、と何回も謝った。

そして、玩具、きゅらじろうもお礼を言った。

「ごめんね、今までありがとう」

きゅらじろうの顔は何も変わらなかったが、きっと涙を流してるのだろうと思った。

「今回はきっと久しぶりに会ったのに急に捨てられてビックリしたのだろうな」

「なぜ久しぶりというのが分かったのでしょうか」

「みんな大体そういうものだからだよ」

隊長は玩具の方を見てニコッと笑った。

玩具もニコッと笑ったように思えた。

そして、天国へといってしまった。

「ありがとう、きゅらじろう。そして、さよなら」

そう言うと、何かはっと思い出したように

「そういや、光さんは大丈夫なのですか?」

「あーあいつか、あいつなら一日後に再生するぞ」 

「もはや、無敵ですね」

「だな」

そう言って二人、いや三人で笑った。

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進め!玩具隊 凛陰 @ecoosme829

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