第3話 あたしの覚悟
今日も日差しが強い。日焼けしちゃうよ。
でも準備しないと。あいつ殺さなきゃだしね。
その前にあたしにはやることがある。
・・・
・・・あった!
彼女の写真。今のあたしの唯一の癒し。
・・・彼女が死んだなんて信じられない。だって、遺体が無いんだよ?事故が起きた直後はあったのに、野次馬が集まる前には無くなってたんだって。おかしいよね。多分どこかで生きてるんだよ。きっとそうだよ!あたしはそう信じてる。よし、ここから逃げ出したら彼女を探そう。例え亡骸でも、見つけてあげないとね。
その前に写真写真。
でも、写真を拾おうとしたあたしの手は止まってしまった。何故なら・・・
うわぁ~・・・
あいつが出したと思われる粘液が、写真にベットリ付いていたからだ。
ほんっとにあいつは、つくづく気持ち悪い化け物だね!
一先ず人差し指と親指の先で写真を拾い上げてみた。汚ならしいあいつの粘液が滴っている。何か、あたしの大事な彼女を汚されたようで、物凄く不愉快だ。
待ってて。すぐ綺麗にしてあげるから。
よかったよ。写真を透明なフィルムに入れておいて。とりあえず表面に付いている粘液を拭き取って、中の写真を出す。うん。大丈夫だ。汚れてない。
見ててね。あたし、あいつを必ず殺すから。
あたしは準備を始めた。
あっでもまだ時間あるし、魚でも取って食べますか♪
・・・
・・・
もう夕方か。まあ、あらかた準備できたし急いで山小屋に戻ろう。
・・・あいつが来るから・・・
あたしは山小屋のドアの前に座って、夜が来るのを待つ。
あ~あ、早く夜にならないかな。嫌なことは早目にチャッチャと終わらせたいタイプなんだよね、あたし。
周りが薄暗くなり、そして闇に落ちた。
夜が来た!
そんであいつも来た!
よ~し、やるぞ~!
あたしは立ち上がり、走り出す。目的地は小屋の裏だ。チラリと後ろを見ると、やっぱりあいつは追いかけてきた。
よしよし♪
小屋の裏にたどり着いたあたしは振り返る。・・・あいつはいない。
ズサッ
背後から何かが降ってきた音がした。あいつだ。あいつが屋根を登って先回りしたんだ。
早速あたしを押し倒すあいつ。でもね、弱点はわかっているのだよ。
あたしはあいつの股間部分を思いっきり蹴りあげた。
グボバァ!
初めて声を出して苦しみのたうち回るあいつ。
ざまあみろ!この女の敵め!
あたしは昼間作っておいた小屋の裏口から中に入る。作るのは簡単だったよ。この小屋、老朽化がかなり進んでたから斤ですぐ壊せたし、そんでそこにまたその壊れた木材を立て掛けただけだからね。
さて、あいつはどうなってるかな。
あははっ。まだ苦しんでるよあいつ。
でもね、それだけで済ませるつもりはないよ。
あたしはあいつを挑発する。あいつが見えるようにあっかんべーをしながらおしりを叩いたり、上着を上げて胸を見せたり(は、恥ずかし~)、スカートを上げてパンツを見せたりした(これもちょっとキツイ)。何か後半は挑発というより誘惑になっちゃったけど・・・
う~ん。自分でいうのもなんだけど、まだまだ未熟なこんな女の子がこんなことやって、誘いに乗ってくるのかな。
もし乗ってくるとしたら、ただのロリコン変態野郎だけだと思うけど・・・
あいつは痛みを堪えながらあたしに突進してきた。
うん、予想通りの変態野郎だったね。
あたしは数歩、後退る。あいつは勢いのまま裏口から小屋の中に手を突っ込んできた。そしてそのままあたしを捕まえようとするけど・・・
ギャグワゥ!
何かわけわかんない苦しみの声を出したあいつ。その手を見ると、焼け爛れていて、異臭を放っていた。
うわっ、クサッ!もうこいつ、マジサイアクなんだけど!
でも、あたしの狙い通りだった。こいつがここに入れない理由。きっとそれは命に関わるような痛い目に合うからだ。
ウフフ・・・わかってたよ。だから少し入れるようにそこだけ御札を剥がしておいたんだから。
あたしは小屋にあったロープであいつの腕を縛り(予め先を輪っかにしておいたんだ)、グイッと引っ張る。
ギャウアウアウッ!!
あいつは更に悲鳴を上げたよ。
キャハハッ、痛がってる痛がってる♪
どんどん小屋に入ってくるあいつの身体。最初に入ってきてた腕は、もうボロボロと崩れてきてる。おっと、ロープがほどけそうだね。
あたしは次の作戦に移った。
斤を手に取り振り上げ、そしてあいつの背中に振り下ろす。
ザクッ
う~ん、気持ち悪い感触。
ギャギャギャギャ!
うるさいなぁ。もうあんたの叫び声は聞きあきたよ。
悪いんだけどあたし、女の敵には容赦しないから。
あっ、そういえば、思い出した。彼女にしつこく言い寄って、ストーキングしたり、彼女を襲おうとしたりしてた、大学生位の男を成敗した時のこと。確か1m角の鉄の箱に、一週間閉じ込めたんだっけ。そしたらその男、完全に壊れちゃってたよ。でも仕方ないよね。女の敵だもん。ちゃんとそれ相応の罰を受けなきゃ。しかも彼女の敵なら尚更だよ。
だから諦めてね。許すつもりはないから。
突き刺さったままの斤の柄には、ロープを縛っておいた。よし、もうひと頑張り!
うんしょ、うんしょ・・・
ロープを手繰り寄せるあたし。もうあいつの上半身は完全に小屋に入っている。悪臭も凄い。
ううっ・・・あとちょっと・・・
臭いを我慢しながら、力を振り絞る。
やった!下半身も入ってきた!
・・・えっ、何あれ!うわっ、気持ちワルッ!!粘液ダダ漏れてる!おえ~~!
もうほんっっっとに気持ち悪い。早く始末しなきゃ!
更に力を込め、あたしはあいつを引っ張った。そして、いよいよあいつの全身が小屋の中に収まる。
異臭を放ちながら焼け爛れ、崩れ落ちていくあいつ。もう原型はない。
それを見届け終わってから、あたしは急いで小屋を出た。もうあいつの臭いに耐えられなかったの。
もう少し外の空気吸ってから、小屋に戻って窓を開けよう。そして、夜が明けたら下山の準備だ!
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