どうやら俺にはセンスがあるらしい!

 由唯は自分の家から最寄りの駅で、友人と電車を待っていた。

 友人の片方は心配ないが、もう片方はいつも電車にギリギリなのでソワソワする。ちなみに電車は、普段乗るやつを逃すと学校に遅刻確定なためいずれ遅刻するだろう。

「あ、由唯ちゃーん!」

 声が聞こえてきた。......しかもいつも心配な方の声だ......!

 由唯は、驚いてその声のした方向に向いた。すると、自分と同じ制服を着た女の子がこっちに向かって一人は走って、もう一人はそれを追いかけるように早歩きで、やってきた。......なるほど一緒に来たか。

「雀ー、翡翠ー」

 手を振って返す。

 由唯を呼び走ってきた子......いつも心配な方は西宮雀にしみやすずだ。

 見た目は髪がショートボブの茶髪で、左耳の髪だけを後ろにして耳を出していた。目は黄色?薄い琥珀?のような色をしていて、笑顔で走ってくる姿がなんともかわいらしい......。  あぁ~か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛~......。

「ちょっと雀、待ちなよ」

 それを追いかけるように走ってきた方が、彼方翡翠かなたひすいだ。

 群青色の髪を、三つ編みの2本のおさげにしている。目は、髪よりも明るい青色でふちが赤色の眼鏡をしていた。真面目でいつもよくしてくれるから好き。

「二人とも、おはよう」

「おはよー!」

「雀うるさい、由唯おはよう」

 えへへ、といつもと同じようなやり取りをしつつ来た電車に乗り学校に行く。右から由唯、雀、翡翠の順で並んだ。......その電車の中で雀が、

「そういえば由唯ちゃん昨日のお昼ごはん一緒に食べれなかったけど、何かあったの?」

「あー、実はちょっとお腹が痛くて」

 昨日言っとくの忘れてたぁ。

「大丈夫?!保健室行く?」

 と雀が心配して背中を撫でてきた。

「雀、それ昨日の話だし、ここ電車の中だから保健室なんてないよ」

 冷たい声で翡翠がツッコミをいれる。

「あ、そっかぁ」

 雀は右手を頭の後ろに置き、アハハと笑った。


 ー3人は目的地の駅に着いたら、電車を降り約15分歩き学校に向かった。

 名前は、皆明かいめい高校という私立校で、校風は「やりたいことをやりたいように」というもので、基本的に何かをやっていてそれで成績を出せれば勉強が悪くても進級、進学できるらしい。例えば、バスケでエースをやっていて大会で優勝したものなら、最悪テストで0点取りまくっても進級できてしまうというとんでもない学校なのだ。まあ、真面目に勉強してればいろいろ楽だけど......。

 由唯たちのクラスは、4階+屋上の校舎の3階左最奥の2-1である。ちなみに、計6クラスある。席は左側後ろのベランダの入り口に近い3つの席で、一番後ろが由唯、その前が雀、その隣が翡翠になっている。わかりやすく言うとアニメとかの王道席だ。クラス発表の時に、運よく3人とも一緒になれた。

 クラスに入り席に着いたところで雀が、

「ねぇ~、今日の日課なんだっけ?」

 2人は、

「今日は確か、えーと......国、体、英、数、地学、日本史だね」

「うわー、英語とか岩沼かよ」

 はぁー。

 3人はため息をついた。


「Repeat after me. He has been~」

「くか~」

「......」

 パコン!

「痛ったぁー」

 翡翠が寝ていた雀に丸めたノートでたたいた。

「寝てるな」

「だからって叩かなくていいじゃん」

 雀は頬を膨らませて拗ねた。

「こら!そこ!静かにしろ!」

 ビクッ!

「「ご、ごめんなさい!」」

 うわぁー、変に関わらなくてよかった。二人とも......ドンマイ。


 午前中の授業を何とか乗り切り昼休みになったとき、

「疲れたー、お腹すいたー、二人ともご飯ー」

 雀が、椅子に寄りかかりながら、そう言った。

「はいはい、分かったから静かにしてな?......あ、そうだ。由唯、今日は一緒に食べれる?」

 翡翠が聞いてきた。

「あーうん。多分、大丈夫......と思う」

「もーいいから早く食べようよー」

「あーもうわかったから、ほら由唯も」

 三人は机を向かい合わせた後手を合わせ、

「「「いただきます(まーす)!」」」

 由唯は柊作った弁当を取り出した。

 兄貴、今朝はあんなこと言ってたけどほんとにダイジョブだよね?いや、まあ別にどうでもいいんだけど、ああいってたからなぁ。

 パカッ

「あ」

 弁当の中身は、卵のCMに出てきそうな猫が寝ているオムライスだった。

 YOSH〇KI!......いや、でも......かわいい。

「由唯、顔やばいよ」

「由唯ちゃん今日のお弁当かわいいー!」

 今日のお昼はいつもより楽しかった。

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