死ぬほど家に帰りたい

「なるほど、建物のつくりは中世風だな。買い物をしている人を見る限り、俺の持っているお金じゃ何も買えないだろうな」

 探索を初めて、数分店が多く並んでいるところを歩いてる。たくさん看板があるがそれもなんて書いてあるのかわからない。

 ぐぅ~

「......」

 腹減った。

 元の世界だともう晩御飯になっているんだろうか。

「あ」

 八百屋だろうか、野菜や果物をたくさん売っている。中でも大きく真っ赤なリンゴが目に入った。

「うまそぉー」

 ほしいけどお金ないし、お店の人怖そうだし......

「はぁ、あきらめよう」

 その後それらしい成果は得られず、日も落ちて気づいたら最初の場所に戻ってきていた。

「疲れたし、座ろう」

 噴水に付いてるベンチに座る。

 さっきより人通りも減っていて......というよりは目の前をさっきはかなりの数だったが、今は2,3人くらいといったろころだ。

「これからどうしよう」

 目元には涙が溜まっている。

「こんなところで死にたくない......」

 そのまま静かに泣いた。


 しばらくして気分がだいぶ落ち着いてくると、辺りはすっかり暗くなっていた。

 もう寝よう。

 ぺたんとベンチに寝転がる。

 起きたら夢であったことを信じて、そうでなかったら住み込みで働かせてもらえる場所を探そう。

「......うぅ、寒い」

 そう言って別に暖かくもないバッグを抱き枕のように抱きしめる。

「帰りたい、家に帰りたい」

 また涙があふれ出てくる。

 腹は減っているし、泊まる場所もない。他人と話せないから助けてもらえないし、なにもわからない。噴水の水も掛かってくる。最悪すぎる異世界召喚だ。

「なんで、俺がこんな目に......」

 疲れているので眠りたいのに、涙が止まらなくて訳が分からなくなってくる。

「ねぇ、キミ」

「へ?」

 涙で前が見えなくなっているが人が立って居るのがわかる。声を聴くからに女性だろう。

 幻覚が出るところまで来ちゃったか。

「ここで何しているの?」

 ほかにも、どこに住んでいるの?年は?など色々聞かれたが幻覚に何言ってもしょうがないし答えるほどの元気もない。なのに、どうしてか

「お腹すいた」

 そう言って意識が暗闇の中に沈んでいった。

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