第130話 ほれ、みたことか。
僕は本が好きになってきました。特にカクヨムに投稿を始めてから、そのことを自覚出来るくらいになりました。本はインターネットでは得られないほどの情報の密度を、感情の起伏を、一時の快楽を与えてくれます。
そして、読めば読むほど自分の考えは誰かの考えの焼き回しであることを自覚でき、すぐ伸びてくる鼻をへし折ってくれるモブにとっての主人公のようなものです。
最近、僕は「植物はなぜ薬を作るのか」と言う本を読みました。
そして、僕の浅い考えを打ち砕き、かつ援用してくれるような本だったので、感動しました。
植物はなぜ、薬を作るんでしょうか。
僕はこのタイトル自体が反語に見えてしょうがないのです。そして、多大な興味と少しの期待を持って読み始めました。
結論から言うと、植物が薬を作るのは「巧妙な生存戦略」の結果です。そして、著者はこう言います。
「植物は私たち人間に『優しくするために』、私たちの『体に良いもの』を作っているわけでは決してないのです。」
まさに、花粉症に苦しむ僕の嘆きを書き連ねた3話前の内容そのものではないですか?!
と、嬉しくなりながら、やっぱり僕が言うことはすでに誰かが言っていることだよね、と再認識できる素敵な読書体験でした。ぜひ、みなさん読んでみてください。
そして、これを読んだあなたはこう思ったんじゃないですか?
「それはAskewが自分で、自分の考えに沿うような本を選んだだけじゃないの?」と。
まさに。ユリウス・カエサルの言葉でも有名ですね。
――人は見たいものしか見ない
そうなんです。
僕はこの確証バイアスと言われる「自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向性」に囚われているのでしょう。
でも、2千年前から言われている人間の性に囚われているという感覚がこの身に立ち昇ってくるたび、僕はどうしようもなく人間で、かつ、ちゃんと人間なんだと感じられて嬉しくなるのです。
自分が人間であるという、自意識。
これが幸せなのか、不幸せなのかよく分からない感覚。
それがまたどうしようもなく好きなのです。
読書で、僕は、人間であると知り。
筆で、僕は、人間になれる。
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