第127話 あなたは自然派? それとも人間派?


 スギとヒノキよ。消えてくれ。


 前回から花粉への恨みが爆発していますが、僕はそういう意味で人間派です。おスギたちが子孫を増やせなくてもいいから、人間に優しくなってほしい。毎日、ザイザルを飲んでいるのにアレルギー反応が出まくっている薬中毒者の懇願です。


 とはいえ、僕は基本的に自然派だと思っています。前回、僕は皆さんに自然とはなにかを問いかけました。


「田んぼ、甘いフルーツ、杉林、桜並木などは人工物であって、自然ではないよね」というのが、僕の考えです。(今回は自然と人工の境界はどこかという想定で話しています)


 もう一度、考えてみてください。あなたがぱっと思い描く自然とはなんでしょう。


 人間に優しい自然もあれば、人間に優しくない自然もあります。山も、森も、海も自然ですが、多くは人間に優しくない。


 だから、「優しい自然」が思い浮かんだ方は人間派です。あなたは、人間に優しい自然の希少性を称えています。例えば地球、例えば日本、例えば草津温泉。浴衣でカポカポ歩いて、つまみ食いする温泉まんじゅう最高。


 逆に「厳しい自然」が思い浮かんだ方は自然派です。あなたは、自然という大いなるゆりかごの理不尽さと壮大さに敬意を払っています。例えば宇宙、例えば火星、例えばオリンポス山。宇宙服でトポトポ歩いて、2万メートルを超える山を見上げるの最高。


 当たり前ですが「自然、最高!」って言いながら太陽に飛び込む人や、ウルシのやぶを全裸で走り回る人は少ないでしょう。温泉は気持ちいいから入るのであって、神経が焼き切れるほどの放射線量をほこるラジウム温泉に入りたい人はいないでしょう。


 だから、人間派の人は身の回りにある希少で絶妙なバランスを保つ自然を大切に思っています。逆に自然派の方は、自然の大きさと人間の頼りなさを認識しているからこそ、なんとか自然を開拓して居心地の良いものにしようとする努力にホロホロと涙を流します。


 僕の定義だと人間派は身近な自然を尊び、自然派は身近な人工物を尊びます。このねじれ関係がなんとなく好きです。人間派は人間中心、自然派は自然中心にそれぞれの関係を見ているといえばわかりやすいでしょうか。


 人間社会は人間中心ですので、もちろん人間派の売り文句がピンときます。

「自然由来成分配合!」

「(バナナやきゅうりを食べて)優しい自然の味!!」


 でも、あまりに使われるので違和感をもったのです。バナナもきゅうりも人工的に改良してきたものだよね。特にバナナとか美味しい個体のクローンだよ。不自然の極みみたいな食べ物だよ。そこは人間の凄さを称えるべきじゃないの? 自然派の売り文句はこれだ!

「がんばって見つけた成分配合!」

「とっても優しい人工の味!!」


 ……どうでしょうか。売れませんね。



 さて、皆さんの自然とは何でしょうか?

 いろいろな自然観を教えてもらえると嬉しいです。



 カクヨムで書いていると、皆さんとの視点の違いが面白く、また聞いてみたいなって気持ちになります。僕のモチベーションのひとつです。


 そして、滅びてほしいものへの恨み、辛みは共有しましょう。グチも大きなモチベーションです。くたばれ、花粉。

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