第114話 欲深い人間よ……


この前ね、友達に

「年上か年下だったらどっちが好み?」って聞いたんよ。

そしたら「年下」って返って来てん。


「じゃあ、たぬき顔かキツネ顔なら?」

って聞いたら

「たぬき顔」って言うねん。


「ほんなら、年上でキツネ顔やけど胸めっちゃ大きい人か、年下でたぬき顔やけど板みたいな胸の人なら?」と味付けると

「胸大きいほう一択」って言うねんな。


なんか楽しくなってきたから

「年下でたぬき顔で胸大きい人か、年上で胸ないけど、なんかいい匂いする金持ちなら?」って揺さぶっても

「胸やな」って言いよる。


こいつ、めっちゃはっきりしとるやん、って面白くなってきてん。


「わかった。じゃあ『年下でたぬき顔で胸大きいけど、めっちゃアホで話通じへん人』か『年上でお金持っててめちゃくちゃ賢いのに会話も楽しくて、めちゃくちゃ顔が整ってるチートみたいな人』なら?」って盛りに盛って選択を迫ったんよね。


そしたら

「んー、それでもやっぱり胸かもしれん」

って言ったんよ。


こいつ胸さえあれば良いんか、って呆れながらもなんかすっきりしたんよね。


「それだけ好きならええよな」

って褒めたら

「でも、やっぱ年下のたぬき顔で金も持ってて、いい匂いするのに声めっちゃかけてくれて、えげつなく顔整ってる胸大きい人がええよな」とか言い始めてん。


「お前、めっちゃ欲深いな」

って思わず言ってもてんけど、友達は「そうかな」ってさらっと流しよるねん。


いやいや、めちゃくちゃ求めてますやん、おもてね、ちょっと考えてからもう一回聞いたんよ。


「あのさ、もう一回聞くけど、さっき言ってた特徴をすべて兼ね備えた人が仮に後輩にいたとして……、その”兼ね備えた人”と”女の人”ならどっちと付き合う?」って聞いてみたんよね。



「ん? 女の人ってどういうこと?」って聞き返してきたけど

すぐに友達ははっと気付いてね

「――女性がいい」

って即答したんよ。


おまけに

「いい匂いさせながら大きい胸で言い寄ってくる後輩とか恐怖やな」

って言い始めた。


人間って欲深いよね。


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