第97話 ヘンタイとは何か


 Twitterで【ゆる募】変態の定義、というツイートを見かけて「これは答えないといけないだろう!」と息巻いたのですが、よく考えるとヘンタイを定義してなかったな。100話近く書いてきて今更気付きました。


 そして、ヘンタイの定義は案外難しいことに気付きました。少し考えて、上記ツイートにリプライした定義がこちらです。


 ――普通、思いつかない発想をする人

 ――常軌を逸した能力の持ち主


 ジェネラルな表現を心がけました。どうでしょうか。ここまで長い間お付き合い頂いた読者のみなさんの反応が気になります。「いや、ちげぇよ! そんなつもりで書いてたのかよ! もう知らん!」と方向性の違いから解散する事態にならないことを願っています。


 では、辞書的な意味を確認しましょう。


実用日本語表現辞典より引用

 1) 形態・状態・生態などが変わること。特に昆虫などが幼生から成体に移行する際、外見や構造を大きく変えること。

 2) 倒錯した異常な性的嗜好(変態性欲)を持つ者を指す表現。多分に罵りのニュアンスを含む。

 3) 一般的な感覚からかけ離れた趣向・方向性といった意味で用いられる表現。肯定的な意味合いで用いられる場合もある。

 4) 海外においては、日本の成人向けアニメ作品、画風がアニメ調のアダルトゲームなどを指す語として「ヘンタイ」(hentai)という表現が定着しつつある。


 意外と、ヘンタイという言葉は広い意味合いを持っていますね。この中で行くと僕は3番目の意味合いで使っていることが分かります。そして、おしなべて肯定的です。罵るために使ったことはありません。


 なるほど、こういった意味合いで使っていたのか。自分でも意識していなかった初歩の初歩を確認して、腑に落ちました。灯台下暗し、岡目八目、恋の目に童貞見えず、と言いますが、まさにそんな気分です。


 〇


 そして、ふと僕はまた、気付いてしまったんですね。「いつか変態になりたいキミへ」なんて大層な言い分を掲げてエッセイを書いているが、発信している僕は変態なのだろうか……、いや、変態であるわけがない、と。


 良いですか、ヘンタイとは普通の人が思いつかない発想をする人です。もしくは、常軌を逸した能力を持つ人です。僕は以前「オリジナリティなんてない、と強く信じている」(※1)と書いたように、僕の考えは必ず誰かが考えたものであると思っています。あと、自明ですが、常軌を逸した能力なんてあるわけがない。


 そう考えると、僕はヘンタイではないのです。ヘンタイになりたい一般人なのです。つまり、ヘンタイワナビなのです。


 どうしよう。でも今更「すみません、よく考えたらヘンタイじゃなかったです」なんて言えるはずもない。ならば、ヘンタイぶるしかない。第92回で「大人とは勘違いされることだ」と書きましたが、ヘンタイも一緒。本当はヘンタイじゃないけれど、ヘンタイと勘違いしてもらえるような言動を繰り返していくしかない。

 

 そんなことをTwitterの8文字から考えさせられました。言葉って凄い。これからも頑張っていきます。




 ちなみに、2番目や4番目の意味でみなさんが僕のことを「ヘンタイ」と呼んでも大丈夫です。僕はそれさえも勘違いして、テレテレしながら幸せに暮らしていきますから。






※1 とりとめのない思いの随に 第40回 僕 vs 1,082億人

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888425664/episodes/1177354054888685828

僕にオリジナリティはありません。確率的に。

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