第86話 完璧主義と勉強してない詐欺
僕はかつて完璧主義でした。
完成なんてしえないものに完成を求めて、無駄に時間をかけ、そして、一周回ってなんのおもしろみもないものが出来上がる。あらゆる意見をすべて受け入れようと思ったら最低限のことしか言えなくなるので、結果として、無難な意見に落ち着くといった感じの日々でした。
さて、そんな人間が友達とテスト前に話します。
友達「今回のテストどうよ?」
変態「やばい、全然勉強できてない」
友達「だよなー」
後日
友達「やばい、俺52点やった」
変態「俺も、78点やった……」
友達「死ね」
〇
これはよく「勉強してない詐欺」と言われます。「やべー、勉強してないわー」(チラッチラッ)と周りを安心させ、ほくそ笑んだあとに裏切る最低の行為だと。
だが、僕はこう言いたい。
「多分、気持ちは一緒だよ?」と。
完璧主義者は常に不安を抱えています。そんな人にとっては「分からない部分があるまま試験に臨む=勉強できてない」なのですね。その時の焦燥感というか、やべぇ、という感覚は結構凄まじいものがあります。一度、めちゃくちゃ苦手な数学で40点代をとった最低のテスト期間があったのですが、テストに向かう前に動悸で死ぬんじゃないかと思ったくらいです。
今までの経験上、テスト前の心境とテスト結果はこんな感じです。
全然、勉強できてない = 60~70点
時間が足りなかった = 80点台
不安だがやるだけやった = 90点前半
そこそこ勉強した = 95点前後
今回は自信ある = 98点前後
もちろん、これは典型的な公立学校の話です。有名私立ご出身の本当に勉強が出来る人は「こっちはレベルが違うんだよ」と言う権利があると思いますが、ここでは心情的なお話だと思って聞いていてください。
ここで言いたいのは、僕が「勉強できてない」と言う時、僕は本当に「勉強できてない」と思っているということです。だから、そのまま試験に向かうのには非常なストレスを感じている。例えば、関数は勉強したけど、絶対に出るとわかっている確率の勉強に手を付けられていないとき、えげつないくらいの緊張と不安と気持ち悪さを感じているのです。仮にそれ以外を全部正解したら80点とれるとしても、です。出るって分かっているのに理解出来ていない部分がある気持ち悪さ。これを持っている限り、いくら80点を取ろうが、僕は「勉強できなかった」と言いたくなるんですね。
で、後になって「死ね」と言われる。
「違う!! 冤罪だ!!」と訴えても効果はありません。不安を感じながらも、結果としてお尻に触れてしまったら捕まってしまうのと一緒です。
こうして、勉強してない詐欺が成立します。
〇
ここから僕は一つ勉強しました。一つの感情に一つの事実は結び付かない。例を挙げると、勉強における「不安だ」という感情に対して、どれだけ勉強したかとか、どれだけ理解しているかということは一意に決まらないんですよね。
人によって判断の基準は違います。だから、まずはその人の基準はどのようなものか、それを知ることが大切なんだろう、と。
とても難しいことなのですけどね。
でも、僕はそれを抱えていきたいと思っています。ある人が「彼はとてもエッチだよ」といった時、どのようなレベルで変態なのか、それを見極めることが大切なのです。それを可能にするのは対話です。
皆さん、みずから「エッチです」という人に会った時、すぐに自分の基準で決めつけず、会話してあげてください。意外とエッチじゃなかったり、予想以上にヘンタイだったりしますから。そうしたら、仲良くなれるかも判断できるし、自分の基準も明確になっていきます。
僕はとりあえず「”生もみの木”がエッチに聞こえる」という人はヘンタイだと思っています。皆さんはいかがでしょうか。
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