第46話 生き急いだ所でなんになる
前回、時間捻出のへたさを棚に上げて、鼓舞に見せかけた愚痴を吐き出しました。どうしてこんなに時間がないんだろう。まだアメリカだけでも半分の州も回れていないし、中南米は手付かずで行きたい気持ちが募るばかり。アメリカのクレジットカードで20万円近いポイントを稼いだのに旅行に使えるような情勢じゃない。代わりに趣味を増やしたのですが全てが中途半端です。
見事に空回っている感じがします。
そして、気付かれた方もいるでしょう。
「一日一時間しか費やせずにそれが何になるんだ?」と。
仰る通りです。僕も分かっています。一日一時間練習を続けた所で、人を感動させられるような超絶技巧や心理テクニックを手に入れられるわけじゃない。一時間程度じゃ「そのジャンルに詳しくない人には凄く見える」くらいになるのが精いっぱいでしょう。
毎日、全ての時間を費やしているのに花が咲かない人もいるし、持てる限りの時間を費やしたのに芽すら出なかった自分を知っていますからね。それが才能の差というものです。この世は絶対に平等なんかじゃないですよ。必ず差があります。人類補完計画を発動させない限り、その絶対的な差は埋めようがありません。
だから僕はトップを狙うのは止めました。目指すのは「めっちゃ器用貧乏」です。
トップになろうなんて思うから挫折するんです。費やした時間の数だけ悔しさは増えてストレスになりますし、上位は努力を怠らない才能オバケばかりですから。
でも「そこそこ上手」くらいなら僕でもなれる。毎日一時間続けられることであれば、人並み+αくらいにはなれるものです。負けて上等。こっちは総合力で勝負してるんだ。言い換えれば、将棋のプロにバスケで挑んで何とか平静を保てるんだ。
満遍なく雑多なジャンルの物事に手を出す。こうして僕は自分のアイデンティティを確立し、「なにものにもなれない自分」を肯定します。
バカで融通は利かないけど詰め込み勉強だけはそこそこできた。野宿と自炊をしながらふらっと関西から北海道まで自転車で走った。暇だったから車でアメリカを横断した。周辺の女子大生が集まるサークルで童貞を守り抜いた。(半)裸を見られた数は百人を記録。友人に「運動神経が無駄に良いよな。猿みたい」と褒められた。「あんたカッコいいねぇ」とパートのおばちゃんたちに(だけ)人気だった。大学の食堂で「おっぱいの日記が好き」と称賛された。
個々の項目では三人に一人くらいの珍しさですね。いわゆる凡人。どれもこれもトップの足元にも及びませんし、自慢できるようなものでもありません(質的に)。
でも、これらが組み合わさることで僕という人間が際立っていく気がするんです。一つ一つは大したレベルではなくても、全部を兼ね備えている人は中々いない。そんな「器用貧乏」になれたら良いな、と考えています。
タイトルに戻りましょう。
生き急いだ所でなんになる?
正直、生き急いだところでなんにもならないんですよね。
でも、なんにもなれないからといって僕が努力しない理由にはならない。
だから、僕は生き急ぐのです。
「3月のライオン」の
途中、色々とエピソードを出した中で詳細が気になるものがあればお声がけを。コメント頂ければ喜び勇んで書きたいと思います。お声がけ頂かなくとも、半裸のエピソードは(多分)そのうち書きます。
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