第35話 オチは先に考えるのか
書き出すときに一番悩むのはオチですね。書きたいことがあったとしても、どのように終わらせるのか。いわば、プロットをきっちり立ててから書き始めるのかどうか。これは個人的にかなり難しい問題です。
エッセイでは凡そ3~5日更新を目標としているので、プロットをかっちり作っていると、どうしても時間が足りない。だから僕は見切り発車が多いです。言いたいことだけ決めてオチは後からついてこいスタイル。亭主関白ですね。まだ見ぬ伴侶は大変かもしれません。
ともかく今日は僕のオチへの持って行き方を紹介して、皆様からアドバイスを頂きたいという思惑です。こうすれば綺麗にオチがつくよ。この方法がオチを振り向かせやすいよ。オチとはこんな所で出会ったよ。オチの性格別アプローチの仕方。理想の経済力は。身長は気にするかどうか。休日の過ごし方でウケが良いものは。など、色々なアドバイスをお待ちしています。
例えば「会社の敷地内でキングスネークを見かけた(実話)から、へびの可愛さについて書こう」と考えたとします。しかし、僕がへびについて語れるのは、熱を感知できるピット器官をもつ、熊に助けられた少年に催眠術を掛ける、伝説の忍を穢土転生できる、鬼の妹に対してネチネチする、くらいです。伝えたいことが「へび可愛い」ですので何の役にも立ちません。駄目だ、書けない。しかし、このままうんうんと唸っていてもどうしようもないので一先ず書き始めるという訳です。もちろん一瞬で書くべき言葉が無くなるので、どうにかならんのかと妄想に逃げます。
蛇、へび、ヘビ……。へびは可愛い。あの可愛さを分かって貰うにはどうすればいいのか。そうだ、可愛いは女性の参考になるのでは。そうして役に立てば女性の読者も増えるし、へびも可愛いと思って貰えるし一石二鳥ではないか! そう思いついてへび系女子に思いを馳せます。
「にゃんこのような口、くりくりとしたおめめ、暗闇でも生体を感知できるスキル、甘えてぎゅっと腕に絡みつく仕草、ぱくっと美味しそうに食べる姿」
これは中々良いのでは。間違いなく5年後にはへび系女性が流行っているはずだ。書いていくうちにだんだん現実味を帯びていきますね。あとはすべすべした肌、神の使いになるほどの高貴さなどを付け加えて主張を強化していきましょう。想像できますね、へびのような女性がモテる社会が。これで女性の役にも立てて、へびも見直される。書きたかった主題を書けたなー、と感じれたので自然とオチもついてきました。
「なお噛まれると痛い。たまに死ぬ」
オチの為にちょっと極端な断定をしたので(種類によります)とかフォローしておけば完璧でしょう。これは言いたいことの反論(弱点)がオチになったパターンですね。言いたいことばかり言っていると、ふとした瞬間に「これ言われると弱いな」という部分が頭に浮かびます。それが結果的にオチになった訳です。ふぅ、良かった良かった、とほっとして書き終えることが出来ました。ちなみに「普通の女性も噛まれると痛いぞ」「なーに、毒も受け続ければ耐性がついて死ぬ」と普段から噛みつかれている男性が支援してくれたら、それはそれで良い二段構えのオチになりますね。
○
上記の思考の流れを整理していて思い浮かんだこともあるので、それも書いておきましょう。へびの可愛さは捨てて、妄想が膨らむ方向へと走っていったパターンです。
「へびと言えばツチノコ。山育ちの少年にとっては永遠の憧れです。昔から捕まえてみたかったのですが、ツチノコって本当にいるんでしょうか。たぬきを丸呑みしたへびとかありえる。はたまた、こっそりチョコレートを貰った裏切り者の田中をぱくりと呑み込んだ有難き神の使いかもしれない。なんていじらしいの。いやいや、大きくなり過ぎて昨日どこかに落としてきたモテ
妄想だとパスタのように水を吸って勝手に文章は膨張していきますから、文字数が稼げて楽ですね。可愛いという本音がこぼれ落ちてしまっていますが、隠し味みたいなものなので良いでしょう。この文章はツチノコの本当の姿というものを妄想で膨らませる文章なので、こういうのは逆にあり得そうな現実で締めるのが良いのではないかと思います。
「ただ、所詮はへびの見間違えというのが関の山でしょう。真実は案外ツチノコを食べたへびだったりするものです」
このように衒学ぶった言い回しで締めると妄想もキリっと引き締まります。……引き締まると思っているのですが、いかがでしょうか。
○
さて、今日は二つの例を取りあげてオチへの辿り着き方を書いてみました。研鑽の為とはいえ未完成な方法を披露するのは恥ずかしいですね。この文章も完全に見切り発車で、オチの見つけ方を書きながら探ってみよう、くらいの気持ちで書き始めたので、そもそも上手いこと言えているのか不安です。
今のところ、プロット作成から始めると一向に書けないのが僕の実力です。書き出しから主題、オチまで一連の流れが構成されているような文章。そんな美しい文章を書けるようになるのが理想。その理想に辿り着くためには実践を積むしかないのも事実。プロットを練る練習も必要になるかもしれません。その際は少し更新頻度を落としますので、ご了承頂きたく。
ただ、個人的にエッセイでは「無計画で走り出して知らない場所に行けたらOK」と考えている節もあるんです。今回の二つ目の例のように、書いているうちに思わぬ方向に進んでしまうのも楽しいですから。
プロットをきっちり作って先にオチをつける。見切り発車で走り出してオチを見つける。どちらも出来るようになるのが理想ですが、まずはオチと簡単に出会う方法を教えて頂ければ嬉しいです。皆様の知恵でへびのように一皮むけることを願っています。
――この話のオチが見つからない、とは思っていても言ってはいけません。
それが優しさというものです。
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