第13話 アメリカでは太ると言ったな。あれは嘘だ


 一時帰国した時にいつも言われるのが「思ったより太ってないな」です。


 皆さん、アメリカ人はライオンを子猫のように飼っていてもおかしくないマッチョか、日本人だと循環系がやられて存命出来ないであろうぽっちゃりしかいないと思っていませんか。五割正解です。あとの三割は縦にデカい痩せ型です。残り二割は下地に筋肉のあるデカいぽっちゃりです。


 さて、アメリカでは太る。

 よくこんな言葉を耳にします。主にジャンクフードのイメージからでしょう。

 

 しかしながら、断言します。日本人にとってアメリカはです。


 そう言える理由は3つ。


 車社会であること。

 外食が高いこと。

 施設が充実していること。


 今日はこれを声を大にして言いたいと思います。あくまで僕が住んでいる都市の話であることはご承知おき下さいな。


 1.車社会である

 大都市のダウンタウン以外はすべてが車社会。代行も無く、家族第一なので、仕事終わりの飲み会なんて滅多にありません。ふらっと飲みが入らない。これは大きい。


 仕事終わり、タイムカードを切ってエレベーターに乗った時に携帯が震えます。

「今、新宿で一人で飲んでる」(グループライン)

「行くわ」(この間、2秒)

 こんな、ムクドリが夕方の駅前に集まるが如き独り身の寂しい習性を発揮しなくて済みます。終電に揺られて「月曜からやっちまった感」を噛み締めることはありません。



 2.外食が高い

 大衆レストラン(ディナー)でも一皿15ドルが普通。これにお酒一杯とチップで30ドル。毎日飲みに行くなんてトンデモないです。行き返りのUber代もかかりますし。


 外食で安いのはジャンクフードだけ。安いと言ってもハンバーガーのセットで10ドルくらいです。一人暮らしで外食三昧なんてこちらでは出来ません。安く収めるには、毎日ピザかバーガーかタコスになります。(その為、低所得者は太っていると言われています)


 すると、自然と自炊になります。自炊だとめんどくさいので、献立は目玉焼きとサラダチキンとかになります。卵や鶏肉はたんぱく質が豊富です。たんぱく質は僕を構成する重要成分です。つまり、エッチな人を構成しているのはたんぱく質です。であれば、ライオンを子猫のように扱うムキムキマッチョメンは、実はとてもエッチなのではないか……?


 そんなことを考えているといつの間にか寝る時間で、食べすぎを防げます。



 3.公園が充実している

 コンドミニアム(集合住宅)の敷地内には大抵プールと小さいジムがついていますし、そこら辺の公園にはテニスコート、バスケットコート、広大な芝生広場があり、誰でも無料で使えます。予約もいらない。料金もいらない。ナイター照明も完備。運動へのハードルが相当に低いんです。

 

 日本のように球技禁止の公園。自転車侵入禁止のサイクリングロード。遊具の無い遊び場……。そんな存在価値が良く分からない公園は存在しません。


 禁止項目ばかりが増えた公園。彼らは「時代の流れだから」とため息をついてお茶でも飲んでいるのでしょうか。いやいや、一足早く桜が咲いたり、謎の穴が空いたりするのは、数少ない彼らの抵抗なのではないのか。そしていつか、そんな公園たちは密かに地下でネットワークを築きあげ、全てを禁止した我々に反旗を翻すのではないか。そこを通りがかった人間を丸呑みし、木や土で作った用具であらゆる球技を体験させ、車道も歩道も全てを引き込み、バベルの塔のような総合遊具に人を住まわせる。いつしか、公園の中に取り込まれた人々の方が多くなり、公園に人間が飼われる世界が生まれていく……。


 そんな恐怖を感じると、おのずと公園でスポーツをしたくなるのです。

「僕は公園の反乱には巻き込まれないぞ」

 そう思って出かけるようになりました。

 

 



 上記した背景から、体型維持は比較的簡単です。

 週に何度か一緒にボールを追いかけるだけで良いんですからね。


 会食が多い職種の方は別として、アメリカに来て太ってしまうのはもったいないと思います。こんな環境があるのですから。

 

 やはり、アメリカは圧倒的に「痩せやすい」環境だと宣言しておきます。



 

 しかし、皆さん、思いますよね。

「痩せやすい環境だからと言って、痩せられるのか?」


 もちろん、僕はそうは思いません。

 人は動機や目的が無いと行動には中々移せませんから。環境が良いだけではダメなのです。





 じゃあ、痩せるためには何が必要か。一番大切なことをお伝えしましょう。

 答えは非常にシンプル。



「モテたい」



 その純粋な気持ちが大切です。(感情論)




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