第12話 素直な感情表現が出来ないのです
さて、旧エッセイのPVが10,000を超えました。嬉しくなって思わず書いたのが前回です。衝動性が文章という枠組みにひびを入れて漏れ出していますが大目に見て下さい。どうして素直に皆さんに感情を伝えることが出来ないのか。そうです。僕は感情を表に出すのが苦手です。
「嫌なことを嫌と言えない」
「好きなものをオススメするのが押し付けに思える」
「嬉しい時は、ついつい要らんことをしてしまう」
「突然のことに驚くとWindows95よりも固まる」
こうした事例はさもありなん。
「PVが初めて5桁に乗ったよ! これも皆のおかげ! ありがとう! 大好き!!」
みたいな、人気アイドルのようなMCは僕には出来ません。頭の中で別のAskewがうなりを上げるからです。
「もうちょっと生産的な文章は書けなかったのか」
「せめて土下座して読者様の情けを噛み締めろ」
「お前が『大好き』とか、普通は吐かないモルモットでも吐くわ」
結果、感謝を伝える文章はああなりました。「ありがとう」と言いたいだけなのに、どうしてジャイアント馬場やチョウチンアンコウが出てくるのか……。
リアルの会話はもっと酷い。素直な気持ちはこっぱずかしく、迂遠な道を探る間に言うべき好機は通り過ぎ、しまったしまったと後悔しながら、苦し紛れに言葉を残す。言いたいことは言えないままに、自ら発した言葉に躓き、セルフ落とし穴に興じます。
だからですね、素直に最短距離で感情から言葉まで到達できる人は羨ましいです。どうしてそんな簡単に「可愛いね」なんて言えるんだろう。どうして歯切れ良く「今日は嫌だ」と断れるんだろう。どうして「言いたいこと」をそのまま言葉に出来るんだろう。
銃口をちゃんと目標に向けて引き金を引いたはずなのに、なぜか隣に立っている女教官の咥えたばこを打ち抜く感じ。「どうしてそうなるんだ」と言われても本人も困惑顔。自分でも訳が分からないのです。もう一度、きちんと照準を定めてトリガーを引くと後ろを巡回していた中年監督のかつらを打ち抜きます。ち、違います、今のはわざとではありません。
そうは言っても、引き金を引いたことが原因であるのはわかっているので、不本意ですが、地面に落ちた毛束を見ながら頭を下げます。
「どこかAskew(歪んでいる)のでございます!」
僕は素直な感情表現が苦手なのですよ。
しかし、幸いカクヨムではその結果を楽しんでくれる方が多い。だから、僕は安心して引き金を引くことが出来ます。このひねた弾道に眉をひそめず、笑ってくれる特殊な方々だからこそ、ここまで読んで頂けたのですね。
そう思うと、この国のHentai道もまだまだ先に続いているようで、何よりもそれが嬉しいのです。
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