第3話 深海の悪魔
ひた、ひた、と近づいてくる天使の様な「悪魔」は音も無く深く暗い海底から敵艦隊へと確実に接近していた。
「よし、敵艦隊がまもなく射程内だ。最大戦速!一番から三番、魚雷発射管注水!」
「イエッサ、両舷最大。一番から三番発射管注水開始。」
やっとこの時点で連合軍艦隊も連邦軍も気付いた。潜行しているのが潜水艦であることを・・・
「何!クジラじゃない・・・潜水艦だ!例の奴らか・・・我々への攻撃ではなさそうだ。通過させてやれ」
「しかし、艦長。同胞をやった潜水艦です。我々も」
と言った時
「いや彼らに非は無い。首脳部のミスだ。自らの失態の証拠を消すことで隠そうとした・・・」
「確か、艦長はあの空母カールビンソンの副長でしたね」
そうイージス巡洋艦「マッケンジー」の艦長、ポート・ダクスは全てを見ていた。三ヶ月前・・・彼は空母カールビンソンの副艦長をしていた。
航空母艦「カールビンソン」、当時北大西洋艦隊主力空母であり”第五艦隊”の機動部隊の中核となる船であった。だが、気づいた時にはもう遅かった。発見から10分後....四本の魚雷をくらって轟沈したのだった。しかも、機関は「原子炉」を搭載していた。
放射能漏れは必至だったがその魚雷は機関部のみを”外して”撃沈させられた・・・。
この戦争に何の意味があるのかは知らない。しかし、世界を巻き込んだ「大事」になるのは必至だった。
だがこの期に及んで気付くのが遅すぎた。それ以前に兆候が無かったわけでもない。
南アジア連合はラバレン連合からの攻撃を予期していたいや、誘発している。そうとしか思えなかった。自ら軍事力として比較にならない強敵を相手にするなど自殺行為に近い。
発射された魚雷はマッケンジーの直下を通過直後のマッケンジー旗下艦隊の艦内はざわついた。沈められるという疑念というよりも確信に近いものがそれは違っていた。
それは強力な矛であり槍だ。ほとんど無音に近い潜航音を立てながらかなりの高速にて敵艦隊である「抗環太平洋軍」の艦船に向かって真っすぐ進んでいる。
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