第2話 授業
日課である朝練……中庭で軽く走り込みをした後、朝食をとってみんなの日程を確認。
同じく中庭にやってきたコヨミ姫(僕達がお世話になっているお城のお姫様)、とお茶した後、勉強のために空き部屋へと移動する。
空き部屋
「おはー! 元気だしていきましょうか! さぁ、ゆきなんの授業のお時間よ! 皆はっちゃけていくわよ! レッツスタディ!」
城の中にある空き部屋に入ったとたん、元気な声に出迎えられた。
声の主は、元の世界での担任、
この通り、とても生命力に満ち溢れた人なので、みんな時々に扱いに困る時がある。
事実、未利なんかは……。
「うざ」
と、とても彼女らしい反応をした。
その一方、なあちゃんと姫ちゃんの方は……。
「雪奈先生、元気いっぱいなの! なあも元気でてきたの! ぴゃっ、その前に挨拶しなくちゃいけなかったの! おはようございますするの!」
「あはは、いつも元気だよね。先生は」
同じく元気いっぱいの態度で受け入れたり、ちょっと苦笑気味になったり、だ。
なあちゃんと雪奈先生を見比べている未利は、げんなりした顔になって部屋に用意されている机に着席。
「愛嬌のあるなあちゃんの元気いっぱいは、見ててほほえましいけどさー。いい歳こいた奴が元気いっぱいなんてしてたらうざ、って顔にもなるわ」
雪菜先生を軽くする―して、勉強道具を用意している。
姫ちゃんとなあちゃんも席についたので、僕もそれにならう。
「ふぇ? 未利ちゃま。年齢に良いも悪いもないと思うの」
「えっと、それは……たとえというか。説明しない方がいいかな」
今日も相変わらず、僕達のパーティーは仲良しらしい。
目の前であれこれ言い合う彼女達を見つめながら、勉強道具を用意。
これからするのは、僕達が本来やるべきだった学校の授業だ。
異世界に転移しなかったら、やっていたはずの授業。
僕達の目の前には問題ばかり積みあがってて、正直それどころじゃないという気持ちがあるけど、元の世界に帰った時のことを考えるとおろそかにはできない。
五時間も六時間も、というわけにはいかないが、遅れるとまずい分野だけはこうして雪奈先生から教えてもらっているのだ。
パチン、と手を叩いた先生が場をまとめる。
「はいはい、さー。授業始めるわよ。今日は社会の勉強ねー」
性格はアレだけど、雪奈先生の授業はしっかりしてる。
ときおり小ボケを挟んだり、いきなりゲームが始まったりするが、これまでの勉強で分からなかったところはない。
元の世界に帰れる日がいつになるか分からないが、その時にする苦労はだいぶ軽減されるだろう。
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