第246話 ダイヴ
久しぶりの12連勤はきついですねぇ。
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さて、唐突にだけど、僕の住んでいるというかゲーニウス辺境伯領があるアドロナ王国。そして、現在、絶賛緊張状態にある北の大国アイソル帝国。名前の響きが少し似ているとジョージから言われたことがあるんだよね。
まぁ、隣国という関係もあるけど、2つの国が存在しているこのアイサール大陸に少しでも近づけて名づけを行なったのでは?と歴史研究者の中では云う人もいる。
そして、アイサール大陸だけど、エドワーズ空軍基地の資料室で地球地図を見た時にそっくりな大陸を見つけたんだよね。たしか・・・、そうオーストラリア大陸。アイサール大陸はオーストラリア大陸みたいに北の部分に2カ所の突起があるんだよ。まぁ、同じところはそこだけ。他は全然違う。アイサール大陸の方が約2倍大きいし、エシダラの北半球にある。そして、植生は豊かで砂漠地帯はほとんどない。というか、魔物の影響で砂漠化してしまったところも植林して緑を取り戻している。
その大陸の北西部に勢力を築いているのがアドロナ王国とアイソル帝国の2か国となっているんだ。アイサール大陸の西にはカチレマ大陸があって、これは地球地図でいえば、そうだなぁ・・・、インドとかパキスタンとかいう国の周辺を切り取ったような形かな。カチレマ大陸のイルブレナック魔王国の魔族と
で、アドロナ王国に話しを戻すと、王国とアイソル帝国が全面的な武力衝突を行わなかった背景に、2つの国を分断するように東西に2,000~3,000m級の山々が連なるネリー山脈と魔物が
陸上が無理なら海上はどうだろうかと考える人もいるだろうけどネリー山脈の西端であるエルカン岬の存在が大きく影響しているんだ。この岬は先の海戦でも目標地点としていたこともあってその存在自体が大きい。質量的な面でね。岬だから数百m程度とジョージも最初は勘違いしていたけど、ネリー山脈から2,000m級の山が続いていて、それが6kmほど海に突き出しているんだよね。平坦な本当の岬は十数mほどしかないんだ。だから帝国艦隊も岩礁地帯の関係から岬から50kmも距離をとって侵攻してきたんだよ。
ま、そんな感じで遠回りをすれば勿論だけど兵は疲れてしまう。逆に防御側は相手が岬を通過するまでに防御陣形を敷いて、待っておくだけで疲れた敵艦隊がやってくるというわけ。まぁ、地球から【召喚】した“霧島”みたいな人間が櫂を漕いだり帆を張ったりしないで動ける船が登場したらあまり意味がないものになっちゃうけどね。
そして僕がこんなことを考えているのは、今、ルーデル大佐の操るF-15E“ストライクイーグル”の後席にいるからなんだよねぇ。ま、現実逃避ってやつかなぁ。
そんな僕の疑問をよそに滑走路にイーグルは正対する。管制塔とルーデル大佐のやり取りを聞きながら沈んでいる夕日が綺麗だなぁとすこーし現実逃避する。
「離陸許可が出ました。離陸します。」
うん、大佐と管制塔のやりとりは聞こえていたよ。そして、ルーデル大佐の言葉と共にイーグルが離陸滑走を始める。そして前輪が滑走路を離れて浮いたと思うと同時に垂直方向のGがのしかかる。ルーデル大佐が60°オーバーという体感的にはほぼ垂直の機首上げを行なって離陸したからだ。
しかも、アフターバーナーを焚いているから速度もドンドン上がる。高度1,000mを越えたと同時に音の壁を突き破る。あ、ちなみにこのイーグルは爆装してないんだよね。僕にルーデル大佐の腕前を直に体験してもらいたいと云うことで。だから、武装は固定武装の500発装填済み20mmバルカン砲のみ。ドロップタンクも無くて、コンフォーマルタンクとLANTIRN(ランターン)。ま、ものすごく軽いということだね。
カタログスペック上の上昇限度である18,200mを越えて高度計は19,600mを示している。
「『それでは、今から
機内無線で大佐は一方的に告げて、操縦桿を押し倒す。一瞬の浮遊感の後にまたしても強烈な加速Gがのしかかってくる。高度計の表示が上昇中とは逆に凄い勢いで変化していく。すでに速度はマッハ2.5を超えている。
そして、高度3,000mでエアブレーキを作動させながら、操縦桿を引いて機首上げを行う。Gリミッタが解除されているけど、それでも「オーバーG」の警告音声が鳴り響く。僕は13Gに近い負荷に耐えながら下半身に溜まろうとしている血液を魔力を集中して脳へと送る。ちなみにルーデル大佐は呻き声1つ上げずに再上昇を続ける機体を操っている。本当に人間かな?地球人って魔力はほとんどないはずだよね?普通はブラックアウトして気絶しちゃうよね?
「『では、2度目はもっと高空から行い、引き起こしは低空で行いましょう。』」
うん、ジョージが言っていた“魔王”の本当の意味が分かったような気がするよ。
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