第187話 戦力増強?

前回の投稿から時間がかなり空いてしまい申し訳ありません。仕事が原因で心身に不調をきたし療養中でしてなかなか投稿できませんでした。これからは最低でも週に1回ぐらいのペースで投稿していきたいと思います。


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 6月17日の土曜日はクスタ君の家族への紹介も問題なく終わり、明けて18日の日曜日の朝、僕はエドワーズ空軍基地に来ていた。20日火曜日から始まる龍騎士ドラグーン志願者選抜訓練の最終準備をするためだ。と云っても既に必要な施設はあらかた【召喚】している。兵舎に学舎、食堂に屋内運動場も兼ねた講堂などなど充実した内容となっている。ボブ達海兵隊員とレンジャー連隊長レドモンド大佐の助言のおかげだけどね。


 今日は志願書で事前申告してもらった体型に合わせた訓練着を人数分【召喚】するために来たんだよね。それが終わるとルーデル大佐から話しがあるということだったので基地のカフェで待ち合わせている。


 カフェに着くとルーデル大佐は既に来ていてミルクと軽食を摂っていた。僕に気付くと起立して敬礼してくる。答礼をして座るように促す。ジュースを頼んで僕も座る。


「待たせてごめんね。今日は休日だからこの口調でいくよ。大佐も硬くならないで。」


「はい、ガイウス卿。」


「早速だけど今日呼び出した理由を聞いても大丈夫かな?」


「実は、私が指揮していたSG2(ドイツ空軍第2地上攻撃航空団)の搭乗員たちとA-10CとF-15E“ストライク・イーグル”の【召喚】をお願いしたいのです。」


 僕はジュースを飲みながら考える。A-10CはわかるけどF-15って戦闘機って系統だったよね。地上の目標を攻撃するには向いてないんじゃないかな。そのことをルーデル大佐に伝えると、大佐は笑みを浮かべながら、


「F-15Eは対地攻撃能力が付与されています。それも強力なモノが。勿論、制空戦闘機のF-15Cをもとにしているので対地支援時間についてはA-10Cよりも劣ります。が、速力は上ですし空戦能力も高いので即応性に優れています。私はこの2機種を使い分けて部隊の運用をしていきたいと思っています。」


「う~ん、どうしようか・・・。AWACSも配備しないといけないからね。シンフィールド中将には話したの?」


「ええ、ガイウス卿には失礼かと思いましたが先に中将閣下に了承を得ました。」


「それなら問題ないね。ただ、20日からは龍騎士ドラグーン志願者の錬成が始まるし、25日には式典があるからそれらが終わってからね。」


「了解しました。それと、もう一つお願いが。」


「ん、言ってみて。」


「日曜日を除き平日は必ず1回の出撃を許可して戴きたいのです。」


 そう言って僕をじっと見る。僕はため息をついて言う。


「自分の命をおろそかにしないと約束できるのであれば許可するよ。」


ルフトバッフェドイツ空軍士官として誓いましょう。」


 互いに敬礼をして別れる。


 その後はシンフィールド中将の執務室でボブとレンジャー連隊のレドモンド大佐、ナイトストーカーズのコールドウェル大佐と共に龍騎士ドラグーン選抜錬成について話し合いをする。その中でルーデル大佐のことについても軽く触れたら、


「ふむ、ガイウス卿なら了承されると思いましたが“魔王の定期便ていきびん”が行われるのですね。」


「“魔王の定期便”?説明を願えるかな、中将。」


「最近、兵たちの間でルーデル大佐が出撃することを“魔王便まおうびん”と呼ばれておりまして、今回、大佐がガイウス卿へと定期出撃を上申するということを耳にした者達が新しい名称として考え付いたものです。」


「うむ、納得したよ。」


 ボブ達3人も頷いている。ルーデル大佐へのみんなの評価がよくわかるね。


 ルーデル大佐の話題を終えて、錬成に関する細かいことも終わるとコールドウェル大佐が1つの提案をしてきた。


「我が連隊にMi-24“スーパーハインド”を配備して戴きたいのです。完全武装の兵員8名を輸送できる攻撃ヘリコプターとなります。歩兵部隊の展開後に即時上空支援も今以上に可能です。ただ、合衆国のものではなくロシアという国のモノになりますので少々の訓練時間を戴きます。」


「何機欲しいの?」


「まずは30機ほど。」


「わかったよ。【召喚】することを約束しよう。ただし、25日の式典が終わってからね。ルーデル大佐も同じ条件だよ。」


「了解しました。ありがとうございます。」


 大佐たちの敬礼に答礼をして馬に跨りニルレブの町へと向かう。途中、兵舎の近くを通ったけど志願者達はキチンと規則通りに過ごしているようだった。僕に気付いた何人かは膝を着いて挨拶をしてくる。服装的に領軍か衛兵隊からの志願者かな。頑張るように伝えて進む。


 町へと入るとそのまま冒険者ギルドに向かう。名前と目的を告げるとすぐにギルドマスター執務室に案内される。ノックの後にレンニさんの「どうぞ」という声が届く。


「失礼するよ、レンニ殿。」


「これはガイウス閣下。どうぞおかけください。すぐに飲み物の用意を。」


「ああ、すぐ終わるから必要ないよ。ただ、2人だけで話しがしたいのだが?」


「わかりました。」


 案内してくれた職員さんは頭を下げてすぐに退室し、それを確認したレンニさんが鍵をかける。そして、僕は風魔法で防音壁を室内にまとわせる。


「それではお話の内容をお伺いしましょう。」


「ええ、お願いします。私の私兵が連日のように黒魔の森へと出向いていることはご存知であるとは思いますが、いかがでしょう?」


「ええ、狩った魔物を売却して戴いているので把握しております。勿論、兵としての練度も。」


「実はですね、その者達が狩っているのは比較的浅い場所であって、もっと深い所では別の兵達が集落や群れを潰してまわっています。スタンピードを防ぐためにです。残念ながら死体の回収ができないほどに損壊をしているので証拠を持ってくることはできないんですけどね。」


「・・・なるほど。因みに討った集落と群れの数の合計をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「はい、47ほどになります。」


 僕の言った言葉をレンニさんは反芻はんすうしながら室内をグルグルと周り始める。


「この短期間で黒魔の森の深層の魔物の集落や群れを47も討ち取る?無理だ。いや、しかし、閣下の私兵の力量ならば・・・。」


 思考の海に潜っちゃった。落ち着くまではしばらくこのままにしておいてあげよう。僕はそう思いながら、応接用ソファーに座り果実水とボブから借りた戦技教本を取り出して時間を潰すことにした。


 それから30分ぐらいして思考がまとまったのかレンニさんが口を開く。


「閣下。手の内を明かしてもらうことは可能でしょうか?」


「それは、皆と相談してからになると思います。それでもよろしければ。」


「それはもちろんそうでしょう。いきなりのことですから。」


「もし可能だとしても、この1週間は25日の式典への準備がありますので、その後ということになります。」


「わかりました。要望を聞き入れてくださり感謝します。」


 レンニさんはそう言って深く礼をする。


 冒険者ギルドを出た後は【空間転移】で黒魔の森の深部へと向かう。ヘラクレイトス達と出会った場所よりもは浅いけど。


 目的は追加の飛龍ワイバーンの確保だよ。ヘラクレイトス曰く、


「我々の住処の付近には他にも群れがおった。我よりも上位の者がおらんので我に従順であった。運が良ければまだおるかもしれぬぞ。」


 との事だったのでヘラクレイトスに教えてもらった場所を周り、飛龍ワイバーン達を勧誘と説得をして(少~し僕の力を見せただけだよ。)エドワーズ空軍基地に連れて帰る。これで500体近くの飛龍ワイバーンを確保できたよ。やったね。


 あとは上手く龍騎士ドラグーンとして戦力化ができればいいね。新しく連れてきた飛龍ワイバーン達は僕とヘラクレイトスに従順だから問題は無いだろうけど。


 ちなみに衛兵隊にはこのことついてニルレブを出る前に伝えておいたから騒ぎにはならなかったみたい。でも、当直日だったヘニッヒさんに行政庁舎に呼び出されて怒られてしまったよ。


「閣下の行動は性急過ぎますし、他領や中央への配慮を考えてください。600近い龍騎士ドラグーンなど王国内で運用している所はありませんよ!?」


 とのこと。


「辺境と国境の防衛力が上がるから大丈夫じゃないかな?」


 と言ったら深いため息をついて、


「閣下。先程も言ったことと重なりますが、仮想敵国である帝国に隣接する辺境領で急激な軍備の増大がどう思われるかまではお考えにならなかったのですか?閣下でなければ“反乱の兆し有り”と中央が受け取りかねません。」


「なるほど、そこまで深くは考えていませんでした。今からでも軍務大臣のゲラルト卿に報告をしておきましょう。それならば、どうでしょう?」


「それがよろしいかと。また、領軍の再編が終了した際には軍務省より査察官を派遣してもらったほうが中央の方々は安心するでしょう。」


「ふむ、ではそのようにふみにしましょう。」


 その後は言葉通りに書簡を作成し早馬で王都に届けてもらうようにヘニッヒさんに頼んだ。


 ベルント義兄にいさんとディルク義兄にいさんには、


「600越えの龍騎士ワイバーンの育成は無理だ!!」


 と泣きつかれたけど一緒にいたクリスティアーネが2人の耳元で何かを言ったら、2人とも青い顔をして承諾してくれた。いや、まあ、強化された聴覚で内容はわかっちゃったんだけど、2人の名誉のために秘密にしておこう。うん。

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