第176話 加増
6月1日の木曜日はディルク
6月2日金曜日から5日月曜日までは大人しく執務をしていたよ。日曜日だけは、ヘラクレイトス達と模擬戦をして遊んだけどね。
さて、6月6日火曜日は領軍を編成するにあたりジギスムントさんをオツスローフ方面隊司令官(国軍が居なくなって人員が減ったので各方面軍から各方面隊に縮小されたよ。)から解任し、ゲーニウス領軍司令官へと領主の権限で昇格させた。総司令官はもちろん僕だけど。やっぱり有事の際に最後に責任を取るのはその領の最高権力者じゃないといけないからねー。
ついでにジギスムントさんを男爵から子爵に昇爵させたいので、オリフィエル領のこともあるし国王陛下に会いに行こうと思う。
というわけで、6月7日水曜日アントンさんを除くシュタールヴィレの面々とグイード・シャルエルテ騎士、アルト・ベンヤミン騎士、ロルフ・エフモント騎士、島津豊久率いる50の騎兵に護衛についてもらって王都までの3日の強行軍をこなした。先触れを
前回、呂布隊が往復していた道程だったので排除するような敵も出てこなくて豊久たちが暇そうにしていた。平和なのは良いことだよ。うん。
6月9日金曜日の昼前には王都ヌレクに着いた。すぐにアルムガルト王都邸に行って身支度を整えさせてもらった。早く僕も王都邸を持たないといけないんだけどなかなか決まらないんだよねえ。ま、ダヴィド様からは好きに使ってよいとお墨付きを貰っているからしばらくはアルムガルト辺境伯家に厄介になるかもね。
それじゃあ、身支度も済んだしグイードさん達3人に護衛してもらいながら王城へと向かいましょうか。馬車は使わずに馬での移動だけど道中は特に襲われることもなく王城の正門に着いた。正門の守備の任に就いている近衛兵さんに以前、国王陛下より戴いた書状を渡して僕の名前を告げる。近衛兵さんはすぐに確認を終えよく通る声で指示を出す。
「ガイウス・ゲーニウス辺境伯閣下、ご到着!!開門!!」
すぐに門が開く。門を開くように言った近衛兵さんが近づき片膝を着きながら、
「閣下。ご存知かもしれませんが場内は許された者以外騎乗禁止となっております。あちらの厩舎員へと馬は預けていただくようお願い申し上げます。護衛の方々も。また、武具の類は控えの間にて預からせていただきますのでご了承ください。」と言ってきた。
「うむ、大丈夫だ。ところで案内の者はおらぬのかね?」
「あちらのメイドがご案内いたします。」
「わかった。」
あー、偉そうに話すのは疲れるなあ。まあ、これも仕事だよね。グイードさん達と共に先導してくれるメイドさんの後をついて控えの間まで向かう。空気が固いなあ。
そんな空気の中で控えの間に着いた。すぐに持っている剣とかを近衛兵さんに預ける。その後は部屋の中で国王陛下からの呼び出しが来るのをゆっくりとお茶を飲みながら待つだけだ。
【気配察知】を使って謁見の間の様子を探ってみる。宰相さんはもう来ているようだ。陛下は向かって来ている途中。それと、護衛の近衛兵さんたちが10名。護衛の数が少ないような気がするけど僕が指摘するものでもないかー。
十数分待って謁見の間へと僕は案内された。前回と同じように、陛下の玉座の
「
「ご配慮有り難く。より王国の発展のために力を尽くす所存であります。それと、もう一つお願いがございます。」
「ほう、言うてみよ。」
「はい、私の護衛として着いて来ている3名の騎士たちを騎士爵から男爵へ昇爵して戴きたいのです。先の事件の功労者でもあります。」
「ふむ、問題なかろう。アルノルト頼んだ。」
「はい、陛下。」宰相さんが応える。
「ありがとうございます。陛下。」
「うむ、それではな。今後の活躍を期待する。」
「はっ。」
たったの数分で何日も時間を喰った件は終了してしまった。陛下が退出した後は宰相さんと共に簡単な事務手続きを済ませ、控えの間のグイードさん達と合流し武具を返してもらって王城を後にした。一仕事終了。早くアルムガルト王都邸に戻ってゆっくりしよう。
うん、ゆっくりできなかった。アルムガルト王都邸に着いてすぐにグイードさん達に男爵位への昇爵を伝えたら、それを見たメイドさんが「お祝いですね!!」と笑顔で走り去ったおかげで簡易的なパーティーを開くことになっちゃった。
ホストは僕とクリスティアーネ。主賓?でいいのかな、これは今回男爵になったグイードさん達3人。ゲストはいないけど使用人さん達が参加してくれているから結構にぎやかだ。まあ、使用人さん達も貴族出身だったりするからね。ただ家が継げない次男以降の人達が多いね。クレムリンでも人を雇わないといけないよねえ。
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