第175話 志願者数は・・・
「877名です。」
クスタ君を呼び出して、現時点での志願者数を報告してもらう。
「それは、ゲーニウス領全体での志願者数ですか?」
「いえ、ニルレブを中心としたルケイン、ルンテルホーフ、シェーネベルク、アウツラーベルクの5大都市のみです。オツスローフなどの地方都市や小都市、村の集計はまだ時間が掛かります。それと、他の領からも志願者がいまして冒険者を中心として現在400名ほどになります。」
「現時点で約1,280名ですか・・・。定数越えもいいところですね。ヘニッヒ卿はどう思われますか?」
「ざっと、志願書を確認いたしましたが冒険者が80%、領軍から転科を希望するものが5%、残りの15%は貧民街の者達でした。閣下が
「人頭税が増えますね。それに、兵がお金を領内で使えば経済が周ります。」
「簡潔に言えばそうでしょう。ただし、もっと先を見据えれば今回の志願者達は一番上が36歳です。つまり、まだ子を成すことができる人間が多くいるのです。領内で婚姻し2人の子をもうけたとしたら・・・。」
「我が領の人口爆発、それに伴う景気の拡大が見込めますね。」
「その通りです。国軍の撤収した今ですから、貧民や他領の者、手に職のない者たちを兵として取り立てるのです。ここは国家の最前線なのですから。」
ヘニッヒさんが熱く語ってくれる。反対ではないからよかった。そして、ディルク
「なあ、ベルントよ。1,000名以上の教練とか経験あるか?」
「あるわけないですよ。ガイウス、私たちへの書簡にはそのようなことは書かれていなかったけど?」
「ええ、無論1,000名を超す候補者に対して教練はすることはありません。
「ん?確か書簡には87体の
「はい、ベルント
「それなら、何とかなるか。ねえ、兄さん。」
「ああ、そうだな。それでは、俺たちはここらで一度退散しようかね。」
「街中は案内を付けましょうか?」僕が提案する。
「いや、大丈夫。こういうのはフラフラとあてもなく見て歩くのが楽しいもんさ。・・・さて、それではガイウス閣下、ヘニッヒ閣下、ディルク・アルムガルト並びにベルント・アルムガルト退室します。」
そう言って、ビシッと敬礼をしてディルク
「さて、ヘニッヒ卿、ラウニさん、クスタさん、みなさんは最終的にどれほど
「ふむ、私の憶測としましては3,000近く集まるかと。」ヘニッヒさんが即答する。
「私も閣下と同じです。」「僕もです。」
ラウニさんとクスタ君も同じようだ。ゲーニウス領の人口は戸籍上は5万と少しだから適正かな?さて、今回の
「倍の6,000は集まるのではないでしょうか。無論、これは戸籍に登録されている領民のみになります。貧民街の者達まで
「ええ、戦闘工兵と言えばよいのでしょうか。平時は訓練と街道の整備などを行ない、戦時は戦闘から野戦築城までできる軍にしたいと思っています。ああ、それと私兵を増強しました。呂布将軍の騎馬隊に加え、島津義弘という将が率いる島津隊1,500の
「
「いえ、島津隊のみでは基本的な二次元的な三兵戦術を取ります。槍兵、騎兵、弓兵ですね。しかし、彼らには秘密兵器を持たしてありますのでさらに戦術の幅は広がっています。また、必要に応じて“鋼鉄の鳥”が上空援護をしますので、三次元戦術をとれるので
「私としては“鋼鉄の鳥”にとても興味が湧きますが今は脇に置いておきましょう。しかし、秘密兵器については教えていただけないでしょうか?」
「んー、簡単に説明すると400m以上先の鋼鉄製フルプレートアーマーを穴だらけにできるモノですかねぇ。」
「革ではなく、鋼鉄をですか・・・。」
ラウニさんとクスタ君も言葉を失っているようだ。
「ま、兎に角は募兵です。兵科は問わないので最大定員1万ほどの常備軍を領軍として備えられるように行政のほうは動いてもらいます。編成についてはジギスムント卿を交えて会議を開きましょう。どうでしょうか?」
特に3人とも異論は無いようだ。頷いて了承の意を示してくれる。
「しかし給金が良いとはいえ、よくもまあ“命の危険最前線”に飛び込んできますねえ。」
そう言うと3人とも呆れたような表情をしながら、ヘニッヒさんが口を開く。
「代表して私が言わせていただきますが、閣下にそれを言われると志願者達の立つ瀬がないかと。」
ラウニさんとクスタ君がウンウンと頷いている。解せぬ。
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