第114話 召還能力の実態
「さて、ガイウス。君が召喚するモノは無生物、生物を問わずにコピー、模造品なんだ。もちろん寸分たがわぬ本物と同じ物だけどね。模造品だから地球から本物が無くなることはない。無生物のモノはこの
「以前、【召喚】したジョージ・マーティン中尉に確認したら、地球に戻ったら【召喚】された時のことは覚えていないと言われましたが。」
「そりゃあ、脳に記憶されるモノは残らないよ。ただし、この
アハハハと笑いながら地球の神様は言うが、異世界の、地球の歴史に少しでも影響が出てしまうんだ・・・。僕が考え込んでいると、地球の神様は、
「そんなに暗い顔をしなさんな。裏切り者から忠臣に変えて歴史に名を
地球の神様にほっぺたをムニムニされながら答える。
「そういえば、召喚する前と地形が少し変わっていたような。」
「そう、自動的に建築物などのモノは【召喚】される際に地形をそのモノに最適化して【召喚】される。そして、建物の向きについても自由に変えられる。今回は無意識に正門が街道を向くように【召喚】したみたいだね。」
へー、すっごい便利機能。ん、と云うことは、組みあわせていけば、地球の神様がさっき言った通り、本当にマルボルク城で国境を押さえることができるのかあ。一考の余地ありだね。
「それと、呂布隊を長期間【召喚】しておくようだけど、それについては問題ないよ。さっきも言った通り、魂を分けたコピーだからね。ガイウスが良い方向に影響を与えるのを期待しているよ。あ、そうだ。これも言っておかないとね。【召喚】した生物、これは地球もこの
「不死の軍団ができそうですね。」
地球の神様は笑顔で大きく
「まさしく、その通り。ま、ガイウスが自分自身で決めることだから、俺は口は挟まないよ。」
「【能力】に頼り過ぎて、溺れないように気を付けます。」
「ああ、それがいい。ま、君の場合は、いつも言っているように“魂の
「いつも、僕の“魂の器”のことをフォルトゥナ様も地球の神様も言われますけど、基準がわかりませんよ。」
「その質問には私が答えるべきね。そうね。 “勇者” 筆頭候補になるくらいの“魂の器”よ。」
笑顔でフォルトゥナ様が答えてくれる。えっ、それって、
「それって、僕が“勇者”になる可能性があったということですか?」
「可能性ではなく。“勇者”として選ぼうとしていたわ。このバカがやらかしちゃったから白紙になったけどね。」
“このバカ”というところで、かかと落としを頭部に喰らった地球の神様は「うごっ」と呻いて崩れ落ちた。そして、追い打ちの踏みつけ。地球の神様が地面?にめり込む。うん、いつもの光景だ。
「他に聞きたいことはないかしら?」
「いえ、今回は【召喚】のことについて聞きたかったので、大丈夫です。」
「それじゃあ、元の所に戻しましょうかね。貴方、凄い祈られているわよ。」
そう言って、僕を映した画面を見せてくれた。うわ、凄い祈られている。っていうか僕、今どんな状態なんだろう。仮死状態?
「仮死状態じゃないわよ。あ、思考を読ませてもらったわ。ごめんなさいね。それで、今のガイウスは意識と魂がこっちに来てこっち用の体を作っているだけよ。【召喚】みたいなもんね。まあ、【召喚】と違うのは、ガイウスは記憶を持った状態で戻ることができるということかしら。」
「はあ、そうだったんですねえ。」
「ええ、そうだったのよ。さ、お戻りなさい。」
「はい、ありがとうございました。地球の神様もありがとうございました。」
フォルトゥナ様は笑顔で手を振り、地球の神様はフォルトゥナ様に踏みつけられた状態で手を振ってくれた。
そして、僕は、光の中で目を開ける。それと同時に天から下りてきていた光が消えた。そして、包み込んでいた翼も消す。すると、祈っていた信者の人と巫女さんが僕を見てきた。とりあえず、笑顔を作り、巫女さんに対して、小声で話しかける
「フォルトゥナ様とお話しをしてきました。良いお話しができました。」
「それはようございました。辺境伯様。」
その後は、貴族の仮面を被り、
「これは、少ないが寄進として受け取ってほしい。」
そう言って、金貨を10枚寄進してから、教会をあとにした。そして、すぐに騎乗し、行政庁舎に戻る。すぐに門番の衛兵さんが案内して代官執務室まできた。ノックして名を告げると、「どうぞ。」とユーソさんの声が聞こえたので、室内に入る。中には、ツフェフレの武官さんと文官さんが揃っていた。あっ、防衛隊長のラッセさんもいる。みんなの視線の中、僕は笑顔を作り言った。
「フォルトゥナ様から、お許しを得ることができた。あの城塞はあのままでよいそうだ。」
すると、全員が一斉に
「閣下、まことにありがとうございます。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます