第113話 城塞の扱い
「1カ月だ。5月の末まで城塞を置いておきたい。それが過ぎたらすぐに撤去しよう。」
そう僕が言うと、ユーソさんを含め部屋の中の人、全員が首を横に振った。あれ?邪魔じゃなかったの?ユーソさんが口を開く。
「閣下。とんでもございません。あの城塞は、こちらに譲っていただけないでしょうか?もちろん、対価はお支払いします。しかし、あまりにも大金ですと、分割しての支払いになりますが。」
「諸君らはあの城塞が欲しいと。」
「はい、あのような立派な城塞、建築するまで何年もかかるでしょう。魔法を使ってもです。それが、1カ月もすれば手に入る可能性がある。このようなうまい話しにのらないわけがありません。帝国に対する抑止力になりますから。それに配置場所もよろしいですね。黒魔の森と街道の間という、魔物から民を
「ふむ、なるほど、わかった。しかし、あれはフォルトゥナ様にお手伝い戴いてできたものだ。フォルトゥナ様の意見を伺う必要がある。教会へ行く。案内は不要だ。確認ができたらすぐに戻る。」
「承知しました。閣下。」
そう言って、僕は執務室をあとにした。いやいや、【召喚】したモノを置きっぱなしって駄目じゃないの?特に今回は地球のモノだから、向こうの世界に影響があるんじゃないだろうか。取りあえず、教会に行ってフォルトゥナ様とお話しをしなければ。
庁舎から出た僕は、すぐに馬に乗り、教会を目指す。さっき通り過ぎたからすぐにわかる。馬を走らせ、5分で着いた。ツフェフレの町は、王都みたいに主要な街路が大きく作られているから馬を走らせてもそこまで危なくないのがいいね。
教会に入るとすぐに、巫女さんが応対のために近づいてきた。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
僕は貴族証を巫女さんに見せながら言う。
「私はフォルトゥナ様の使徒、ガイウス・ゲーニウス辺境伯である。フォルトゥナ様とお話しがしたく参った。」
「こ、これは、失礼いたしました。ガイウス様とは知らずに申し訳ありません。」
僕は小声になり伝える。
「いいんですよ。そんなに
「いえ、お気になさらず。さ、フォルトゥナ様の像の前へ。」
巫女さんも小声で
僕は、演出のため、背中から純白の翼を生やし、それを大きく広げ、自分自身を包むように折りたたむ。その光景を息を飲んで見守る巫女さんやお祈りに来た人たち。僕は、目を閉じ、集中する。
“フォルトゥナ様。応えてください。”
すると、僕に光が降り注ぐのを感じた。目を開けるとそこは、いつもの白い空間。神々の世界だった。そして、目的のフォルトゥナ様と地球の神様が、フォルトゥナ様の像の前で祈っている僕の姿を空中に描き出して見ていた。
「さて、ガイウス。今日はどうかしたのかしら?と、聞きたいけど貴方が辺境伯になってからは、ずっと貴方をこうして見ていたのよ。コイツのリクエストでね。だから、貴方が何を聞きに来たかは大体を察しているわ。」
コイツというところで、地球の神様の顔面に拳がめり込む。
「ああ、もちろん、貴方だけじゃなくて他の者も見ていたわよ。こんな風に。」
そういうと、空中に無数の人の現在の生活の状況が映し出された。鍛冶屋さんだったり、貴族だったり、スラムの子供だったり、無数にだ。僕がポカーンとして見ていると、
「気になる者がいれば、こうして画面に触れて、チェックをするの。するとしばらく、その者の行動を記録できるわ。便利よ。この機能は。見逃した瞬間まで
そう笑いながら話すフォルトゥナ様。僕はマルボルク城にいるクリス達のことを思い浮かべる。そうすると“シュタールヴィレ”の全員と、呂布、高順、張遼、奴隷のダグが、フォルトゥナ様の言う“画面”に映し出された。そして、画面を色々触ったりしていると、
「どう?なかなか面白いでしょう?貴方に【能力】としてあげようかしら。そうねえ、貴方が領地に赴任したタイミングであげましょう。そうしましょう。」
と笑顔で言ってくれた。僕は「ありがとうございます。」とお礼を言って、本題を切り出す。
「フォルトゥナ様、ご存知のようですが、僕が
「それは、俺が答えよう。何しろ、俺がやった能力だからな。」
あ、地球の神様が復活した。さっきまで「何も見えねぇ。」と顔を
「そいじゃあ、説明しようかね。」
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