第100話 試験(僕のじゃないよ!!)
読者のみなさまのおかげで、100話まで続けることができました。ありがとうございます。
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教会に戻ると、礼拝堂にはすでにアキームさんが待っていた。
「お待たせして申し訳ありません。」
「いえいえ、ガイウス様も予定されていた時間よりも15分も早いではないですか。」
「人を待たせるのが苦手でして。」
「
2人してハハハハと笑い、
「クスタには13時25分までに試験用の部屋に来るように言ってあります。」
「そうですか。わかりました。ローザさん達はどうします?」
「俺は、冒険者ギルドにまた行こうかね。」
「私も冒険者ギルドに行こうかな。」
「私とエミーリアは孤児院にお土産を渡したいわ。」
「
ということで、アントンさんとレナータさんが冒険者ギルドに。ローザさんとエミーリアさんは併設されている孤児院に。クリスとユリアさんは僕と共にクスタ君の試験をすることになった。
試験をする部屋に行き、準備を整える。試験官は僕とクリス、ユリアさんだ。アキームさんもいるが、クスタ君の精神安定のためにいるようなものだ。4人で談笑していると、部屋の扉がノックされた。13時20分だ。10分早いね。
最上位者の僕が「どうぞ。」と声をかけると、耳がペタンと寝て、尻尾が垂れ下がった状態でクスタ君が入室してきた。アキームさんの姿を認めると、すぐに耳と尻尾がピンとなった。う~む、獣人は耳とか尻尾で感情がわかりやすいね。クスタ君には試験に合格したら、感情を抑える練習をしてもらった方がいいかもね。
「さあ、クスタさん。席に着いてください。試験官は僕とこの2人の女性です。アキーム殿は、ただ居てくれるだけです。しかし、質問などはしてはいけませんよ。ですが、気分が悪くなったりしたら、アキーム殿に遠慮なく言ってください。内容は王国の歴史が60分。国語が60分。計算問題が90分の計3時間半です。試験の間に10分ごとの休憩があります。早く問題が解けた場合は繰り上げも可能ですから、遠慮せずに言ってください。質問はありますか?」
「いえ、ありません。」
「それでは、まずは歴史からです。時間前ですが、もう始めますか?」
「はい、始めます。」
「では、始めてください。」
そう言うと問題に取り組み始めるクスタ君。僕は、王都で買った懐中時計を取り出し、時間を
でも、クスタ君は集中すると良い意味で周りが気になら無くなるらしい。用意した、万年筆を動かす“カリカリ”という、音が響く。ふむ、最初は、書きなれない万年筆に苦戦していたみたいだけど、時間とともに慣れて、10分経った今では、スラスラと記述できているようだ。
「終わりました。」
「まだ、あと13分ありますが、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
「では、今から10分休憩です。飲み物はジュースと果実水を用意してあります。ユリアさん、お願いします。」
「はい。クスタ君は部屋の外で待ちましょうね。今から、この部屋で採点をしますので。」
ユリアさんはそう言いながら、クスタ君を部屋の外で休憩させる。僕とクリスは部屋に残り採点だ。アキームさんも残っている。ふむ、中々に良い感じだ8割正解している。嬉しい結果だね。残りの国語と計算問題も試験時間に余裕を持って終わらせていた。国語は9割5分、計算問題は9割9分を正解していた。計算問題の採点が終わり、クスタ君を部屋に招き入れる。
「結果を発表します。合格です。これで、クスタさんには選択肢が与えられます。5月末より、僕の下で文官として働くか、このまま2年後の15歳の成人まで孤児院にいるかです。」
「今すぐに答えを出さないといけませんか?」
「いえ、そうですね・・・。1週間後の5月1日に答えを聞きに来ます。その時までに決めておいてください。アキーム殿に相談するのも良いと思いますよ。アキーム殿、ご協力ありがとうございました。
「わかりました。
「はい、先生。」
そう言ってクスタ君はぺこりと頭を下げ、部屋を出て行った。部屋に残った全員で改めて答案用紙を見る。
「いやあ、凄いですね。クスタさんは。是非とも文官として働いてほしいものです。この問題、王都で自分が受けた文官登用試験の問題なんですよ。」
「そうなんですか!?ガイウス様。」
「ええ、そうなんですよ。アキーム殿。」
「はあ、普段は大人しくて、よく図書室で本を読んだり、自学をしている子でしたが、ここまでとは、
「ええ、もちろんさせていただきます。教会と孤児院にそれぞれ金貨を10枚ずつ。」
「そ、そんなにですか・・・!?」
「ローザさん達が言っていたでしょう?結構、大きな
「それでは、ありがたく頂戴します。一応手続きのために礼拝堂の方へお願いします。」
「はい、わかりました。」
そうして、アキームさんを先頭に礼拝堂に向かう。さてさて、クスタ君はどのような選択をしてくれるかな。楽しみだね。
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