第88話 初めての家臣
アルムガルト辺境伯家のお屋敷に帰りつくと、使用人一同が礼をもって迎えてくれた。
「「「ガイウス・ゲーニウス辺境伯様。此度はおめでとうございます。」」」
「ありがとうございます。これもアルムガルト辺境伯家のお力添えのおかげだと思っています。今後もより良い関係でいられたらと思います。」
彼らは了承の意を込め、お辞儀の角度を深くした。
「さあ、堅苦しいのはここまでにしましょう。ウベルティ伯爵家から先触れは来ましたか?」
家令さんが、
「はい、参りました。中はクリスティアーネ様が
「なら、僕の着替えだけですね。メイドさん方、着替えを手伝ってください。それと、昼を摂っていないので、軽くつまめるものをお願いします。」
「かしこまりました。」
そして、僕は、メイドさん達に連れられて、着せ替え人形となるのだった。着せ替え人形が終わったら、用意されたサンドイッチを食べ、ウベルティ
アントンさんからは「これからは、辺境伯様だな。」と笑顔でいわれ、クリス達には、「一緒に住まう屋敷は豪華でなくてもよいので、みんなが満足するモノにしましょう。」と言われた。いやあ、理解の早い仲間は助かるね。っと、もう13時50分だ。応接室で待っておこう。
14時ちょっと過ぎたくらいで、応接室の扉がノックされる。「どうぞ。」と声をかけると、家令さんが扉を開け、ウベルティ
「ようこそ、
「クレート・ウベルティで御座います。辺境伯閣下、本日はお招きいただきありがとうございます。閣下のご活躍は、まさに英雄的ものであります。武人として、こうしてお会いでき、誠に嬉しく思います。そして、息子のアダーモ・ウベルティです。」
「ウベルティ伯爵家三男、2級冒険者のアダーモ・ウベルティで御座います。閣下に先日に引き続きお会いできて光栄で御座います。」
「お2人ともありがとうございます。さて、堅苦しいのはここまでにしましょう。公の場ではありませんから。口調も普段通りでお願いします。さあ、おかけください。」
僕は椅子を勧め、メイドさんに紅茶を出してもらうようにした。
「では、お言葉に甘えて。アダーモも。」
「はい、父上。」
2人が座るのを確認してから、僕も座る。
「さて、僕は貴族的やり取りというのが、得意ではありません。いえ、貴族になったばかりなので、わからないと云った方がいいでしょう。無礼を働いたら申し訳ありません。」
「ガイウス様、そこは徐々に覚えていくモノです。先日国王陛下も
「ええ、
このことは、アダーモさんから聞いてなかったのか、クレート・ウベルティ伯爵はとても驚いた表情した。アダーモさんはそんなクレート・ウベルティ伯爵に顔を向け、
「父上、自分はガイウス殿の
「アダーモ、殿ではなく様と・・・。」
「ああ、敬称は気にしないでください。僕は実力重視で臣下を増やしていきたいと思っていますから。」
「はあ、ガイウス様がそう
「はい、お願いされました。それでは、アダーモさんよろしくお願いします。先日もお伝えしたように、受け入れの準備ができましたら、王都のウベルティ伯爵家のお屋敷へ連絡しますので、それまでは、無理をせずに冒険者稼業をなさってください。」
「はい、ありがとうございます。ガイウス殿。」
これで、有能な家臣を1人確保できた。やったね。その後は、雑談をしながら紅茶を楽しんだ。クレート・ウベルティ伯爵は、先日の模擬戦で使った【エリアヒール】について聞いてきたから、来週から“インシピット”の冒険者ギルドで講習会を開くって言ったら、是非とも国軍でもして欲しいと言われちゃった。領地経営とかが安定してから、1年以内に実施すると約束しちゃった。
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