第76話 帰り道で出会ったのは

 明日から新年度ですね。仕事がクッソ忙しくなると思いますので、定期的な更新ができなくなるかもしれません。ご了承ください。


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 ルプスと話し気持ちが軽くなった僕は、ちょっとだけ遠回りをして町に帰ることにした。とはいっても20分ぐらいしか変わらないんだけどね。でも、それで出くわしてしまった。ドラゴンに。飛竜ワイバーンではない、食物連鎖の頂点に立つドラゴンだ。


 んー、でも、出くわしたってのは語弊ごへいがあるかもしれない。彼(彼女)?が僕を見つけると急降下して、目の前に座ったからだ。おそらく、というか確実に僕を探していたんだろう。何か用だろうかと思っていると。


「んー、このままの姿だとしゃべりづらいわね。ちょっと待ちなさい。」


 一瞬、ドラゴンの体が光ったと思うと、そこには、冒険者らしき格好をした真っ赤な長髪の美しい龍人ドラゴニュートの女性がいた。


「貴方がガイウス君よね。はじめまして、私はレッドドラゴンのレナータ。今は、ドアナグラ王国で冒険者をしているわ。これ冒険者証ね。」


 そう言って、3級の冒険者証を見せる。軽く【鑑定】をしてみる。年齢は・・・。凄いな1523歳とは。能力値も凄い。ほとんどの項目で3000台だ。流石はドラゴン。さて、彼女は僕に用があるようだ。警戒しつつかぶとを外し、


「はい、はじめまして。僕がガイウスです。何か御用でしょうか?」


「やあね、そんなに警戒しないでよ。別に取って喰おうとかはしないわよ。フォルトゥナ様からお告げがあってね“アドロナ王国のアルムガルト領のインシピットに、面白い子がいるから会ってみて気に入ったら仲間になってあげて”と言われたのよ。そんで、ドアナグラから飛んで来たってわけ。すぐに見つかってよかったわ。貴方の能力の高さのおかげね。」


「はあ、なるほど。フォルトゥナ様の・・・。でも、僕は今日、フォルトゥナ様とお会いしましたけど、何も言われませんでしたよ。」


「んー、お告げではなんか驚かせたいみたいな趣旨のことを言っていたわよ。というか、貴方フォルトゥナ様と会えるのね。すごいわ。私はお告げのみでお言葉を賜るだけだから。」


 そう言うと、彼女は腰にいた長剣を抜いた。次の瞬間には僕の喉に深々と突き刺さっていた。僕は、ソードシールドを構えようとするので精一杯だった。ゆっくりと剣を引き抜く、


「私の動きについてこようとすることができるなんて有能ね。それに【不老不死】も本当みたいね。」


「ゴボッ、ゲホッ、僕じゃ無ければ死んでいましたよ。それで、お眼鏡にはかないましたか?」


 血を吐き出しながら問う。


「う~ん、今度はガイウス君から攻撃してみてよ。もちろん、全力でよ。」


「わかりました。全力でいかせてもらいます。」


 かぶとをかぶり、短槍を構える。そして跳ぶ【風魔法】を使い自分を押し出し、さらに加速する。レナータさんは最初、目を見開いていたけど、ニィっとわらい長剣で突きを防御した。僕はすぐに短槍で薙ぎ払いをかける。それも防がれる。それを20合続けていると、「剣の方も見たい」と言われたので、一回距離を取り、長剣を抜く。まずは上段からの斬り下ろし、簡単に防がれる。だが、ソードシールドの追撃が迫る。が、蹴りでソードシールドは軌道を逸らされてしまった。ふむ、からめ手も無理かぁ。


「【能力】を全て使ってみてよ。もっと、実力が見たいわ。」


 なら、お言葉に甘えて【魔力封入】で長剣を魔法剣にして、【火魔法】【水魔法】【風魔法】を纏わせる。レナータさんは驚いたのか目を見開く。そして、【土魔法】では、地中の鉄をかき集めて騎士姿の鋼鉄製ゴーレムを6体作る。包囲網の完成だ。と思ったのも束の間、レナータさんは怯むことなくゴーレムに突っ込んでいき、紙のように細切れにしていく。僕も隙をついて魔法剣で攻撃をするけど、全てさばかれる。呆然ぼうぜんとしていると、


「3種の【魔法】を纏わせた魔法剣に、ゴーレム。素晴らしいわ。でも、まだ物足りないわね。あなた今何歳?」


「12歳です。」


「あら、そうだったの!?まだ、成人していないじゃない。なら伸びしろはまだまだあるわね。今後に期待させてもらうわ。さて、最後は格闘戦よ。先手は譲るわ。」


 そう言って、長剣を鞘に納める。無論、僕も。そしてお言葉に甘えて、先にしかける。まずは、パンチと蹴りを数発ずつ打ち込む。それのどれもが簡単にいなされる。そして、レナータさんの番になると、僕は防戦一方になってしまう。なにせ、龍人ドラゴニュート特有の太い尻尾を打撃に使ってくるものだから、拳と蹴りに尻尾まで警戒しなくてはならず、かわして、いなして、防御するので精一杯だった。おかげで、昨日買った鋼鉄製の鎧とシールドはボロボロになってしまった。高かったのに・・・。しょげていると、


「あー・・・。ごめんなさね。ついつい、本気を出しちゃって。ドアナグラでは私の動きについてこられる冒険者がいなくてねぇ、退屈だったのよ。そこに、フォルトゥナ様のお告げでしょ?私と互角とまではいかないまでも、楽しませてくれる相手だと思ったのよ。あ、装備品はちゃんと弁償するから許してね?」


「え、いや、別に怒ってはいませんよ?僕の実力が足り無かった結果ですし。あ、でも弁償してくれるなら有り難く思います。この後はドアナグラに帰られるんですか?それとも、フォルトゥナ様のおっしゃる通りに僕のパーティに加入しますか?」


「んー、どうしようかしら。確かにフォルトゥナ様は仲間になりなさいとおっしゃっていたけど、ガイウス君のこと気に入っちゃったのよね。ねぇ、成人したら伴侶にしてくれない?」


 はぇ!?

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