第61話 狩られる側から狩る側へ
周囲の木々が、地面が、振動で揺れる。僕の視線の先には無数と思えるほどのロックウルフが接近している。そんな中、ただ静かに弓を構え【風魔法】を
僕は、弓から短槍とソードシールドに持ち替えて腰を落とし構える。最初の獲物には短槍をお見舞いした。
【風魔法】を
「おかわりはいらないんだけどなぁ。しかし、ロックウルフリーダーは後方で指示を出しているだけか。一気に後方を叩くかな。でも、リーダーを失ったロックウルフたちの動きが読めない。下手をすると町まで行くかもしれない。なら、地道に数を減らすしかないよねえ!!」
さらに【水魔法】と【風魔法】のバレットを乱射する。視界のいたるところで血の花が咲き誇る。しかし、その数よりも多くのロックウルフが向かってくる。すると、“ウオォォォォォォン!!”と遠吠えが聞こえた。さっき、グレイウルフの家族が去っていった方向からだ。まさかと思い【気配察知】で探ると、その方向から移動してくる集団がいる。あっという間に、強化された僕の視力で視認できる距離まで来た。
グレイウルフの群だ!!彼らは、僕を無視してロックウルフたちに跳びかかっていく。ロックウルフ1体に対してグレイウルフ3匹で対峙している。彼らのチームプレイは見事だ。1匹がロックウルフの注意を引き、残りの2匹が両サイドからロックウルフの目を潰し、痛みにロックウルフがのけ反ったところに喉元に噛みつき、鼻先に噛みつき、頭部に噛みつき、振り回しロックウルフが動かなくなるまでそれを繰り返す。
形勢逆転とまではいかないけど、ロックウルフたちの勢いが落ちた。僕も負けてられない。グレイウルフにばかり活躍はさせられないね。誤射があるといけないからバレットを乱射するのをやめて、完全な接近戦に切り替える。剣舞のように(短槍とソードシールドだけど)ロックウルフを
すると、背後から、
「随分と、面白い状況になっていますこと。ねぇ、ローザ殿、エミーリア殿。」
「ホント、野生動物が助けに来るなんて、まるで英雄物語ね。」
「私たちをあんなところに閉じ込めたガイウスは後で
体はロックウルフを
「いったいどうやって出てきたのさ!!」
「鋼鉄と言っても結局は金属でしょう?
「この、10分かそこらの時間で!?もっと、壁を厚くすべきだったかな。でも、出てきたものは仕方ない。さっきと同じで3人1組で行動すること!!全く、そんなに戦いたかったのかい?」
「ガイウス殿の
僕は、【風魔法】を何重にもかけたシールドバッシュでロックウルフたちを吹き飛ばし、クリスティアーネ達と向かい合った。フルフェイスの
「申し訳なかった。クリスティアーネ達を少しでも安全な場所に、と思って取った行動だったけど、3人の気持ちを裏切る結果になってしまった。これからは、そんなことをしないと、今、誓う。お叱りの言葉はこの戦闘が終わってからだ。生き残るよ。そして、グレイウルフたちも含め、誰も死なせない!!」
3人が笑顔で頷くのを確認すると、僕はロックウルフが1番密集している所、つまり、ロックウルフリーダーの目の前まで、ロックウルフを
その様子を見ていたロックウルフリーダーが
「さて、最後に神に祈るのを許してあげようか。もちろん、フォルトゥナ様以外のだけど。まぁ、この言葉も通じてはいないから意味ないか。スピード感のある戦いは楽しかったよ。それじゃあね。今度は魔物以外に生まれるといいね。」
そう言って、一気に間合いを詰める。普通のロックウルフより2周りは大きいロックウルフリーダーは最期の抵抗とばかりに右前脚で薙ぎ払うように攻撃を仕掛けてきた。それをソードシールドで受ける。シールドの穂先が深々と右前脚に刺さる。そのまま地面に縫い付ける。そして、短槍を
こうして、戦闘は一段落した。あとは、後始末だねぇ。あ、あと3人からのお説教と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます