第62話 モフモフタイム
ロックウルフリーダーとロックウルフ達の死体を偽装魔法袋に【収納】したら、だいぶ森が綺麗になった。折れた木とか飛び散った血とかは残ってるけどね。仕方ないね。【収納】を終えて、じゃれついてくるグレイウルフの相手をしながら【ヒール】をかけてあげて、鋼鉄の壁を【召喚】した所まで戻ってきた。
すると、そこには怪我をしているグレイウルフに【ヒール】をかけ治療しているエミーリアさんと、グレイウルフをモフモフしているクリスティアーネとローザさんがいた。グレイウルフたちはそれぞれがゆったりと休んでいる。そんなグレイウルフの中から、二回りほど大きいグレイウルフが出てきて“ガウガウ”言ってきた。ゴメンよ。君たちの言葉はわからないんだ。そういう能力があれば良か「【異種言語翻訳】を取得しました。」・・った。うん、わかるようになったみたい。
曰く、彼は、このグレイウルフたちの群れのリーダーを務めているらしい。そして、森に入って助けた、グレイウルフの家族は彼の群れに所属しており、助けたその礼として群れの戦闘要員を率いて援護に来たという事らしい。ふむ、それならお返しをしないと。そこで、周りが静かになっていることに気づいた。クリスティアーネ達は目を丸くしており、グレイウルフ達はなんか嬉しそうだ。
「クリスティアーネ、どうかしたかな?僕は、また、なんかおかしなことをしたかな?」
「えぇ、現在進行形でされておりますわ。なんで、グレイウルフと意思疎通ができておりますの?ガイウス殿はテイマーでもないでしょうに。」
「えっと・・・。なんとなく?」
「ウソですね。ガイウス殿とリーダーが話し始めた途端、他のグレイウルフも聞き耳を立て始めましたから。もしや、ギフトですか?」
「あー、んー、それに近いのかも知れないね。内緒でお願い。ローザさんとエミーリアさんも。」
「あー、もうそんだけじゃ驚かないわね。ガイウスには最初から驚かされっぱなしだもの。」
「そんなことどうでもいいから、この子たちの治療を手伝って。」
エミーリアさん、そんなことって、まぁ、確かに治療をしてあげないといけない子が多いのも確かだ。クリスティアーネ達とグレイウルフ達と話しながら、【ヒール】による治療を行う。足を失っていたり、耳が欠けている子もいたので【リペア】をかけてあげた。
【リペア】をかけた子たちは、失った足が元に戻ると、目を丸くして、尻尾を高速でブンブンしながら顔を舐めてじゃれついてきた。「他にも治療する子がいるから」と言うと、「ありがとう。」と言って素直に離れてくれた。
みんなの治療が終わる頃にはもうお昼になっていた。グレイウルフ達もお腹を空かしているようだから、ロックウルフの肉を食べるかと聞いたところ、リーダーが、
「そうしたいのはやまやまだが、奴らの毛皮は固く、我らの牙では歯が立たん。」
「それなら、毛皮を剥いでからあげるよ。クリスティアーネ達もそれでいいよね?」
3人の了承を得て、ロックウルフの死体を【収納】から取り出す。ローザさんとエミーリアさんはフォレストウルフで毛皮の剥ぎ方の要領は大体掴んでいるという事だったので、クリスティアーネを
約30分後には、綺麗にとまではいかないけど、ちゃんと毛皮と肉に分かれたロックウルフの死体が35個できた。僕はグレイウルフリーダーに「これなら、食べられる?」と聞くと、彼は頷き、150匹はいるグレイウルフ達に食べるよう指示を出した。僕たちも、イスとテーブルを【召喚】して、【収納】した昼食をだし、食事を楽しんだ。時々、グレイウルフが撫でてくれと来るものだから、モフモフを存分に楽しみながらの昼食となった。
昼食を終えると、グレイウルフリーダーが改めて、最初に助けたグレイウルフの家族たちの礼を言ってきた。
「我の息子とその嫁、孫たちを助けてくれて本当に感謝している。もし、今後もこの森で活動するのなら、我らもできるだけの手助けをしよう。」
「ありがとう。グレイウルフリーダー。んー、グレイウルフリーダーって長くて言いにくいね。名前は無いの?」
「群れの仲間からは“ルプス”と呼ばれている。」
「んじゃ、ルプスと今後は呼ばせてもらうよ。僕の名前は“ガイウス”。銀の長髪が“クリスティアーネ”。金の短髪が“ローザ”。黒の長髪が“エミーリア”だよ。」
「ふむ、匂いは覚えた。しかし、ガイウスよ。お主は強い
「う~ん。あの3人はまだ妻じゃないよ。候補ではあるけど。」
「フムン。人間とは面倒くさい生き物だな。」
「その分、色々と楽しい事があるから、いいのさ。」
そんなやりとりをしながらルプスをモフモフしながら撫で続ける。毛艶がいいと気持ちがいいねぇ。
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