第2話 先生! ウイルスは生物じゃないって本当ですか?
「先生! ウイルスって生物じゃないんですか?」
先生「それはいい質問だね、村人A君!」
村人A「せめて生徒Aがよかった」
先生「そもそも、君は生物ってどんなもののことだと思う?」
村人A「生物ですか? ええと、例えば先生は生物だけど、石は生物じゃない……」
先生「うんうん」
村人A「でもアニミズムや八百万の神々という概念が存在し……」
先生「うんう、ん?」
村人A「万物には精霊が宿り……」
先生「えーっと、村人A君?」
村人A「つまり、魂の有無……?」
先生「まあ、いろいろな考え方あるよね。ひとまずウイルスの話に戻そうか?」
村人A「神は存在した……?」
先生「ウイルスを生物とする考え方も非生物とする考え方も、実は両方あるんだ」
村人A「つまりウイルスには魂が……?」
先生「君は少し黙ろうか」
……結論から言うと、ウイルスは生物ではない、という見解の方が多数派な印象を受けました。
理由は代謝をしないから。
生物の定義は概ね下記の三つらしいです。(四つとか五つとかいう主張もありますが、私にとってはこの三つの論が一番わかりやすかったです。)
①外界と膜で仕切られている(細胞膜がある)。
②代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う。
③自分の複製をつくる。
……生物の定義、拙作『インクリース』の執筆のために必要で村人Aばりにさんざん頭をひねってたのですが、最終的にはググれば出てきまして。
今回私が検索したワードは、”生物 定義 ウイルス”です。
グーグル凄い。(とはいえ、私の欲しい答えではなかった……。)
でも、コロナ渦にてウイルスは生物か否かという話をたびたび目にしていたのに、ググるとか調べるとかいう発想がなかなかうまれず、かなり考え込んでしまいました。
生物と無生物(非生物?)の違いを、私ははじめ魂の有無に定義付けようとしてたんです。
なんか、ありますよね? “ゴーストが囁いてくるのさ”ってセリフ。ほぼサイボーグなおじちゃんがカッコつけて言ってるアニメ。
でも、そうなるとじゃあ魂って何? っていう話になってしまい。
プシュケ? 心? 精神? 記憶? アニミズムってあるけど、じゃあ神様精霊あたりは生き物判定? ……??
苦し紛れにひねり出したのが以下の文章。(『インクリース』のネタバレになりますが、公開時には消えてるかも)
魂、心、自我、ゴースト。
生きているということの定義は、それら漠然としてとらえきれていないものの有無による。有れば生き物、無ければ物。
だからクローン体は、物。心臓が鼓動し傷つければ温かい血を流すが、それだけ。生き物ではない。……ということにされている。
生命倫理の観点からいけば、人権の発生は母親のおなかの中から出てきた瞬間から発生しているみたいだし、クローン体も育成装置から出さなきゃノー人権、という設定(あくまで設定)にすればいいかな、なんて無理くり理論を立ててみたり。
ただ、生物か否かという点で行けば、クローンも生物ということになります。
じゃあ、IPS細胞(確か受精卵が必要だったはず。受精卵は生物なのでは? 生物の尊厳はどうなる?)はおいそれと利用しちゃって大丈夫なの? とか、現時点でも生命倫理、いろいろと議論があるみたいで本当にこのデリケートな部分は難しいなあ、と。
あ、そうそう!
クローン利用の延命処置についての物語といえば、カズオイシグロの『わたしを離さないで』がありますよ。あらすじを読んで私には読めそうもないと思ったのですが、映画化してたのでDVDを借りて観賞してみました。
クローン利用に関する倫理観、というよりはクローンも生きていて考えるし恋もするし嫉妬もするんだというヒューマンドラマに主軸があるのかな、という感想です。
興味のある方は、ぜひ!
(作品のために生物の定義調べてたのは察したけど、ウイルスについてはどうして調べようと思ったの?)
(……えと、グーグルで”生物 定義”と入力したら予測検索に”ウイルス”も出てきたから、つい……)
(道草もいいけどさ。いい加減、作品書きませんか?)
(……ガンバリマス)
※※※※※
『生命の定義と生物物理学』
大島泰郎:共和化工(株)環境微生物学研究所
生物物理 50(3),112-113(2010)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/50/3/50_3_112/_pdf
『インクリース』
洞貝渉の未完小説。
一度は書き上げたものの、手直し中に大幅にストーリー展開が変化。
未だに変化を続けており、いつ書き上がるのかは不明。
『わたしを離さないで』
『わたしを離さないで』(わたしをはなさないで、原題:Never Let Me Go)は、2005年発表のカズオ・イシグロによる長編小説である。同年のブッカー賞最終候補作。
日本語版は2006年4月に、土屋政雄の翻訳で早川書房から単行本が刊行され、2008年8月にハヤカワ文庫版が発刊された。
2010年にマーク・ロマネク監督、キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演により映画化された。
日本では2014年に蜷川幸雄演出、多部未華子主演により舞台化され、2016年にはTBSテレビでテレビドラマ化された。
(ウィキペディアより)
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